18禁! 18歳未満の方は読まないでくださいね。










Cosmos−番外編−






 脱衣室には床暖房、広い浴室にはミストと暖房、ジャクジーを装備した大きな浴槽。
 満足度の高い浴室にリフォームしたのは、ただただ、「一緒に入れない」と言う恋人の、入れない言い訳を減らすためだけだ。
 ゆったりしたカーブに背中を預けても、両足を伸ばして入れる。恋人を膝に抱き上げても、まだまだ余裕のある広さだ。
 惜しむらくは、同棲暦も片手を越すかというくらいになっても、まだ恥ずかしがる恋人が、ミストを最大にし、湯の中に乳白色の入浴剤を入れてしまうことだ。
「やっぱり狭くない?」
「ぜんぜん」
 もっと広くてもこうして抱き寄せて入るつもの洋也としては、もっと狭いほうが密着度も増すのにと、わずかながら後悔しているくらいだ。
「向かい合わせとかの方がよくない? 並んで座るとか」
「こうしてるのがいいな」
 背中からぎゅっと抱きしめる。
 肌と肌の直接の触れ合いは、心にまでその温もりを伝え合う。
「秋良」
「ん?」
「愛してる」
「……うん、僕も」
 今日が誕生日だからだろうか、いつもとは違う素直な答えが返ってくる。
「秋良……」
 頬に唇を寄せて、自分の方へ向かせるように抱く態勢を変える。
 浴槽の壁の傾斜に秋良を寝かせるように横抱きにする。  お湯の温かさとミストの蒸気で、いつもより赤みの強い唇に、自分の唇を押し付けるように口接ける。
 柔らかな唇が、洋也の薄めの唇を押し返してくる。その柔らかさを味わいたくて、角度を変えて重ねていく。
「ん……」
 秋良の手が洋也の腕に縋りつき、切ない声を漏らす。
 唇を割り、なめらかな歯の表面を舐める。
 手の平で秋良の喉をくすぐるように撫で、そろりと胸へと下ろしていく。
 小さく淡い胸の飾りが白い水面から見え隠れしている。
 すべてが見えてしまうよりも、より扇情的な光景になってしまっているが、目を閉じている秋良にはわからないようだ。
「っあ……んん」
 指先で引っ掻くように乳首を弄る。焦りと喘ぎの混じった声は、洋也を止めるものではなく、より煽るものになっている。
「秋良、いつもより、……綺麗だよ」
 耳元で息を吹き込む。
 入浴剤でより柔らかくなり、ミストは滑らかさを増し、相乗作用によって上気したピンク色の肌。すべてが見えない乳白色のお湯は、恥ずかしがりの恋人の身体に色っぽさを加味している。
「ん……ゃ」
 洋也の率直な感想に、隠そうと身悶える身体が艶かしい。
「もっと感じて。何も考えずに」
 親指の腹で押し潰すように乳首を捏ね回す。
 逃げるのは無理とわかったのか、もう何もわからなくなったのか、秋良がしがみついてくる。その仕草が愛しすぎて、欲望は止めれなくなる。
 舌を絡め合い、頬の内側を舐めるように深く口接ける。
 足を秋良の間に割り入れ、乳首を弄っていた手をさらに下へと滑らせる。
 固くなり始めていた秋良の欲望に手を添える。
「あっ……あぁ、やっ……」
 自分の変化が恥ずかしいのか、これから行なわれる行為が怖いのか、秋良は洋也の肩を押して逃れようとする。
 しかしそれは足を絡ませる結果を生んでしまう。
「恥ずかしくないよ。見えない」
「んんっ……でも」
 秋良は首を振る。
 洋也を受け入れたい。けれど浴室は嫌だ。
「どうして。綺麗だよ、いつもより色っぽい」
 泣きたくなる様な台詞だ。自分の姿が浅ましく見えていないだろうかと、それが怖ろしい。
「ここだと秋良を咥えられなくて残念だな」
「バ……カッ」
 ドンと洋也の背中を叩く。
 大きな手に湯の中で擦られて、秋良のものは張り詰め、湯温よりも自分の身体のほうが熱いと感じるようになっていた。
 ピチャッピチャッと水の音が溢れる。舌を絡める音なのか、お湯が揺れる音なのか、もうわからない。
「ん……あぁ、はっ……」
 喘ぐ声がエコーを響かせて、大きく聞こえて恥ずかしいのに、声を止められない。
「ひろ……や」
 呼んだ名前が浴室に満ちるように響く。
「愛してるよ、秋良。……出して」
 強く握られ、先を引っ掻くように擦られると、堪えるのは無理だった。
「やっ!……あぁぁっ」
 突っぱらせた足が湯船の壁を蹴る。
 少し柔らかくなった愛するものを、やわやわと愛しそうに揉むと、秋良の目尻に涙が滲む。
