−−−東京闘牛の会(TTT)2005年7月定例会報告−−−
por 斎藤祐司
7月の定例会報告『2005年サン・イシドロ報告』
初めのビデオはセラフィン・マリンの剣刺しから。背骨と肩甲骨のラインが交差する非常に良い場所に刺して牛が直ぐに倒れた。サン・イシドロのメホール・エストカーダ。口から血を吐いているがカイーダではない。良いところに刺さっても口から血を吐きながら牛が倒れることもあるのだ。続いてセラフィン・マリンの耳。牛の角は大きく広く開いている。角を観ただけでビビりそうな角で、こう言うのを僕の仲間は即死型の角と呼ぶ。しかも、ブスカンドする危険な牛。刺されたら本当に危ない。その牛を相手に逃げずに向かっていく。クルサードして丁寧にパセを繋ぐ。ひるまない。彼が偉大な闘牛士になりたいと望んでいることがこのファエナを観れば判る。ベンタスの観客が固唾を飲んで見守り熱狂した。剣も良いところに決まり耳。これで3年連続でサン・イシドロの最初の耳を獲得したことになる。
次はセサル・リンコン。18日耳1枚ずつ取ってプエルタ・グランデした2つのファエナ。ダメ牛を手の低いパセでクルクル廻して観客を熱狂させた。牛に向かうまでの静寂は巨匠の域に達した様だった。同じ日エル・シドはセサル以上に観客を熱狂させた。去年がフロックだなんて事はない。完全に化けて大闘牛士の道を歩き出した感じだった。
次が22日のセバスティアン・カステージャ。風が吹いているのに全然気にしない。ムレタが旗のように風で揺れるにもかかわらず。牛も左角がブスカンドする危ない牛。即死型の角。それで命掛けの闘牛。観客は恐怖に戦慄しながら熱く燃えた。尋常じゃない勇気は賞賛に値する。
次が26日のセサル・リンコン。誰も真似が出来ない遠いところから牛を呼ぶ技術。究極の技だ。ダメな牛でも彼にかかれば魔法のように動き出す。笑いが込み上げてくる極上のファエナだった。こんなファエナ他の誰にも出来ない!
最後が、最終日ビクトリーノ・マルティン牧場の牛を相手にしたエル・シド。これも凄かった。プエルタ・グランデを決めた後なのにそれ以上に素晴らしかった。本物の闘牛。本物の闘牛士。本物の技。剣が刺さらないのは牛の置き方が悪いから。落ち着けば大丈夫なのにね。
今年は去年に比べて非常に良い牛は出なかったが、闘牛士の技術でプエルタ・グランデが出た。全体的には牛は、つぶれたりする牛は少なかった。トータルとして牛は去年より良かったと言うことになるのだと思う。
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