『もう元気だよ』と透は訴えたが、門田は静かに首を振った。
それが透にはショックだった。
透の健康診断は、門田の所属する団体の顧問医がしてくれている。今では月
に一度、簡単な検査と診察だけで済んでいる。
顧問医である志村も、『かなりよくなりましたね、運動も始めていいでしょ
う』と言っていた。それは透を安心させるための嘘だったのだろうか。
何か重大な病気が隠されているのだろうかと、透は不安になった。
「どこか……、俺、悪いの?」
透はそう言ってから、自分自身で不思議に思った。
だって、透は死ぬために、自らをそこへ追いやっていたはずなのに。
死にたかった。恋人の後を追うために。周りの者に、自殺ととられない方法
で。
それが今では、自分の健康が心配になる。
透は不思議な思いで門田を見上げた。
「どこも悪いところはないよ」
門田は静かに、透の不安を否定した。
「だったら……」
透はほっとするのと同時に、何故門田がまだ働いては行けないと言うのかが
わからなくなった。
「君はもう健康だよ。普通の生活をしても、特に問題はない」
「だから、働いてもいいでしょう?」
透が訴えると、やはり門田は首を左右に振った。
「どうしてっ」
「まだね、体力的に問題があるんだよ」
「体力?」
そうだと門田は返事をして、透を腕の中から解放した。
「おいで」
門田は羽織を脱いで、指に掛け、自分の部屋へ透を連れて行った。
門田の部屋は、ほんのりと香の薫りが漂っている。独特のその薫りが、透は
好きだ。
門田に包まれているような気持ちになるから。
羽織を衣桁に掛け、門田は箪笥の抽斗から、用紙の束を取り出した。
「これを見てごらん」
手渡されたのは、透にも見覚えのある物だった。
青や緑のラインと、細かく書き込まれた数値。それぞれの変遷を示すグラフ。
数値が赤字で書き込まれているものは、標準値から外れていることを表わして
いる。
「これ……」
透の健康診断の結果。透自身は結果を病院で見せてもらうだけで、その管理
は病院でされていると思っていた。
「君の健康診断の結果だよ」
「どうして直道さんが……」
別にそれを門田が持っていたから、透が不満に思うわけではない。むしろあ
りがたいと思うが、そこに隠された重大な何かがあるのではないかと、不安を
感じるのだ。
「すまない。個人のプライバシーを覗かれるようで嫌かもしれないけれど」
「違う。違うよ。そんな風には思わない」
透はその紙の束を取り、一枚一枚を捲る。
検査票に書き込まれた鉛筆の文字は、志村によるものだろうか、丁寧に説明
されたあとが伺える。
それだけの時間を門田は取ってくれたのだ。こんなに忙しい身なのに。
「志村先生に聞いたのだけれどね」
門田は部屋の角においてある机から椅子を引き、それに透を座らせた。自分
は机に持たれ、透の膝の上に広げた検査票を指で示した。
「血液検査のほとんどの数値は、もう健康だといえる。ほぼ正常値だね。あと
は貧血の改善と、アミノ酸の数値が低いから、やはり栄養をよく摂ることを心
がけるくらいだ」
「……うん」
門田の流れる指先を見ながら、折れ線グラフがどんどん標準値に入っていく
状態を、透は感動的に眺めていた。
それだけ不健康だったのだとも思う。
もう少しで、本当に自分は正彦を追いかけていた。
それはそれで幸せだったのかもしれない。
当時の透には、それしか考えられなかったから。
けれど、今は……。
この幸せと暖かさを知ってしまった今では、それを想像するだけでぞっとし
た。
「志村先生は君に運動を勧めただろう?」
透は膝の上ら門田へと視線を移した。そのまま、こくんと頷く。
「心臓と骨がね、まだ急激な疲労には耐えられないだろうと仰るんだよ」
「え?」
心臓と骨と言われ、透は思わず胸に手を当てた。
「激しい運動や、無理な疲労、つまり慣れない仕事などをすれば、心臓に負担
がかかり過ぎたり、ちょっとしたはずみで骨折する危険もある、……らしい」
「…………」
門田の説明に、透は黙り込み、再び検査表を見た。
「私は基本的に通るが働く事には賛成するけれど、もう少しこの数値が良くな
ってからでは駄目だろうか?」
門田に聞かれ、透は小さく頷いた。
「どれ……くらい?」
「ん?」
