自分の電池

 他人の電池の残りが見えないのに
自分の電池がどれだけ残っているか知るすべはありません
でも、私は老残をさらしたくない
まだ、歩けるうち、しわが少ないうちに
誰か電池を抜いてください

だれも電池を抜けないのなら
自分で抜くしかない
それが出来ないからジレンマです
私など、ちっぽけな人間です。何の役目もしていません
先天性異常児の間引きや
うぱ捨ての風習が残っている昔の方が
ある意味で良かったかもしれません

病院でチューブでつながれ、実験動物のような
終わり方を選びたくありません
無理矢理電池の残りを注ぎ足したくはありません
自分の電池はせめて自分で抜きたい
その生き方の方が、良いのではないか……
このごろ、そう思います

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