心安らぐスペインの村

 

por 尾内順子

 ラ・リオハ州のアバロス村。由緒あるボデガ(ワイン酒造所)や古びた教会をを見学した後、穏やかな日差しの中で人気の無い静かな石畳の道を散策しながら私は心に感動を覚えた。

 「これこそ私が夢みていた光景だ」と。かねてスペインの小さな村へ行ってのんびりとした時間を過ごしてみたいと思っていたからだ。バルで昼食を注文したところ、待つこと実に3時間、まさにスペイン。おかげでそれまでのなんとなく慌ただしかった旅の中で初めて時間がゆったりと流れる心地よさを味わう事ができた。

 バルのおばさんが作ってくれたチョリソの入ったジャガイモの煮込み料理は、家庭の味がしてとても美味しかった。

 バスク地方ラグアルディア村。ログローニョからバスで約30分、城壁のように連なる民家が囲む周囲2kmほどの小さな村。周りはぐるっと一面のぶどう畑。村の入り口の扉のところに素適な看板があった。

 「訪れた人に心の安らぎを!住民には健康を!出ていく人には幸運を!」。 この言葉がとても気に入った。

 スペインでは町でも村でもその中心にあるのは教会だ。この村は豊かとみえ立派な教会が印象的だった。ぶどう畑が一望できる見晴台のような広場にはお年寄りが何人もひなたぼっこを楽しんでいた。写真を撮らせてと頼むと身だしなみを整えてちゃんとポーズを作ってくれた。

 87才のおじいさんが「何処からきたの?」と話し掛けてきた。おじいさんによるとガジェゴ(ガリシア地方の人)がこの村には多いとの事だった。少々聞き取りにくい声で、写真を送ってと頼まれて名前と住所を書き留めるのが一苦労だった。スペインの田舎は、庭先が仕事場になっている日本の田舎とは違い、仕事の場と生活の場が別になっているのでなんだか都会的な感じがした。

 最後に闘牛の感想を二つ。今回は欠陥牛が取り替えられる過程を見る事が出来、大変興味深かった。また耳を獲得したホセ・トマスとミゲル・アベジャンのファエナにはとってもリズム感があって、彼らの優れた技で牛がそのリズムに乗って動いている事に感動すら覚えた。


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