キリスト教の開祖、イエス。キリスト教徒ではなくても、誰でも知っているその生涯。しかし、聖書に書かれているその生涯からどんな人だったかは残念ながら浮かんではこない人も多いだろう。破壊者・フーテンとまで描いた人もいる。(日本では寺山修司、キリスト教徒だが遠藤周作師がその代表格。ただ、遠藤師のキリスト像はどちらかというと仏教的で親鸞っぽい) |
その聖書、いくつかの福音書から成り立っている。ただ、その福音書同士を比べると、同じ内容ながら、いくつかの違いがある。第一、ナザレのイエス自身が書を残さなかった。その点は、釈迦と同じである。 近年、死海文書と呼ばれる物と、イエス一家の墓らしき物が発見されたという。そこには、驚くべき事実が判明した。イエスに娘がいて、その子孫は少なくとも2世紀初等まで存在していたらしい。当時、庶民には「姓」がなかったから、親子間の名前の組み合わせで誰か解るようになっていた。イエス一家もその通りで、重複は同じ町出身者ではあり得ない仕組みになっていた。 |
次に、死海文書。イエスの父はいないが、マリアの婚約者、大工のヨハネが父親の代わりに育てたとされていた。しかし、ヨハネの職業は実は大工ではなく、ユダヤ教の聖職者だったらしいことが判明。後に聖職者を辞めた?が、彼は結婚できなかった立場。マリアが彼の子を身ごもり、父親の名を言えなかったことは、そこで納得がいく。 |
それに、イエスが育ったのがエジプトと言うのが、引っかかる。エジプトはその前にローマに征服されている。最後のファラオ、カエサリオンはオクタビアヌスにより、幼くして殺されたとあるが、実は、密かに逃れたのかもしれない。それで、その子か縁者がイエス、かも。それなら、ローマ及びその傀儡イスラエルの脅威である。イエスがなぜ処刑されたのか、それが原因なら頷けるが……。 エジプトに渡るにしても、その行き帰りの旅費・生活費は要る。(当時も大都市やオアシス都市ではある程度貨幣経済社会が広まっていた)そのことについてはほとんど書かれていない。おそらく、旧都アレクサンドリアあたりに隠れていたのかもしれない。 |
イエスも知識階級だったことは、彼の後の行動や、弟子たちを多く引き連れて教団を作ったカリスマ性にも現れている。貧しい大工の子が、出来ることではない。 少年〜青年時代のイエスのエピソードが、聖書にほとんど書かれていないのも気になる。(わずかにルカの福音書に書かれている12歳の時だけ)釈迦の少年〜青年時代はかなり伝説とは言え、解っているにも関わらず、である。孔子でさえ、少年時代は解っている。 なのにイエスの場合、預言者ヨハネから洗礼を受けるまで(おそらく二十代後半)空白である。当時の初婚年齢は男子でも平均二十代前半。女子に至っては十代前半だ。当然、イエスが布教を始めた当時、結婚して、子供がいてもおかしくはない。 |
それに、イエスは当時、虐げられていた女性にも救済の手を差し伸べている。ユダヤ教では女性はイブをはじめとして、男性を堕落と罪に陥れた、悪い存在とされていたのにも関わらず、である。 アグダラのマリアをイエスの妻とする学者もいるほどだ。彼女の書いたもっとも古い「福音書」もあると言うから、彼女も相当、教育を受けた人物なのだろう。と、言うことは、彼女は娼婦や卑しい職業ではない、女性としてはキャリアウーマンだったことが察せられる。他の弟子より、女性と言うことで、受け入れられなかったマリアが、惜しい存在である。 |
しかし、その子孫は存在するにしても、ひっそりと暮らしたのだろうと私は推測する。折しも時代はローマ時代、キリスト教は迫害されていた、ユダとイエスの死後、残された十二使徒が、次々に過酷な運命にさらされ、殉教していった。その使徒たちの運命を見届ける事が、イエスの妻や子、孫にイエスから科せられた「使命」ではなかったのかと思われる。ただ、イエスが神格化された段階で、どこか遠くに姿を消したか、または見つけられて殺されたか……。とにかく存在を歴史上から消されたと思う。 |
ただ、墓や発掘物は嘘をつかない。「人間イエス」に対しての研究も、これからなされていくことと思う。イエスのおこした「奇跡」も科学的に証明される時代となった。イエスは先に生まれすぎた「時代の仇花」だったかもしれない。 |
結論 当然、年齢的に、布教前のイエスに妻も子供もいたと思うが、何らかの理由で存在を消されたのだろう。今となっては、子孫も解らない。こちらも頼りはDNAだが、果たして子孫が見つかるのか?である。少なくとも、ユダヤ・西洋人では見つからないかもしれない。 私の個人的な意見(当たってないことを祈る)だが、東北の戸来村のキリスト伝説。聖徳太子の誕生伝説も中国経由で日本に渡来したイエスの子孫含むユダヤ系の人々が流したのかもしれない。案外、イエスの子孫は身近に、日本人化していたりして……。怖いような話である。 と、言うのは、たまに純粋な日本人という人でも、彫りが深かったり、肌の色が異様に白かったりする人がいる。ご先祖が渡来系だったのではと思う。 |
参考文献 ウイキペティア 「沈黙」「悲しみの歌」遠藤周作著 高校時代もらった新約聖書 「ダヴィンチ・コード」 その他 |