競馬空振り日記。すれすれなるままに・・・

por斎藤祐司

「競馬が人生の比喩なのではない。人生が競馬の比喩なのだ」−−寺山修司−−


 今日(10月24日)から『競馬空振り日記。すれすれなるままに・・・』を書くことにする。10月25日からGTが10週連続してあるからだ。競馬好きとしては、お金が入って来るか、出て行くか、大問題の時期だ。このタイトルは、いつも最後の所で外してしまう馬券。そう、いつもすれすれで外してしまうのが、俺の馬券だ。野球で言えば、バットがボールにカスリもしないでキャッチャーミットに収まって三振を意味する「ストライク」のコールをされる様なものだ。「あぁ、チィップなら三振じゃなかったのになぁ」
 そんな、予想上手の馬券下手の、自分自身に戒めを込めて付けたものだ。
 ♪馬で銭儲けした奴ぁないよ、分かっちゃいるけど止めたれない♪ 人に向けて書こうと思う。

 (このページは、闘牛とは関係ないと、いう人がいると思うが、闘牛は、牛と人とのもつれ合い。競馬は、馬と人とのもつれ合い。俺の中では同じ肉体表現の1つと考えている。だから、闘牛であり、競馬なのだ。)


恐れ入った2つの逃げ!10月11日(日)

今日は毎日王冠。東京競馬場に行って来た。三強の激突する今日のレースは天皇賞よりもレベルが高いと言われていた。競馬場はGT並みの混みようだった。パドックもしかり。昨日の夜は競馬仲間と、4コーナー廻ってサイレンススズカ、グラスワンダー、エルコンドルパサーの三強が持ったままだったら体が震えてくるね。なんて話していた。

 結果は、直線坂下まで武豊がタズナを持ったまま。勝負はそこで決まった。サイレンススズカの楽勝だった。マイペースで逃げれたのが最後の末脚が伸びた理由。上がり35.1には、驚いた。今まで36.3だったのだから1000m通過が57秒台だし1800mのタイムは1.45.0位だと思っていたから、そうするとちょっとの差で4歳2頭グラスとエルコンドルパサー(スペイン語やってる人なら分かるよね。コンドルは飛んでゆく、の原題)が刺すと思っていたが思惑は外れた。いやぁあんだけ上手く逃げられたらお手上げだ。
 武豊参ったね。上手くなったよなぁ。タズナをピンと張って追える様になって・・・。海外遠征のおかげですか。

 もう一つの逃げが京都大賞典のセイウンスカイ。鞍上横山典弘が、後続に20馬身以上差を着けての大逃げ。ターフビジョンにセイウンスカイと後続との差が写されるたびに「ドット」場内が沸く。3コーナーで後続が差を詰める。脚が上がってくるセイウンスカイ。今度は場内から失笑が洩れる。並みの馬、並みの騎手なら4コーナーで終わってるところ。

 しかし、後続を1馬身差まで引きつけたまま直線に入った。内でジッと待っていた天皇賞馬メジロブライトが河内の左ムチに答えて2番手に着いていたステイゴールドをかわし、セイウンスカイを捕らえに掛かる。直線まで追い出しを待っていた典弘は、左ムチを振って逃げ切りを狙う。大外から有馬記念馬シルクジャスティスが追い上げる。ゴールは頭差メジロブライトを抑えて横山典弘セイウンスカイが勝った。

 並みじゃない2つの逃げ切りに、恐れ入りました。

 サイレンススズカは天皇賞、セイウンスカイは菊花賞に行くだろう。
 サイレンススズカの天皇賞は固いだろう。菊花賞はスペシャルウィークとの一騎打ちになるのだろうか。楽しみな秋のGTシーズンがもうすぐ始まる。競馬のHPでも開こうかな。


10月24日(土)
 さぁ、秋のGTシリーズ第一弾。4歳牝馬の2000mレースだ。京都競馬場内回りで、どんなドラマが待っているか楽しみだ。
 「うーん。見える見える展開が見える。」と、騎手が言う所から始まるのが、田原成貴、原作の漫画『ありゃ馬、こりゃ馬』だ。

 このレースは、エリモピュアが逃げるのは目に見える。番手か好位に、3頭(エアデジャヴー、エリモエクセル、ファレノプシス)が着けて直線勝負になるだろう。良馬場ならこの3頭で決まりだろう。問題は、重、不良馬場の時だ。当日の馬場に注意しないとね。それまでに穴馬探しとこ。勉強、勉強。


10月25日(日)
 朝、後楽園のウインズに行って馬券を買ってきた。馬場は晴れなので良馬場と読んで当初の通りエアデジャヴー、エリモエクセル、ファレノプシス、の三点を買ってきた。真っ向勝負の直線でどんな結果が出るか、楽しみだ。


10月27日(火)
 競馬とはつくづく判らない。何故エアデジャヴーの後ろにいたナリタルナパークがインを突いて交わす事が出来たのか?3枠5番に入ったエアがインに包まれて直線に向いたときは、4コーナーから捲っていったファレノプシスに並べるかと思っていたのに、何故伸びなかったのか?

