ぼんやりと遠くに隕石が霞んで見える地点で野営を張る。
 そこを拠点に準備を整え、各地で一斉攻撃に出るというのが今回の作戦だった。
 隕石により近づくことになるので、完全な防備が必要となる。
 マスクとゴーグルをつけ、肌が露出しないようにする。
 あたり一面が氷の世界なので、その装備でも辛くない。
 多少動きが制限されるが、もともとは大型化したモンスターが相手なのだ。
 武器も大きなものを備えて来ているので、機敏さよりも重厚な装備のほうがよいとされている。
 進化軍兵士との白兵戦となるとそうも言ってられないので、隕石から引き離しつつ、捕虜化するのも作戦の一つだ。

 野営地で陣を組んでいると、遠くから雪煙を上げて、進化獣が襲ってくるのが見えた。
 腕に覚えのあるものは得物を手に、他の兵士たちは射程距離の長い大型銃を構えた。
「ちょっと待て、……何頭いるんだ」
 周平の横で長い槍を構えた男が、引きつった表情で雪煙を目を細めて見ている。
 確かに今までに闘ったことのある集団よりはるかに多い。
 すぐには数えられないほどだ。
「撃て! 撃て!」
 怯えたように叫ぶ兵士がいた。
「まだだ! もっと引き付けてからでないと、弾の無駄だ!」
 周平が叫ぶが、同じように恐怖に駆られた兵士は、闇雲に撃ち始めた。
「くそっ」
 砲弾は進化獣たちの手前に落ち、派手に雪を巻き上げるだけだ。
 そんな雪の柱など無視して、モンスターたちは突進してくる。
「もっと撃てー!」
 叫びながら、剣を構える兵士たち。
「散れ。散らないと、俺らのほうが一網打尽だ」
 周平は兵士たちに声をかけた。
「お、おう」
 左右に分かれる。
「車に乗って散開しろ。走り回りながら撃つんだ。無理に追わなくていい。とにかく走り回って撃ちまくれ」
 銃器を持った兵士たちに指示をして、周平は日本刀を抜く。
「ここが前線なんだ! 持ち堪えよう!」
 周平の叫びにおお!と答えが上がる。
「いけぇぇぇ!」
「おぉぉぉ!」
 戦士たちは声を上げ、剣を構え、目標に向かって駆け出した。