5月31日のサン・イシドロは、アルクルセン牧場の牛で、ダビ・モラ、パコ・ウレニャ、アルバロ・ロレンソ。ダビ・モラは不思議な闘牛士で、あっという間に、牛を動かしてパセを繋げたりする。1頭目がそうだった。途中から牛が動かくなって、クルサードも甘くなっていた。剣刺しでコヒーダ。ぶっつり刺されたと思ったら、プンタッソだった。初めのタンダ2回が素晴らしかった。あとは良くなかった。
パコ・ウレニャは、剣刺しの時だけ、片目になった影響を感じる。あとは、去年までの様な正しいファエナをしようとしている。そして、何より観客は彼の味方だ。2頭目の牛はこの日1番良い牛だった。手の低い長いデレチャッソの長いパセが繋がり、オーレが鳴った。だんだんクルサードが甘くなって口笛も吹かれたが形にした。ナトゥラルはやり難い牛だったが無難にこなし、剣刺しは、ピンチャッソの後決まったが、カイーダというかバホナッソ。観客は耳を強く要求し、プレシデンテは耳1枚を許可した。それに対して、7を中心に講義する手拍子が鳴った。それは正しいと思う。これに抗議しない7は7ではない。パコ・ウレニャは、2回連続サン・イシドロで耳1枚を切った。
アルバロ・ロレンソは、たぶん全てにおいて基準以上のことをやっている。いわば闘牛士としての優等生。パセをドンドン繋ぐ。田舎闘牛なら耳を一杯切りそうだ。でも、ラス・ベンタス闘牛場ではそうはいかない。クルサード不足でパセを繋いでも、口笛を吹かれるだけだ。昔のエスパルタコを思い出す。サン・イシドロで耳を切っても、7の前で頭を下げて、ごめんなさい、ってポーズを取っていた。口笛をよく吹かれる闘牛士だった。しかし、エスパルタコは、10年くらい闘牛界に君臨した当時最高の闘牛士といわれていた。全てが80%の闘牛士でそつがなかったが、際立った特徴がない優等生的な闘牛士だった。アルバロ・ロレンソは、これから自分という特徴をどう出していくか、真剣に考えた方が良い時期に来ているのかもしれない。それでも変わらない、いや変われないのかもしれないが…。
この日のアパルタードは、アルクルセン牧場。見立は、4頭目91番、5頭目188番が微妙。3頭目146番?ひょっとしたらこの牛が1番良いかもしれない。1頭目、2頭目、6頭目はダメだと思う。
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