愛情クッキング 何や何や!? 心臓動くのごっつう早うなっとる・・・ あかんあかん・・・アニキが「来てくれ」って言うただけやん・・・ 妙な期待してどうすんねん!! 「そないなコトより、はよアニキの所いかなぁ・・・うわ!もうこんな時間や!!遅れてまう!」 劉は時計を見るなり慌てていつも持ち歩いている青龍刀を背中に背負って龍麻との待ち合わせ場所──中央公園に走り出した。 夕刻時、子供達が去った後の人気のない公園で龍麻は一人立っていた。 「遅いな・・・どうしたんだろ・・・」 待ち合わせをしているベンチから立ち上がって劉を探しにあたりをキョロキョロ見渡した。 そんなとき少し遠くから走ってくる足音が聞こえた。 「アーニーキーーーー!!」 「やぁ弦月・・・ってどうしたの?」 劉はばたばたと駆け寄ってくるなり、龍麻の前でいきなり合掌した。 「ごっつう遅れてしもた!堪忍して!!」 「いいよ弦月。気にしないで。呼んだのは俺のほうだしね」 「でも・・・」 「いいって言ってるだろ?だからほら、顔上げなよ。俺が怒ってる顔してる?」 龍麻はそう言って合掌している手に触れてその両手を離した。そして劉は顔を上げた。 「いや・・・怒ってへん・・・」 「だろ?」 「うん・・・」 穏やかな顔をして劉を見たあと、思い出したように表情を変えた。 「そうだ弦月、まだ夕飯食べてないよね?」 「うん。食べてへん」 「お昼ご飯は?」 そう聞かれて劉が黙ってしまった。その姿を見て龍麻が溜め息をついた。 「まだ『謹慎』喰らってるの?」 劉は龍麻の問いかけに一つ頭を縦に振った。そして再度溜め息をついた。 「そんなことだろうと思ったよ・・・」 つい先日、何を思いついたのか雨紋が『高校2年でのみに行こう!』といって劉と舞子と比良坂の4人で飲みに行ったのが全てのきっかけ。 飲みにいく自体全然問題ないなが(高校生であると言うことはこの際無視して)もの凄い量を飲み食いしたせいで全員その場から帰れなくなり、酔っぱらった雨紋がたまたま龍麻のもとに電話をしたお陰で仲間内何人かを呼んで龍麻達が4人の所に無事に帰らせたと言うことが起きたのだ。 その話をどこをどう回ったのか道心や岩山が聞きつけて舞子と比良坂は二日酔いが収まるまで出勤停止、劉は道心から食費が削られた。(雨紋は何とか逃げ切ったらしい) 「あ・・・あのことは十分反省しとるんやで・・・だからじっちゃんも食費くらい・・・」 そうぼやいた劉に龍麻は思わず笑った。 「何やアニキ!人がまじめに考えとるのに!!」 「あははは・・・ごめん。でも弦月、食費は出ないけど、人から食事おごられるなとは言われてないだろう?」 「あ・・・それもそやな・・・」 「だから、俺は呼んだんだよ」 「へ?」 龍麻の意図していることが分からなくなり、劉は思わず聞き返した。 「全く・・・ま、いいからうちにおいで」 「う・・・うん・・・」 言われるまま龍麻のあとを劉はくっついていった。 「中入っていいよ」 「おおきに、お邪魔するで」 劉は軽く答えると、何度か来たことのある龍麻の家の中へと入っていった。そしていつも自分がするように青龍刀を降ろしてどっかりとソファーに座り込んだ。 「で、アニキ。わいを呼んだってなんでや?」 「あぁ、まだ理由をちゃんと話してなかったね」 お茶を出しながら答えると龍麻は答えも座りもせずにキッチンの方へと向かった。 「・・・アニキ?」 「ここ最近まともに食事してないんだろ?だから今日は俺が作ってやるよ」 「・・・ホンマに!?」 「嘘言ってどうするんだよ・・・」 「せやけど・・・」 なんだか分が悪そうに劉は答えた。 アニキの手料理やで!?わいが独り占めしてもええんか!? でも、ここで誰かを呼ぶのも勿体ない気がするわ・・・ 遠慮無く貰うた方がええんやろか・・・ 「・・・劉?」 少し考えている間に龍麻が劉の隣まで来て顔を覗いていた。 「うわあぁ!