小さな声の透の問いを聞き損ね、門田はまだ細いうなじを見せる恋人を覗き
込むようにした。
「どれくらいで、良くなるんだろう」
門田は眉根を寄せた。
透が何もかも投げ出していた事は、良くないとわかっていた。
そんな生活から脱出しようという気持ちになった事は、むしろ喜んでいいだ
ろう。
けれど、どうしてそんなに急ぐ必要があるというのか。
それが門田には不思議でならなかった。
身体のことを思えば、透もわかってくれるはずだという気持ちも、門田には
あった。
「今無理をするのはよくないだろう? 私も、君に無理をして欲しくない」
優しい門田の言葉に、透は頷きたい。そうすることが一番いいとわかってい
る。なのに……。
「どうしても……、反対する?」
透のいっそ意固地な問いに、門田は内心驚いていた。
こんな一面もあったのかと。
「…………反対だね」
他の何かなら、門田も折れていたかもしれない。
だが、透の身体のことを思えば、今ここで折れるわけにはいかなかった。
「どうして、そんなに働きたいと思い始めた? 昨日の電話が……原因なの
か?」
他に思い当たる事はない。だとすれば、昨日の電話で、誰かに何かを言われ
たとしか思えなかった。
門田の問いかけに、透は押し黙った。
ちりちりとした沈黙の時間が流れる。
「……二日も続けて、喧嘩などしたくはないんだよ」
俯く透の頭に、優しい声と共に、暖かな手が触れた。
俯いた頭に暖かな手でそっと触れられ、透は涙を零しそうになった。
それをなんとか息を止めるようにして堪える。大切な話の途中で泣き出した
くはなかった。
「あの部屋……」
ごくんと息を呑んでから、透は口を開いた。
緊張のためか、声が掠れてしまう。
「君と正彦君の部屋かい?」
問う門田の声に、批難は欠片もなかった。その声の優しい調子に、透はほっ
と肩の力を抜く。
「そう……、あの部屋、維持費だけでも、けっこうかかって……」
家賃、光熱費の基本料金……。現状を維持するだけでも、都会の一室を維持
するにはそれなりに、経費はかかるだろう。
「確か、預貯金があるのではなかったのかな?」
門田は以前、透の友人に聞いた話を思い出す。
透が働かなくても、あの部屋で一生を過ごすだけの保険金と慰謝料はあると
……。
「でも…………」
透は言い澱み、顔を上げて門田を見た。
「どうした?」
「俺、この部屋の家賃、払っていない」
透の言葉に、門田は彼の真意を汲もうと、透の色素の薄い瞳を見つめた。
「家賃を払わないと、いけないと思っているのか?」
「そりゃ……、そうでしょう?」
「だったら、私は透に給料を払わないといけないのかな?」
「え?」
透は門田の言った意味がわからず、鹿爪らしい顔で門田を見た。
「透はこの家の掃除と料理をしてくれるだろ? そうしてくれる人を頼めば、
それなりにお金がかかる」
「でも、俺は好意でしているから」
「私だって、透がここにいてくれるのは好意だって思っているし、それに対し
て家賃を取るつもりは更々ないよ」
門田の言うことはわかる。わかるけれど、透にはそれを受け入れるには、微
かな抵抗があった。
「そんなの……、なんだか……」
女になったみたいだ。
『嫁さんになったみたいだな』
決して女性を蔑視しようとか軽視しようとかいうのではないが、桑田に言わ
れた一言が心に突き刺さる。
桑田なりの冗談だというのもわかる。けれど、その一言は透にとっては、地
雷のようなものだったのだ。
きっと、そうした環境が今の透には過ごしやすいと思っての言葉だったのだ
ろう。だからこそ、それをいつまでも唯々諾々と受け入れていたくない。
本来の気性が顔を出す。
決して正彦との言い争いでも、自分から折れようとはしなかった、本来の自
分が……。
「囲われているように思うのかい?」
門田らしい古い言い回しに透はふっと笑った。片頬にえくぼができる。
「私達は、家族になったのでは、なかったのかな? 私はそう思っているのだ
けれど」
「家族……」
門田の言葉を繰り返して言うと、それは透の心の中に暖かく広がっていく。
「透が働きたいと言うのなら、反対はしない。けれど、今はまだ健康上の理由
で賛成出来ない。家族が働けないのなら、働いている者が支えるのは、当然だ
ろ?