 先週は雨の中での競馬。馬場の内側は荒れてボコボコになっていた為に、末脚が伸びなかった。と、言うことは天皇賞も同じ事が言えると言うことか?まっ、それは良いとして武豊のタズナ捌きだけが目立った。

 ファレノプシスは、母がナリタブライアンの母の妹で、父がブライアンと同じブライアンズタイム。つまり、ナリタブライアンとは、3/4兄弟だ。2着のナリタルナパークは、大久保正陽厩舎、馬主が山路秀則、生産が早田新冠牧場で、これまた、ナリタブライアンと同じ。新聞は、今は亡き名馬ナリタブライアンの弔い競馬と、言う風潮だ。勝ってしまえば、何とでも言える。

 でも、こういう馬券はなかなか取れない。だから、万馬券になるのだ。

 所で、金曜日に佐野元春の『Moto Singles』を買って来た。今、それを聴きながらHPを書いている。その中の「アンジェリーナ」の歌詞で気になる所があった。
♪プロムナードにたむろしている  望みをなくしたポップコーン・ガール  今晩誰かの車が来るまで  闇にくるまっているだけ♪(1982.2.25)
 これが、16年前の歌詞かと思うよね。今のこと歌っている様な気がする。都会の孤独は際限がないように広がっている。人との付き合いからが判らない、そんな人があの当時(82年)より確実に増えているんだろうな。歌は時代を、時代は歌を反映しているのだろう。

 佐野元春は、「Someday」以降は聴いていない。やはり、若い頃の方がビートが利いていて、切れがある。
♪いつかは誰でも  愛の謎が解けて  ひとりきりじゃいられなくなる♪ むかし良く口ずさんでいた。
でも今は♪窓辺にもたれ夢のひとつひとつを  消してゆくのはつらいけど  若すぎて何だか解らなかったことが  リアルに感じてしまうこの頃さ♪

 現実を受け入れるところから人生は始まる。問題は天皇賞。サイレンススズカは、サイレントハンターに絡まれずにマイペースで逃げれるか?今度の予想はここから始まる。


10月30日(金)
 水曜日の調教追い切りで、サイレンススズカは、栗東坂路で49.6の1番時計を出した。毎日王冠から中2週のローテーションといい、天皇賞で1番相性の良い毎日王冠組の筆頭であることといい、絶好調の調教といい、大本命間違いなしだ。
 それに絡んで行くと思われるサイレントハンターの追い切りも、大久保洋調教師が「状態に関して言うことなし。最高といっていい仕上がりだ」と、言っている。そして牽制球を1つ放った。「マイペースを守るが、うちが内枠を引けばあちらも(サイレンス)出方が難しくなるだろう」と。

一方、追い込み勢は、シルクジャスティスが、秘策舌縛りの調教で上澄みをアピールした。が、メジロブライトは調教に乗った河内に泣きが入った。ますます予想が面白くなってきた。荒れる天皇賞。あなたは、サイレンススズカから、それとも、穴狙いで違うところから行きますか?

 枠順が大きく左右する天皇賞。朝10時の確定が待ち遠しくなってきた。


10月31日(土)
 風呂から上がって鍋を食う。そろそろ寒くなってきて、鍋の季節になった。最近馬のようにベジタリアンだ。鍋に入れたのは、椎茸、エノキダケ、本シメジ、糸こんにゃく、木綿豆腐、長ネギを、すき焼きのタレで味付けして、煮えた所で卵でとじた。鍋は美味い。でもいつも糸こんにゃくを食べながら思うことがある。シラタキと、糸こんにゃくは何処が違うのか?

