動かないコンピュータ

書籍情報

著者日経コンピュータ編
発行日2002年12月9日 初版第1刷
発行元日経BP社
頁数208頁
定価1500円(税別)
ISBNISBN4-8222-0784-6

評点

難易度★☆☆☆☆☆☆☆☆☆お勧め度★★★★☆☆☆☆☆☆

書評

日経コンピュータで連載されている、「動かないコンピュータ」を単行本にしたものである。
元となっている連載は、失敗したコンピュータシステムプロジェクトなどを取材・調査し、 その原因を追及するというものである。かなり有名なので知っている人も多いだろう。 この本は、その後プロジェクトがどうなったか、というところまで加筆されているので、更に興味深い。 この記事はかなり影響力があり、業者名なども実名で出てしまうので、載ってしまうとダメージも大きい。 そのため、批判的な意見もあるのだが、個人的意見としては、このようなコンセプトには大いに賛同できる。 大抵失敗プロジェクトはもみ消されてしまうことが多いが、それではいつまでたっても進歩がない。 システム開発は莫大な費用がかかるので、発注する側にとっても重要な情報だ。 ちなみに、単行本では実名は伏されている。
ただ非常に残念なのは、原因追及の部分が物足りないことだ。 プロジェクト当事者の意見も少なくないのだが、問題なのは、当事者が分かっていないから大きなトラブルになるということだ。 その当事者に原因を聞いても、的外れな答えが返ってくることが少なくない。 また、トラブルの原因を適当にごまかすのは日常的で、それもまともに受け取ってしまっている印象も受けた。
コンセプトは大いに意義があると思うが、内容的な甘さが否定できないと思う。 という訳で、期待してた反動もあり、お勧め度はかなり割り引いてしまった。