透が働きたくないと言うのなら、私は透を養うだけの収入を得たいと思う。
それだけの努力も惜しまないつもりだよ。その分……、透が私の仕事を理解し
てくれないといけないけれど。
それが支え合う事だと思っていたけれど、私は、間違っているかい?」
透は慌てて首を横に振った。
「本当に、純粋に働きたい?」
あらためて訊かれ、透は自分の心の中に問いかけた。
純粋に、何にも捕らわれず、自分は働きたいのだろうか。
昨日は桑田の電話にキレてしまって、働きたいと口走ってしまったけれど、
それはいつの頃からか、透の気持ちの中に確かにあったと思う。
「…………働きたい」
透はまっすぐに門田を見つめ、しっかりとした口調で言った。
門田はそれを聞き、深く頷いた。
「ならば、そのために体調を整える。志村先生の許可が出るまでは、待つ。…
…それでいいね?」
門田の確認に、透はしっかり頷いた。
「……ごめんなさい」
門田の優しい笑みに、多少の後ろめたさを感じ、透は俯いた。
「愛してるよ」
甘い言葉が降ってきて、透は赤くなる。顔を上げていなくて良かったと思う。
「今夜は……、一緒に寝よう」
その意味を考え、透はますます顔が熱くなるのを感じた。
返事に戸惑っていると、顎に門田の手がかけられた。
軽く力をこめられ、上を向かせられる。
自分はどんな顔をしているだろうかと考えると、貯まらない羞恥が駆け上っ
てくる。
けれど、顔を隠すより早く、門田の顔が迫ってきて、優しく唇を重ねられた。
唇を舐められるようにキスを交わし、門田は透の手を取った。
部屋を出て、寝室に向かう。
あらためてそんなふうに誘われる事は、身を切るように恥かしい。
「直道さん……」
透はともすれば立ち止まりそうになる足を必死で動かす。
「なんだい?」
「……」
呼ばなければ良かったと思う。聞かれれば答えられないことなのだから。
透が首を横に振ると、門田は薄く笑って、透の肩を抱き、寝室のドアを開けた。
そっと透をベッドに座らせる。
そのまま門田はサイドテーブルに置いてあった香炉に火をつけた。
細い煙がすっと真っ直ぐに立ち昇り、ゆらりと揺れて室内の空気に溶ける。
優しい薫りが漂い始める。
「これ……」
今までに嗅いだことのない薫りだなと、透は門田を見た。
「新しく調合してみたんだよ。どうかな?」
ベッドに腰掛けた透の前に跪き、門田は透の手を握る。
「うん……、好きかも。優しくて、いい薫り」
透が感想を言うと、門田は微笑み、透の手の甲に口接けた。
「愛してるよ。君を、……これからも幸せにしたいと思う」
「俺は今でももう十分幸せだよ」
「私は強欲な人間だから、もっと透に幸せになって欲しいんだよ。いつも笑っていて欲しい。もう泣かせたくない」
「……うん」
透は少し寂しそうに微笑み、門田にごめんなさいと謝った。
「二人分、愛されていることを、忘れないで、透」
「…………直道さん」
透は上体を倒し、門田の唇に自分のそれを重ねる。
何度も角度を重ね、キスをしていると、門田は透のジーンズの前を開いた。
「……門田さん」
透は情けない声を出して、前立てを合わせようとする。
「じっとしてて」
門田は透の両手を除けて、更に下着に手をかけた。
膨らみ始めた透の分身を取りだし、両手で包み込む。
「ん……」
甘い、鼻にかかった声が頭上から門田に降り注ぐ。