 その水滴を吸い取り、指先をさらに奥へと運ぶ。
「あっ……洋也」
「大丈夫……何も考えないで」
 気持ちのいいことだけを追って。
 魔法の言葉のように囁きかけ、羞恥のベールをはがす。
「洋也……」
 しがみついてくる愛しい腕。
「愛してるよ、秋良」
 何度も何度も愛だけを与え、それ以外は考えられなくする。
 指先を潜りこませると、秋良の腰がピクリと跳ねる。
「痛む?」
 ここで交わりたい。このまま離れるなどできない。
 けれど秋良を傷つけたくはない。
「だい……じょうぶ」
 首を必死で振り、洋也に抱きついてくる。
「あ……お湯が……はいって……」
「少しだけだよ。秋良のここは狭いから、そんなに入らない」
 かあっと体温が上がる。全身が赤くなっているように感じる。
「も……もう」
 止めてなどくれないだろう。自分だって止められても困るところまできてしまった。
 ならば早く終わらせてしまいたい。
「まだ駄目だよ」
「だって……」
 泣きながら洋也に抱きつく。
 指が増えるのに、もっと確かなものが欲しくなる。そんな貪欲な自分の身体が恥ずかしすぎる。
 洋也にどんな風に思われているのだろうかと思うと、恐怖に身体が震える。
「もっと……もっと、欲しがって」
「洋也…っ!」
 なのに彼は熱く、甘い台詞をキスしながら囁くのだ。
「洋也……欲しっ……い」
 ずくっと疼くような言葉は、洋也の欲望の枷を外す。
 猛った己の砲身を掴み、愛しほぐした秘腔へと突きたてる。
「あっ! ……んんっ……ぁあ」
 ぐっぐっと肉をかきわけ押し入ってくる灼熱の塊に、秋良は迸る声を抑えられない。
 奥まで突き入れられたと感じたとき、くるりと体勢を入れ替えられた。
 洋也が浴槽にもたれ、秋良は抱きかかえられた。
「秋良……」
 掠れた声で呼ばれると、洋也も感じてくれているのだと嬉しくなる。
 自分だけが欲望にまみれているのではないと、わかってほっとする。
「洋也……」
 繋がったまま見つめ合う。
 泣きたくなるほど幸せだった。
「愛してるよ、愛してる」
 涙をこぼしながら笑う。
 どちらからともなく口接ける。
 舌先でつつき合い、舌を吸いあう。
 ここがどこかなど、もうどうでもよくなっていた。
「んっ……あぁっ」
 腰を掴まれ、突き上げられ、落とされる。
 水面が激しく揺れ、水の音が身体の中を行き来する、熱い塊の音のように響いた。
 いつ間にか洋也の手は胸にかかっていた。
 自分の身体は、洋也を味わうように勝手に揺れているのだ。その動きに作用するかのように、乳首を弾かれる。
「やっ……みな…いでっ」
 腰の動きを止められず、見ないでと懇願することしかできない。
「どうして……綺麗だよ……最高」
 秋良が腰を下ろすのと同時にぐっと突き上げられる。深く刺され、秋良は悲鳴をあげる。
「も……う……ダメっ……」
 背中を反らせ、逃げ出そうとする。
 その動きとは反対に、腰をつかまれ、ぐっと落とされる。
「達って……秋良……」
「あぁぁっ!」
 うしろに倒れそうになった身体を抱きしめる。
 ビクビクと震える身体に、きつく締め付けられ、熱い中へと放出する。
「んん……」
 ぎゅっとしがみついてくる身体の背中を優しく撫でる。
「秋良……」
 愛している。この気持ちをすべて伝えたい。余すことなく伝えたい。どれだけ言葉にしても、抱き合っても、まだ足りない。けれど……。
「洋也、大好き」
 渇望は、そんな一言で満たされる。
 その言葉をもらえるときが、この世の中で、今までの人生の中で、一番幸せだと感じられる。
 何度も何度もキスをかわし、秋良の身体から己を引き抜く。
 湯を流しながら、秋良の身体も清める。
 のぼせと疲れで身体に十分力の入らない秋良は、洋也にすべてを任せてくれる。
 ほかほかの身体をバスタオルにくるんで抱き上げる。
「もう……一緒には入らないんだからな」
 憎らしいことをいう唇をキスで塞ぐ。
「でも、気持ちよかっただろう?」
 かあっと赤くなった秋良は、洋也の一番幸せにする台詞を綴った唇で、一番嫌いな言葉を口にした。
「もう、大っ嫌い」
 それでもぎゅっと抱きつかれると、それもまた幸せだなと笑った。
 とりあえずは、人生最良の、誕生日。








Happy Birthday