7.基礎・棟上まで

災い転じて……

 地鎮祭が何とか終り、基礎工事が始まりました。地鎮祭の時は、どこかに退避してあった大型シャベルカーも再びお出まし。勢い良く、折角綺麗に平らにした地面を掘削していきました。「縮小したはずなのに、ビルでも建てるのか?」とつばさは首を傾げました。(後にそう思ったのは私だけではなくご近所の人もと判明)さくらんぼは「だからS社はもともとビルなどの鉄筋鉄骨が得意分野。木造でも基礎は鉄骨と同じなんだ」と得意げに説明してました。
 それなら何故、得意分野の鉄骨頼まなかったんだろうと首を傾げましたが、仮住まいで謎が解けました。信州の冬は寒く、熱し易く冷め易いという、物質特性を持つ鉄骨の建築の内部では、いくら断熱しても、暖房を切ると、すぐに耐えられない程の寒さが襲います。ある程度、構成物質に、暖めにくく冷めにくい特性のあるH2O(水ですが、木材に含まれているのは分子単位の粒子。しかも空気中の湿気に左右されるので、あえて化学式で表現しました)を含んだ木材なら、断熱効果が鉄骨より持続するだろうという論理でしょう。
 確かに、冬の時期だったので仮住まいの頃は暖房代がかさみました。一台だけのエアコンでも、寒くて一日中掛けていたので、電気代が前の隙間だらけの家の時代とそんなに変わらなかったです。
 前の家は、実家同様、断熱・耐震補強なしで、昔ながらの木造土壁の家だったですが、小春日和のときは温かく、そんな時は暖房を切っていました。
 しかし、仮住まいでは買い物や通院の時以外、寒くて暖房を切りませんでした。しかもくくりつけのエアコンは旧式で、今の省エネタイプではなかったようです。これでは、電気代が跳ね上がるわけですね……。
 今は灯油ですが、暖房代は母が来ても、昔とそんなに変わりません。むしろ夏の冷房代が上がりそうです。家の母、エアコンによる冷房の方が安上がりなのに、未だに扇風機の方が電気代かからないと信じ込んでます。(ーー;)ジトッ
 仮住まいで驚いたのは、都市ガスよりプロパンガスの方が価格が高かったと言う事実。調べてみたら愛知でも事情は同じでした。これじゃ未だにプロパンガス使っている母(これも安いはずと信じ込んでいる)を早く引き取らないと、経済的破綻による餓死になってしまうと危機感を持ったつばさでした。
 いや、いろいろ仮住まいで勉強させて頂きました。
 肝心な基礎工事は?と申しますと、この年(2005年〜2006年)は雪が平年並みだったのですが、松代はもともと、雪の少ない土地柄です。しかも、降るのはさらさらの粉雪。よって、コンクリートの形成は、シートと要所要所の電気毛布の設置だけでよかったようです。
 工事の皆さんかご近所の皆さんが、歩道の雪かきをしてくださったようで、それだけは感謝しています。私たちは、と言うと、1〜2回、車が出やすいように、雪かきしただけでした。その頃から私は引きこもりになりかけていたようです。仮住まいの隣は偶然にもさくらんぼの元同級生のお宅でしたが、挨拶以外はお話せず、必要な時以外は外出しませんでした。
 第一回目の耐震調査の時、行きましたが、基礎はきちんと出来ていました。柱を立てる金具を設置する段階だったらしく、太さ7ミリぐらいのステンレスの棒の束が無数にありました。一本の柱につき平均4本使うとの事。S社の子会社のM・Kさんたちが設計図を睨みながら、真剣にそれをレールみたいな基礎に差し込んで、ボルトで止めている姿が印象的でした。
 調査員のM課長の第一声でしたが、「大きな家だね」でした。しかし私、前の家より縮小と聞いていましたので実感がなかったです。
 一ヶ月半の基礎工事の後、いよいよ柱が来ました。でも、柱は工場で一旦組み立てて耐震テストしたものだそうです。あっと言う間に組み立てられていったように記憶してます。
 一般の住宅とは違い、まず主要な柱を立てた後は、壁ではなく屋根が来ました、それで、前回の時、設計士のKさん、「瓦が製造中止になりました」と慌てふためいてばたばたと仮住まいまで来た訳です。それから壁、断熱材が入り、最後に断熱外壁です。ぜいたくにもさくらんぼが選んだのは陶製の断熱外壁。二重断熱と言うことになります。サッシも断熱。寒がりで暑がりのさくらんぼらしいと言ってはそれまでですが……。それにしても断熱にこだわりすぎの感があります。当たり前ですが、最後に内装でした。
 見学には時々行ったのですが、足が悪くてはしごもダメの私が行けない二階の写真撮ってとM監督にデジカメ渡して、お願いしたところ二階の写真はおろか、屋根まで昇って撮ってくださいました。まだパソコンに入ってますが、印刷して記念にとっておこうと思います。
 内装に入る頃には、梅のつぼみがほころんでいました。
 まあ、地鎮祭でのつばさの失敗が心配だったのですが、何とか事故もなく建ちそうで、ほっとしました。形式より心ということでしょうか?
文 つばさ 監修 信州さくらんぼ
以上

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