門田はそれを大切そうに愛撫し、育てたあと、唇を寄せる。
「あっ……」
ベッドの上でされたことはあっても、こんな体勢で、自分の眼下に広げられたことはない。それが透の羞恥を高める。
ちゅっと音がするのも艶かしい。
「あ……んんっ」
唇から吐き出されるかと思えば、また深く飲み込まれる。その緩急の予測できない口舌に透は喘ぎを止められない。
「やっ……ん……ねぇ、…………直道……さん」
透は自分を愛撫する門田の頭を両手で止めようともがく。
「ぐっときつく扱かれ、爪を立てられる様に、括れに刺激を与えられ、つるりとした舌で先端を舐められて、透は堪え切れずに欲望を迸らせた。
「あ……直道さん……」
こくりと飲み込む音に、頬を熱くする。
熱い息の中から、透は門田を見下ろした。
透の残滓を拭って、門田は顔を上げる。視線が絡み合い、門田は透をベッドに押し倒した。
「直道さん……」
顔や胸にキスをされ、シャツのボタンを外される。
「あ……、ん……」
胸を吸われ、再び快感が身体の中に渦巻き始める。着ていたものはいつしか全て剥ぎ取られ、シュルッと帯の抜かれる音が淫猥に響く。
透に跨り、膝立ちになり、門田は着物を肩から落とし、脱ぎ捨てた。
「直道さん……」
透は両手を伸ばし、門田を捕まえようとする。
その手に掴まえられたふりをしながら、門田は透にキスをする。
「……んっ」
透の両手は門田の背中に回されているが、門田の手は透の髪を撫でる一方で、もう一方の手は透のうしろへと伸ばされた。
「っ……」
指先が透の蕾に触れ、やわやわとほぐし始める。
「……っん」
指先が潜り込んでくる感覚に、透は知らず知らずのうちに身体を固くする。けれど、指をふくまされた部分は熱くなり、もっと飲み込もうとするようにひきつく。
口の中で動く舌と、指の動きが、透の頭の中でシンクロする。
「や……、も……もう……、直道さん……」
透は門田にしがみつき、腰を押し付けねだった。
「透……」
門田は透の膝に手をかけ、持ち上げる。
「力を抜いて」
「……うん」
門田の肩を掴み、透は潤んだ瞳でじっと見つめる。
そんな透をじっと見ながら、門田は猛る雄を押し当てる。
「直道さん……」
ぐっと押し入る感覚に、透は眉を寄せて衝撃を耐える。
「あっ……ああっ」
透は懸命に息を吐きながら、門田を迎え入れる。
「ん……とおる……」
全てを収め、門田は透の頬を撫でた。
「好き……直道さん」
「愛してるよ」
唇を合わせ、門田は動き始めた。
ぐっと突き上げられ、ギリギリまで引かれる。最初はゆっくりで、そして早くなる。
その動きに呼吸を合わせていると、二人の間で、透はまたも張り詰めていく。
「透……」
門田はその透の分身を握り、ぐっと身を沈める。
「ああっ!」
少し激しくなった動きに、透は声を上げる。
「や……、なお……ち……さん」
喉を逸らし、門田の肩に爪を立て、透は衝撃を伸ばそうと頑張る。が、耳元で響く門田の息に、ぞくりとした欲情が弾ける。
「あっ……も、もう……、直道さん……」
ぐいと腰を押し付け、透は門田の手の中で吐精する。悦楽が身体を走り、奥まで飲み込んだ門田の雄を締め付ける。
「ん……っ、透……」
息を詰め、門田も透の中に欲望を吐き出した。
はあはあと二人の息が絡む。
見詰め合う視線がぶつかり、見詰め合う。外せなくなった視線をそのままに、二人は唇を重ねた。
