〜BREAK TIME〜

 

今年は卯年・干支せとら

卯年生まれは温和で従順な性格

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◆卯と年・月・時刻・方位
 平成11年の今年は卯(う)年で、十干十二支では己卯(つちのとう)。卯は十二支の4番目。月では旧暦の2月。時刻は午前6時頃、または午前5時〜7時頃。方角は東の方角を表す。動物はウサギが充てられている。

◆野ウサギと家ウサギ
 真っ白な毛に赤い目のウサギは日本白色種という種類だが、もともとはアナウサギという種類だった。ヨーロッパのイベリア半島の草原に住んでいて、昼間は地中にトンネルを作って隠れていて、夜になると地上に現われて草を食べていた。人間がこのウサギを飼って、兎の肉を食べ、毛皮をとったりするようになってから世界中に運ばれ、家畜としてのイエウサギになったと言われている。
 「因幡の白ウサギ」などのおとぎ話に出てくるウサギはノウサギで、地面の窪みを巣にして単独で暮らす。脚が長くて坐った時に肩が高いのがイエウサギと違うところ。
 現在では、ノウサギとイエウサギが混同されるようになってしまった。しかも、月に人間が立つことができるようになってからは、「お月様でウサギが餅をついている」というファンタスティックな話は、なんとなく話すのに照れてしまう。

◆長い耳と毛と
 兎の耳は長い。他人の秘密話などをよく聞き出して来る人のことを「兎耳(うさぎみみ)」と言い、兎の耳のように長いわなを結び出す紐の結び方を「兎結(うさぎむすび)」と言う。
 毛皮用の兎はレッキス種、毛を利用するのがアンゴラ種と分けられているし、本州の雪の多い地方にいるホンドウサギは、冬に毛が白くなる。兎の毛のことを「卯の毛(うのけ)」と言い、兎の毛で作った筆も同じく「卯の毛」と言う。また、物事が極めて小さくかすかなことを、兎の毛にたとえて「卯の毛」とも言う。
 耳と毛だけでない。物事が切れ切れになって続かないことは「兎の糞(うさぎのふん)」と言うが、ウサギは糞まで使われるなんて思っていなかっただろう。

◆卯建が上がらない
 民家の両妻に一段高く設けて防火の役割をする小屋根つきの土壁が「卯建(うだち・うだつ)」。卯建は、裕福な家でなければ上げられなかったことから転じて、頭を押さえられて立身ができないことを「卯建(うだつ)が上がらない」と言う。
 神社の屋根などでよくお目にかかる唐破風(からはふ)の中央の懸魚(げぎょ)は「卯の毛通(うのけどおし)」。このように建築の世界でも「卯」が幅を利かせている。

◆「兎と亀」の後日譚
 兎と亀が駆け比べして、兎が負けて帰ってきた。兎村では「負けた兎は村に置けない」と言って追い出した。そのころ山の狼から「子兎を3匹献上するように」と言ってきたので、村は大騒ぎになった。追い出された兎がこれを聞きつけて、村へ来て「子兎を献上しなくても良いようにしたら村へ戻らせてくれ」と頼んで、OKを取り付けた。その上ですぐ狼のところへ行って「お前の顔が怖いので誰も来るものがいない。崖の上で坐って後ろを向いていてくれれば連れて来てやる」と狼を連れ出し、崖の端に坐らせた。兎はここぞとばかりに、狼の背中を蹴飛ばして谷底へ落として死なせた。これで兎村では子兎を献上しなくてよくなり、負けた兎は村へ戻れることになった。(新潟に伝わる昔話)

◆「株を守りて兎を待つ」「二兎を追う者は一兎を得ず」
 中国の栄の国でのこと。ある日一匹の兎が走ってきて、切り株にぶつかって死んだ。苦労せずに兎を手に入れた農夫は、それからは農作業をしないで、兎が切り株にぶつかるのを待って、切り株ばかりを見守っていたという故事から、融通の利かない例えとして使われている。
 欲を出して同時に2つのことをしようとして、どちらも成功しないことを「二兎を追う者は一兎を得ず」ということわざも、どちらも兎が<主役>になっている。

◆卯年生まれは
 卯年生まれは心が美しく、人に愛され、温和で従順な性格の持ち主である。「兎の罠に狐がかかる」とか「兎の昼寝」と言われるように、世渡りが上手くて望外の出世もするが、つい心にもないことを喋って失敗することもある。卯年生まれにはこんな人が―。
 犬養毅(政治家・1855)、夏目漱石(作家・1867)、尾崎紅葉(作家・1867)、正宗白鳥(作家・1879)、滝廉太郎(作曲家・1879)、近衛文麿(政治家・1891)、倉田百三(作家・1891)、片岡千恵蔵(映画俳優・1903)、小津安二郎(映画監督・1903)、柳家小さん(落語家・1915)、野間宏(作家・1915)、緒方貞子(国連高等難民弁務官・1927)、勅使川原宏(映画監督・1927)、中村玉緒(女優・1939)、高田賢三(服飾デザイナー・1939)、岡本綾子(プロゴルファー・1951)、中村雅俊(俳優・1951)、若田光一(宇宙飛行士・1963)、塩田八十吉(元大相撲力士「小錦」・1963)、内田有紀(タレント・1975)、千葉すず(水泳選手・1975)<敬称略>