エンディミオンの亡骸を抱きしめ、サリアスは無言で涙を流し続けた。
 戦場に勝利の歓びはない。
 サリアスはしばらく泣いたあと、バイクに積んでいた折りたたみ式のソリを広げ、そこにエンディミオンを乗せた。
「サリアス……」
 バイクに跨るサリアスに、周平が戸惑いながら歩み寄った。
「俺たち……連合軍の士官だった。あの日、俺たちは進化軍本部に近づきすぎたんだ。……隕石の影響というのは、体内に隕石に潜んでいた蟲を寄生させることなんだ。俺たちは進化軍に捕らえられ、蟲を移植されるところだった。……だけど、どうしたわけか、俺には蟲に対する抗体があって、蟲を移植されたことで、血液が進化したモンスターや人間には酷い毒を与えることがわかった。……それを知ったあいつ……は……、まだ正常な意識が残っているうちにって、俺を逃がしてくれた……」
 左腕の傷は、蟲を移植された際にできたもので、今も傷口は塞がっていない。
「こいつを安置したら……連合軍に戻る。…………それまでもち堪えていてくれ」
 サリアスはバイクで走り去っていく。
 小さくなる姿を見送りながら、周平は紅い革を握り締めた。

 エンディミオンという、最強の戦士を失った進化軍は次第に戦力を弱めていく。
 周平は戦士たちの悲しい過去を知り、強くなる決意をする。
 やがて、戻ってきたサリアスと一緒に、周平は最終決戦へと臨むのであった……。