はあと息を吐き、門田が自分を抜こうとした。
「や……」
透は門田が出ていこうとするのに、しがみつき、待ってと頼んだ。
「透?」
「まだ……、ねぇ……」
門田の唇を吸い、透はねだった。
「透……辛いだろ?」
透は首をふり、門田を飲み込もうと、下腹に力をこめる。
「透……待って、少し、休もう」
ぐっと膨らむ自分を感じながら、門田は透を抑えようと努めた。
「直道さん……。俺、俺が上になるから……」
門田が疲れているのだと思った透は、体勢を入れ替えようと、身体を起こそうとする。
「違うんだよ、透……」
「何?」
門田は苦笑いをして、身体を離した。だが、優しく透を抱きしめる。
「その……、今までは……気にしたことがなかったんだけれど……」
門田の肩に額を押し付けながら、透は続く言葉を待っていた。
「君は……、その、……淡白な方じゃなかったんだろうか?」
「え?……俺?」
透は少し驚いたように、自分を抱きしめる門田を見ようとした。けれど抱きしめられているので、よく見えない。
「…………もっと、激しくしても……嫌じゃないのかい?」
いつまでも埒のあかない聞き方では伝わり難いと思ったのか、門田は直接的な聞き方に変えてきた。
「俺……、直道さんが淡白なんだと思ってたんだけど……」
透の言い方に、門田はくくっと笑って、仰向けに寝転び、透を胸の上に抱き上げた。
「直道さん?」
逞しい胸に頬を寄せ、透は不安そうに門田を見る。
「志村先生に言われたことが、実はもう一つあるんだ」
透の髪を指先で弄びながら、門田は苦笑混じりで話し始めた。
「もう一つ?」
「そう……。激しい運動は出来ないって言っただろ? …………そのね、性生活についても、少しばかり注意をされた」
「えっ……!」
白衣を着た志村医師の穏やかな顔を思い出す。多分二人の関係は知られているのだろうとは思っていたけれど、…………そんな具体的なことを……、まさか?
透は何食わぬ顔で自分を診察した医者を思い出すと、かっと赤くなる。
「普通にしている分にはいいけれど、あまり激しくするのは良くないと……。どうしても君の負担は大きいのだし……」
「直道さん……」
情けない声で、透はやめてくれと心の中で叫んだ。今度からどんな顔で診察を受ければいいのだろうか。
「今までは君がわりと淡白だと思っていたから、セーブする必要もないと思っていたんだけれど」
「直道さん、セーブしてたの?」
今までの恥かしさはともかく、門田が我慢していたのかと思うと、申し訳なく感じる。
「……我慢していたとかではないよ。私は……こうして君と抱き合うだけでも幸せだしね」
透は門田の胸に額を擦りつけ、感謝の言葉を口にする。
「俺……、淡白な方じゃないと思う……。今までは……、どれだけ欲しがっていいか……、わからなかったから……。やらしいやつって思われたくなかったし……」
その言葉を聞いて、門田はふっと微笑んだ。
「じゃあ、これからが楽しみだな」
透は伸びあがり、門田の瞳を覗き込んだ。
「やらしい俺でも……いい?」
「もちろん。……けれど、元気になってからだよ」
「うん……。でも、いまは、……ほら、息も心臓も落ちついたし……、もう一度……いい?」
「受けてたつよ」
門田は笑い、透を抱きしめる。
……俺、早く元気になるよ。透はそう言って、門田に口接けた。
The End.