 天皇賞は馬券を買わないことにした。武豊が6週連続重賞勝ち。そろそろ負けそうな気がするし、逃げ馬は天皇賞に相性が良くない。1番人気も10年勝てないでいる。内枠にサイレントハンターが入ったらもっと面白いレースになっていたかの知れないが、6枠7番に入ってマイペース宣言してしまってはちょっと買う気が起きなくなった。サイレンススズカが1枠1番でみんなは、有利だと思っているけど、そうでもない。以外と危ないよ。

 だから今回は見るレースだ。ホントは、メジロブライトに勝って欲しいけど前走馬体重が、マイナス12キロじゃねぇ。勝たせたいけど買えない馬券だ。闘牛じゃ回避はないけど競馬には回避はある。まぁ、TVで見て楽しもう。


11月3日(火)
 天皇賞を観ていて感激した。胸に熱い物がこみ上げてきた。
何故?と、いう人がいるかも知れない。可哀想なだけだったけど感激はしなかったよ、と。
 否、否だ。

 大欅向こうの3・4コーナー中間過ぎ、ハイペースで後続を10馬身近く離して逃げていたサイレンススズカが、故障発生し競争中止。馬を止める時、後ろを振り向きながらゆっくり外に出してタズナを引く。後続馬にサイレンススズカが囲まれないようにしたのは武豊の、馬に対する思いやりだ。万が一、後続馬の進路を妨害して騎乗停止になっても良い覚悟がそこに見えた。

 6週連続重賞勝ち。7週目の土曜日マイネルラブ、1番人気で勝てず、日曜日圧倒的1番人気のサイレンススズカで故障。人気が1番だからといって勝てないのも競馬。速くても、強くても勝てないのもまた、競馬なのだ。

 しかし、武豊は故障が分かった時点で、馬にとってもっとも良いと思うことをした。故障してパニックを起こしているであろうサイレンススズカを馬群に包まれないようにして、たとえ進路妨害になっても、この馬を出来るだけ早く静かな所にやって落ち着かせようとする姿勢は立派な騎手の姿だ。今まで1番嫌いな騎手が武豊だった。でもこの対処の仕方を見て感心した。感動した。

 武豊が立派は大騎手になったのが今度の天皇賞だ。

 勝ったオフサイドトラップはナリタブライアン世代。脚部不安で脚を心配しながらの競馬。8歳馬が初めて天皇賞を制した。調教師は苦労して馬を仕上げた。担当厩務員を毎日毎日大変な思いで馬の世話をした。苦労は報われた。おめでとうと、言いたい。しかし、彼等は言うだろう。「勝負事には、勝ち負けはある。問題は結果じゃない。日々の馬の面倒を、どれだけ細心の注意をはらって丁寧に真面目にするかなんだ。それが毎日ちゃんと出来る様になって初めて、男が仕事をやったって事なんだ」と。

 真っ青な顔で引き上げてきた武豊が「突然でした。デビュー以来最高の出来だったし、自信を持って臨んだ。レースでも理想的なペースを踏めたのに・・・」 新聞記者が 「原因は」 と武豊に聞くと 「原因は判らないんじゃなく、ない」 と、吐き捨てたと言う。

 「もう競走馬としては無理だと覚悟しているが、せめて無事でいて欲しい」と、言う武豊の願いも虚しく、診療所の診断は、 「左手根骨粉砕骨折」 馬主の永井啓弐氏と橋田満調教師が協議、安楽死処分が決まった。予後不良。

 サイレンススズカ担当の加茂力厩務員が馬房に戻ってきて 「膝が反り返っいて・・・。とても見ていられなかった。競走馬の宿命だけど、種牡馬になるのが本当に楽しみにしていたのに」 深く刻まれた顔のしわを伝わって止めどなく涙が流れる。それを隠そうともせずに、初老の厩務員は形見になったサイレンススズカの馬具を黙々と片づけた、という。

 フジTVでは、斎藤陽子が泣いていた。声を詰まらせていた。そして男達は自分の仕事を黙々と続ける。競馬に携わる人間達のそれぞれのドラマがそこにある。脚光を浴びるのは騎手ばかり。だがそれを支えているのは無名の厩務員や零細の中小生産牧場があって、競馬が成り立っていることを我々は忘れてはならないのだ。

 それにしても史上最高の逃げ馬サイレンススズカは、一体何から逃げようとしていたのだろう。寺山修司風に考えて見たくもなる、ぶっちぎりの逃げ方だった。


11月4日(水)
 皐月賞で勝のは、早い馬。ダービーは、運の良い馬。菊花賞は、強い馬。と、競馬の格言の様に言われている。
4歳牡馬三冠最後のレースが、今度の日曜日にある。サイレンススズカで真っ青になった武豊がスペシャルウィークで1番人気に応えられるか、セイウンスカイで横山典弘が逃げ切るのか、はたまた天皇賞の様に、オフサイドトラップの様な馬が出るのか?明日のスポーツ新聞の競馬面に載っている追い切り調教の結果が楽しみだ。これから、『Gallop’94』 追悼ナリタブライアンを読むことにする。


