【新・暮らしの百科】12月

師走とクリスマス

葉が真っ赤に染まったのか?と疑いたくなるほどの大きな花弁が重なり咲いて花山のようなポインセチア。別名がクリスマス・フラワーのこの花が店先をにぎわしはじめると12月です。

12月の異名といえば“師走(しわす)”があまりにも有名で、他の異名はかすみがちですが、結構さまざまな異称があります。

1年の極まりの月だから“極月(ごくげつ)”、冬至梅(とうじばい)のように早咲きの梅が開花するので“梅初月(うめはつづき)”、新年初春が待たれる“春待月(はるまちづき)”の他、“親子月(おやこづき)”“弟月(おととづき)”“乙子月(おとごづき)”“三冬月(みふゆづき)”などとも呼ばれます。

陰暦では10月、11月、12月を冬の季としていたため12月は晩冬で三番目の冬月というので“三冬月”と言われるのは判ったような気になれますが、“親子”“弟”“乙子”と呼ぶのはその意がはっきりしません。

ところで“師走”に次いで有名なのが“臘月(ろうげつ)”ですが、臘は猟(りょう)のことで、狩りの獲物の獣肉を供えて先祖百神をまつる“臘祭(ろうさい)”が12月に行われた中国古俗からきている名称。礼記には「歳の12月、万物を合聚して、之(これ)を索饗するなり」と書かれ、12月を“臘月”、大晦日を“臘日(ろうじつ)”と呼ぶのだそうです。

 

和名がかがり火花のシクラメンも花々が束になってはなやかに咲きそろい師走の街に明るさをそえます。お寿司でおなじみの蝦蛄に似た茎の連なりの先に花をつける蝦蛄葉サボテンも今が花盛り、クリスマス・カクタスという本名どおりこれもクリスマスの花。近年、クリスマス・ツリーのモミの木の代用に使われだしたゴールドクレストも若緑の葉を円錐状にととのえて、リボンや豆電灯や金色のベルなどのお飾りを待っています。

 

このように花屋の店先がクリスマスムードでいっぱいになるだけでなく、街の街路樹にも電飾がキラキラときらめいて12月の夜を彩り、レストランやカフェの窓にも赤と緑のクリスマス・カラーがあふれて人々のこころをくすぐります。

クリスマスなんて関係ないなんていわずにちょっと街のイルミネーションの中を歩いてみてください。素敵な気分をあじわえるはずです。

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