C/Sデータベース設計入門
書籍情報
著者 | Daniel Pascot=著/落水 浩一郎=訳 |
発行日 | 1996年6月28日 初版第1刷 |
発行元 | 日経BP社 |
頁数 | 382頁 |
定価 | 3400円(税込み) |
ISBN | ISBN4-8222-9015-8 |
評点
難易度 | ★★★★★★★★☆☆ | お勧め度 | ★★★★★★★★★★ |
書評
この本は、データベースを利用したシステム構築に最適な、DATARUNというシステム構築方法論の本です。
タイトルに「C/S」とついているので、クライアントサーバーシステム向けの本だと思われるかもしれませんが、
この本の内容は、リレーショナルデータベースを利用した、あらゆるシステムに適用できます。
それどころか、DATARUNはデータ中心アプローチを基本としているので、
例えXMLなどほかのデータ記述・管理方式でも、この方法論の最も重要な部分である、ビジネスプロセスモデルと概念データモデルは、
間違いなく生きてくるでしょう。
モデリングというと、最近はUMLがデファクトスタンダードといってよいくらいの地位を占めつつありますが、
UMLとDATARUNの大きな違いは、UMLが単なる記法であるのに対して、DATARUNは方法論であるという点です。
つまり記法のルールのみが存在するのではなく、どのような目的で、どのようにモデリングをしていくのかが書かれているのです。
記法はあくまで表現方法であるので、DATARUNの考え方でモデリングを行い、UMLの記法を使ってもいいでしょう。
この本を理解すれば、システム構築に最も重要なデータ設計能力は、飛躍的に向上するでしょう。
残念なのはタイトルに「C/S」とついている点です。
この方法論が確立されたころは、クライアントサーバーシステムが台頭してきたころなので、
6つあるモデルのうち最後の2つは確かにC/S向けとなっています(そうでなくても個人的には最後の2つに余り魅力を感じません)。
しかしこの本の一番重要な部分は、データ分析法であり、C/Sに特化したものではありません。
この「C/S」がついているために、恐らく今後この本を手に取る人はほとんどいないでしょう。
ちまたのなんちゃってデータモデリング本とは確実に一線を画す本であるだけに、非常に残念です。