2004年サン・イシドロ報告

−−−東京闘牛の会(TTT)2004年7月定例会報告−−−

por 斎藤祐司

 開始約20分前から、つまり17:40頃から5月22日に行われたフィリッペ皇太子とレティシア・オルティスの結婚式の模様を流した。オープニングは、マルとアレハンドロ・サンスが歌う、『CORAZON PARTIO』 のDVDを流した。結婚式の頃は未だ3人くらいしか来ていなかったが、『CORAZON PARTIO』 が終わる頃にはある程度集まった。始めは、5月12日のアントン・コルテスのグラン・ファエナ。右角の方が良い牛で、テンプラールのパセが感動的。角2本のクルサードも良かったし、ダメな方の左角でも良いパセを引き出した。剣が決まらなかった時の泣きそうな顔も印象的。次が17日のセルヒオ・マリンのコヒーダ。今年のフェリア中、1番重傷だった怪我だ。左膝十字靱帯断列で6ヶ月。痛さで顔を歪めて担がれていく姿が、闘牛の危険性を物語っている。人間の体なんて牛には人形みたいに簡単に持ち上げられてしまうのだ。2つ目のファエナは、同じ日のエドゥアルド・ガジョ。大粒の雨の中でプエルタ・グランデに繋がる耳1枚。体の前から後ろまで長いパセが良かった。

 次が19日のファンディのバンデリージャ。後ろに走っていく歩幅が前に走るときのように広い。3回目にコヒーダされたが3度とも角の間で完璧に打っていた。3つ目のファエナは、同じ日のマティアス・テヘラ。手の低い長いパセを繋いでプエルタ・グランデ。特にナトゥラルが良かった。4つ目のファエナは、20日のミゲル・アベジャン。お約束の様なコヒーダ。牛が悪かったが、良いパセを繋いで観客を沸かせた。パセ・デ・ペチョの後のウィンク。そんな事するから剣が決まらないんじゃないの。グラン・ファエナは剣で耳2枚が消えた。

 5つ目のファエナは、25日のセラフィン・マリン。ファエナの始めはグラン・ファエナだった。手の低い長いパセが繋がったが、クルサードを繰り返しても後半は牛が動かなくなった。またしてもプエルタ・グランデならず。残念な耳1枚だった。6つ目のファエナは、26日のセサル・リンコン。新聞は40m牛を呼んだと書き、6TOROS6は、50m牛を呼んだと記した。こんなに遠くから牛を呼んでパセをする闘牛士はセサル・リンコンだけ。驚異的な距離だ。そのことをラス・ベンタス闘牛場の観客に改めて認識させたファエナだった。セサルは前半、牛の持っている能力を最大限に引き出して最高のファエナをしたが、後半牛は本性を出して非常に危険になった。コヒーダされたのはその証拠。逆に言えば、それだけ危険な牛からあれだけのパセを引き出したセサルの闘牛士としての能力は物凄いものなのだ。剣はレシビエンドで1回ピンチャソの後、レシビエンドで良い剣を刺した。ファリア中、レシビエンドで剣刺しをしたのはセサルだけだった。これもまたファエナ同様、簡単なことではない。牛は、ファリア中唯一の場内1周になった。

 7つ目のファエナは、6月5日のエル・シド。ビクトリーノ・マルティン牧場の牛を相手にほぼ完璧と言ってファエナだった。耳2枚が当然のプエルタ・グランデのはずだった。しかし、剣が刺さらず耳2枚が消えた。泣きながらの場内1周。フェリアのメホール・ファエナに選ばれたがどうしてもプエルタ・グランデが出来なかったが、強烈な印象を残した。最後が、見習い闘牛士のミゲル・アンヘル・ペレラ。超新星。落ち着きと言い、技にしろ本当に素晴らしかった。ここ5年の最優秀見習い闘牛士に比べても1番良かった。将来性を高く感じさせた。


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