いきなり隣にいるなんてビックリするやないかい!」 「気付かない弦月が悪いんだろう・・・」 「それもそや・・・」 そんな劉の行動に龍麻はくすくすと笑った。 「で、どうする?食べていくのか?」 「うーん・・・んじゃ、有り難く貰うとく」 「それじゃ、ちょっと待ってて。すぐ作るから」 笑顔で龍麻が返すとささっとキッチンで作業を始めた。龍麻はてきぱきと料理を進めていっていた。 主婦っていつも無駄のない動きするけど・・・アニキもまさに主婦や・・・ 何か・・・食事まっとる旦那の気分や。 ・・・ってまだわい、アニキに自分の気持ち伝えてないがな!! ぼーっと眺めながら一人漫才をしているとキッチンの方から料理が出来たと龍麻が微笑んだ。 「本場中華の舌に合うかどうか分からないけど・・・」 照れながら皿に綺麗に盛りつけて持ってきた料理の数々、それは八宝菜と炒飯に揚げ餃子。たまごスープまである。 「うわ、凄いわアニキ・・・一人暮らしで料理が出来るって言うたってここまで普通出来へんやろ・・・」 「いや。料理作るの好きなんだ」 「そうなんや・・・ほな、冷めないうちに・・・」 「そうだね。それじゃ、食べよう」 「うん。じゃ、頂きます!」 にぱっと笑って食べ始める劉。まずは「中華の基本や!」と言って炒飯から食べてみる。 「アニキー・・・」 「・・・何?」 龍麻は恐る恐る劉の顔を覗き込んだ。目がふと合うと劉は立ちあがらんとばかりの勢いで顔を上げた。 「めっちゃうまいわー!こんな上手いの食べたの久しぶりやわー!」 そう言って他の料理にも手を付けて、あれも上手い、これも上手いと賞賛しまくっていった。 「アニキ、自分も食べればええやんか」 「そうだった・・・何か弦月が美味しそうに食べてるのを見ていたらつい嬉しくなっちゃって・・・」 龍麻は照れくさそうに言い放つと照れているのが気付かれないようにさっと料理食べ始めた。 「ごちそーさん。上手かったでアニキ!」 劉は空腹感も満たされた上に美味しいものを口にしたためかなり上機嫌だった。 「喜んでもらえて嬉しいよ」 食器をまとめながら龍麻は微笑んだ。 「さてと、片付けてくるね」 すっと立ち上がってまとめた食器を手にしようとしたが劉がその手を掴んだ。龍麻は思わずたたらを踏んだが、それもかなわずに劉の上に倒れ込み劉が龍麻を抱き留める形になった。。 「ご・・・ごめん、弦月・・・でも何で・・・」 「おおきに、アニキ。めっちゃ嬉しかったで・・・」 「弦月・・・」 「これはわいからのお礼や。受けとってや」 「弦・・・」 名前を呼ぼうとして遮られた。遮られても龍麻はいやな思いがしなかった。 劉がくれた甘いお礼だから・・・ 「アニキ・・・わい、アニキのことがめっちゃ好きや・・・」 唇が離れたあと言われた台詞に龍麻は赤くなった。 「アニキは・・・わいのことどう思ってくれてる?」 そう問われて龍麻は一回静かに瞼を閉じた。そしてゆっくり開けて劉の目を真っ直ぐ見て答えた。 「嫌いだったら、料理も作らないし、今のキスだって逃げてたと思うよ?」 「アニキ・・・」 「弦月・・・俺も、好きだよ。もっと弦月のために料理を作らせてくれないかな?」 龍麻の答えに劉は抱きしめて答えた。 勿論や──と END えーす様からのコメント 大変遅くなりました!!2500HITキリ番のSSです!! 劉主とのことでしたが・・・ノルマクリアできてるでしょうか・・・ 普段主劉に見慣れているせいでなんだかアンバランスな感じになってますけど・・・ こんなのでよければどーぞ受け取って下さいませ!そしてまたの来店をお待ちしてます! |
うわーい、始めてのSSの戴き物。
始めてお邪魔したと思ったら、カウンター思いっきり踏んでしまった大馬鹿者です。オイラ。
でもでも、可愛い劉×主にドッキドキです。(^-^)
嬉しいー。
えーす様。ありがとうございます。(*^-^*)