何処で誰を見るか(2000年)

2000年7月31日

por 斎藤祐司

 夏休みスペインに行くなら何処で誰を見れば良い闘牛に出会えるのか?その事を参考までに書いておきたい。

 8月9月は闘牛の開催が最も多い時期に当たる。有名闘牛士の稼ぎ時でもある。暑く忙しくなってくると疲れも溜まってくる。それは同時に、怪我や病気になる時期とも重なる。

誰を見るか?

 闘牛士の名前の横にある★は、 ★★★−良い闘牛が見たければこの闘牛士。 ★★−どうしても見て欲しい闘牛士。 ★−是非見て欲しい闘牛士。 ★なし−人気があるがお奨めしない。

 

 ホセ・トマス ★★★

今、闘牛見るならホセ・トマスを見ずして誰を見るというのだろう。彼の技術こそスペイン闘牛史上最高の闘牛士と言っていいだろう。クルサード、牛を体の直ぐ近くを通すパセは興奮を誘う。しかも今年最高の年になっている。今、見なきゃいつ見る?本当の闘牛ファンは誰が1番なのか判っている。マキシモ・トレロ。

 ホセリート ★★

99年は、休養に当てていたが今年復帰したら98年よりもずっと良くなっていた。アポデラードがホセ・トマスと同じなので、一緒に出場することが多い。カポーテ、ムレタ捌きは1級品。剣刺しも凄い。闘牛の構成の仕方が非常に上手い。闘牛士の中で1番の美男子。

 モランテ・デ・ラ・プエブラ ★★★

オルテガ・カノが引退してからアルテ系の闘牛士の最高峰になった。こんなに良い闘牛士になるとは思わなかった。とにかく、カポーテもムレタも美しい。顎を引いて背筋が綺麗に反ってパセをを繰り返す。トゥリンチェラは特にそうだ。今年は剣があまり良くないから耳を取れないときもある。でも、今年は、アレナの中央でレシビエンド良く試みる。今年、これを課題にしている節がある。未だ21歳。落語で言ったら、それでも古典落語を聞かせる腕を持っている。後10年もしたらもっと味のある闘牛をしているだろう。

 エル・カリファ ★★★

今年、サン・イシドロ祭のトゥリンファドール。とにかくこれだけ手の低いムレタのパセをする闘牛士はセサル・リンコンの右手だけだろう。特に、ナトゥラルが凄い。それと牛との距離が判っているから遠いところから牛を引っ張って来るパセが凄い。誰がこんなに化けると思ったか。凄い闘牛士になった。

 ミゲル・アベジャン ★★

6月2日のラス・ベンタス闘牛場の観客に異常な興奮で涙を流させたのは記憶に新しい。命懸けで闘牛をやっている気迫が観ている観客の感情を刺激する。カポーテから盛り上げ、ムレタで感情を絞り出す。血塗れ、汗まみれのファエナを必見の価値あり。

 マヌエル・カバジェーロ ★★★

彼をプロと言わずして、誰をプロというのだろうか?毎年毎年上手くなり続けている。どんな牛を相手にしても上手く捌ける技術は彼の真骨頂。苦労人は何年も悪い牛を相手にアレナに立ってきたからこそ牛を知り尽くしている。特に、ビクトリーノ・マルティンの牛を相手にするときはその技術が遺憾なく発揮される。剣は、角度が浅く刺さるのが難。

 エウヘニオ・デ・モラ ★★

とてもホセ・トマスと同じ年には見えないが、ロディージャ(膝を着いたパセ)で1回転半させるパセは誰にも真似が出来ない。それとパセ・デ・ペチョは体の内側から内側へ通す。これも誰にも真似の出来ないもの。野心的な顔もなかなか良い。

 フィニート・デ・コルドバ ★

昔良かった頃に戻った。シンプルなベロニカ、シンプルなムレタ捌きは闘牛の本質を語っている。

 ファン・バウティスタ ★

今、唯一スペインで活躍できるフランス人闘牛士。カポーテ、ムレタ共に1級品。若いのに牛を知っているのも良いファエナが出来る要因だ。正統派闘牛士。未だ10代。将来のある闘牛士だ。

 ビクトル・プエルト ☆

今年は何故か良い。やる気だけの闘牛しかできなかった男が技術を見せようと努力するようになった。カポーテを半分にしてやったガオネラには驚かされた。でも、ムレタではナトゥラルを忘れないように。マニリ引退後、闘牛界一醜い男。だが、牛にコヒーダされてもフラフラしながら牛に向かっていく気迫はスゲーぞ。男は顔じゃねぇ。

 ダビ・ルギジャーノ ☆

今年、ようやくラス・ベンタス闘牛場で耳を切った。体が柔らかすぎるきらいがあるが、カポーテ、ムレタとも良い腕を持っている。

 エンリケ・ポンセ 

フィグラになってから最低の年。良かったクアドリージャがダメになったらポンセまでダメになった。ファンは多いが地元のバレンシア(夏)でさえ耳を切れなかった。田舎なら良いところが見れるかも知れない。でも、基本的にはいつも同じ闘牛をするので飽きる。初めて見る人はそれでも綺麗と思うでしょう。

 エル・フリ 

去年は感動的な闘牛をしていたが今年はちっとも良いと思わなかった。技術的には去年より良くなっているけど限界が見えてきた。それとフリが出る日は切符を買うのが難しい。何故なら、スペイン一の人気闘牛士だからだ。それでも、ロペシーナが見たかったら闘牛場へ・・・。

何処で見るか?

8月

 バイオンヌ(フランス) ★

 ダックス(フランス) ★

 マラガ ★

 サン・セバスティアン ★★

 ビルバオ ★★

 アルメリア ★★

 サン・セバスティアン・ロス・レジェス ★★

9月

 アルル(フランス) ★★

 ニーム(フランス) ★★

 ムルシア ★

 アルバセーテ ★

 バジャドリード ☆

 サラマンカ ★★

 ログローニョ (行ったことがないので★評価できない)


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