黙っているようになった
横にいる奴と、その横にいる奴が話していても
黙っているようになった
少し前なら、それが恥ずかしいと感じたり
ひとりぼっちとか仲間外れなどと思われたくなくて
顔に意味のない笑みを浮かべ
俺も仲間なんだよと
笑ってれば仲間に見てもらえると思いこみ
ひとりでニヤニヤとしていた俺は
みじめで薄気味悪い奴だったろうな
黙っているようになった
俺を間に挟んで、背中越しに話そうが
俺だけ違う生き物のように
無視して目の前で笑い合おうが
黙っているようになった
多少の居心地の悪さはあっても
みじめだとかこの場から消えたいだとか
どうかしたいとか、どうにかしたいとか
思わなくなった。
変わりましょうかといった方がいいんだろうかとか
それが言えない自分が嫌だとか
思わなくなった。
もう、動くことも、ニヤニヤすることも、話しかけることもしない
してもしなくても何も変わらないじゃないか
話しかけた相手に話しかけられたこともない
結局、どこかの仲間に入れてもらったこともなかった。
だから、今日も
同じものしか見えない窓の外をひとりで見ているんだろうさ
俺は誰も恨んじゃいない
これが俺だとわかったからなんだ
だって、お前もそうだったじゃないか
気詰まりでもなければ
そんな自分が嫌でもない
俺が俺という人間である限りは
嫌われ者でいるしかないんだよ
ずっと今まで
そうだったんだから。
明日も俺は黙ったままで動かないんだ