11月7日(土)
 菊花賞の枠順が決まった。セイウンスカイは良い枠を引いた。何の苦のなくハナを切れるだろう。屋根は典だから距離の持つだろう。キングヘイローは、1週目の3コーナーの坂と、正面の歓声で引っかからなければ良いが前に馬をおけないとちょっと困った事になりそうだ。福永祐一のタズナに掛かっている。ダイワスペリアーは、テンノリの蛯正がどんなタズナ捌きを見せるか楽しみだ。

 1番人気間違いなしのスペシャルウィークは、何の心配もなさそうだ。  4−17で、決まりそうだが発走前までじっくり考えよう。


11月8日(日)
 菊花賞を東京競馬場で観てきた。朝から「これ呑んで」なんて騙されてウィスキーの水割りを呑まされて、今日は大丈夫なんだろうかと思っていたが・・・。まさかまさか。セイウンスカイがレコードで逃げ切るとは思わなかった。馬も凄いし、騎手も凄い。あれじゃいくら武豊が、斜行で騎乗停止が決まっていて気合いが入っていると言っても、手も足も出ない。

 恐れ入った逃げ切りだ。典はとてつもなく上手くなった。涼しい顔して逃げ切ったセイウンスカイも、大したもんだ。前走が大逃げで古馬を一蹴し、今度は史上最高馬の呼び声の高いスペシャルウィークを寄せ付けず圧勝。逃げ切りがこんなに凄いとは思わなかった。増沢や、中館の逃げ、サイレンススズカの逃げさえも霞んでしまいそうだ。

 武が騎乗停止でエアグルーヴに典が乗ることになった。これなら間違いなく典の乗るエアグルーヴでエリザベス女王杯は勝てるだろう。  来週も頼むよ、典!そして、今日はありがとうございました。


11月10日(火)
 今度の日曜日は、エリザベス女王杯だ。スポーツ新聞には良い記事が載らないのが火曜日だ。何故なら、厩舎が全休日だからだ。これから、週刊競馬ブックと、週刊Gallopを、読んで検討しよう。古馬同士で大丈夫なのか、4歳馬の食い込みがあるのか?恐らく難しいと思うが。


11月14日(土)
 エリザベス女王杯の枠順が発表された。メジロドーベルは、1枠1番。エアグルーヴは3枠3番。逃げ馬不在。それでも恐らく5枠の2頭エガオヲミセテ、ナギサが先に行くだろう。ペースはそんなに早くはならないだろう。むしろ遅くなるかも知れない。こんな風にはっきりとペースを作る馬がいないときは実力がはっきり出てしまうと思う。よって、1−3の1点で行きたいがそこに穴馬を1頭入れたい。4歳馬を切り捨て、古馬から、調教の良さと末脚の切れを買って5番アーティストターフを加えようと思う。さあ発走まで楽しい夢でも見ようか。明日は現実が待っているんだから。


11月16日(月)
 勝とうと思って勝てないのも競馬、勝てるだろうと思っていても勝てないのも競馬、何とかしようと思って乗っていても何にも出来ないのも競馬。あの馬は強いけど、今度こそ勝ちたいと思って乗って勝ったときは相当嬉しいだろう。それが今回のメジロドーベルに乗った吉田豊だ。

 新人の頃、中山競馬場で見たときはウイウイしかった。ハンサムな顔立ちなのが印象にあった。それが、段々腕を磨いていった。メジロドーベルと出会う前は、穴の吉田と言われていた。俺の競馬友達はあいつはいつか大怪我をするぞ。と言っていたものだ。何故なら、吉田豊は柵ギリギリの内側を突いて馬一頭分あるかないかの所に突っ込んでいって、こじ開けて人気薄の馬で良く穴を開けていたからだ。“穴の吉田”は、命懸けで馬に乗っていた。こんな彼がいつしか好きになっていった。

 俺にとって豊は、武豊ではなく、吉田豊だった。馬社会とは関係のない所から、競馬の世界に入って来て、沢山乗せてもらう為には、何とか認めてもらう為に、彼が選んだことは、命懸けの騎乗だった。あいつは良い馬の巡り会えば近いうちにG1を勝てるだけの実力が付いた、と、思った頃、自厩舎のメジロドーベルに出会った。

 そして、阪神3歳牝馬S、オークス、秋華賞とG1を勝って、1歳年上で去年の年度代表馬エアグルーヴにようやく勝った。1つ1つ毎日毎日の積み重ねが昨日の勝利に繋がった。直線で埒沿いに伸びてきたドーベル。ゴールする前から左手を挙げてガッツポーズをしたのを見て馬券のことはどうだも良くなった。

 ♪君の元気は、僕の元気だ♪ 吉田豊おめでとう。ドーベルに出会えて良かったね。


11月21日(土)
 「何でモルツは泡まで美味い」美味いのは、泡であって中身ではない。ビールの泡が美味くても、ビールその物が美味くなければ・・・。と、言ったのは『1馬』の清水成駿だ。泡も美味く中身も美味いのがタイキシャトルだ。今週じっくり考えたが、死角がない。血統、実績、状態、調教、距離、どれを取っても死角がない。唯一、ローテーションだけが、データでは不利だが、何せこの馬はヨーロッパのG1を勝った馬。格が違いすぎる。

 藤沢調教師のコメントも、岡部騎手のコメントも不安など何もない。タイキシャトルで間違いない。単勝を買って来た。そして、シャトルからG1馬、2頭、キョウエイマーチ、シーキングザパールに、馬連で流した。シーキングは距離適性で?が、つくがこの馬もヨーロッパのG1を勝ったのだから、本来はシャトルとの1点で行きたいくらいだ。しかし、それにドンと行く度胸がない。

 その2点に、ビッグサンデー、ロイヤルスズカの2点を加えて馬連は4点買って来た。あくまで馬連は今回は遊びで買うことにした。勝負はあくまでタイキシャトルの単勝だ。どんな勝ちっぷりをするのか。見所はその1点だ。そして、2着は何か?

 明日は、仕事なので今日馬券を買って来たが、本当は当日京都に行ってタイキシャトルに逢いたかったなぁ。まだ、1度も見てないのだ。何せ、去年はスペインに行き放しだったから。逢うのは、次回スプリンターステークスまでとっておくか。

 今日の馬券は、メイン、ノミ買って来た。4点買いで取った。ホントは1点だったよなぁ。反省。

 今日から、テレホーダイが使える。ネットサーフィン、どんどん出来るぞ。


11月23日(月)
 「この強さを、どう表現したらいいのか。世界を制した脚、次元の違う能力、歴史的マイラー。どれも的を射ている。しかし、タイキシャトルの強さを表現し切れているかとなると、疑問が残る。それほど、この日の“凱旋公演”は、際立っていた。」 −−『Gallop』−−

 レース前のスポーツ紙の見出しに“格が百枚違う”なんて書いてあった。フランスのG1、ジャックルマロワ賞を勝って、ブリーダーズカップに行く予定を、検疫などで体調を整えるには馬に負担がかかると、言って馬主と調教師、岡部騎手の3人で日本のマイルチャンピオンシップに、次走を変更。狙い切ってのG1ゲット。

 負けるはずのないレース、負けてはいけないレースに、圧倒的1番人気に応えての圧勝。何の心配もなく見ることが出来た。直線、馬なりで先頭に立ったとき勝負は決していた。2着争いを尻目に5馬身差の圧勝。「強う馬は、絶好調じゃなくていい。普通であれば勝てる」と、岡部は言っていた。普通の状態で出て何のことなく勝ってしまう。これこそ、名馬中の名馬だ。

 馬主の赤沢芳樹さんは、英語が達者。しかし、馬のことは何も知らなかった。父親が馬主でその関係で岡部幸雄騎手と知り合う。岡部の紹介で藤沢和雄調教師に出会い、大樹ファームを作る。そして、強い馬づくりを始める。こうして大樹、藤沢、岡部の三角関係が出来上がった。“大樹”は、1日にしてならず。

 岡部は、これでG1、28勝目。50歳と22日目の最年長G1制覇。18歳で騎手になって、世界を目指して海外遠征を続けてフランスのG1、ジャックルマロワ賞をタイキシャトルで勝った時、涙を流していた。騎手としての夢を3人で掴んだことに意義があったのだ。

 おめでとうございます。岡部幸雄様。私はあなたが世界1の騎手だと思っています。


11月24日(火)
 いつもG1が始まると思うことがある。今回のテーマは何か、と。今年の秋のテーマがようやく見えてきた。それは、“武豊”だ。え?なんて思う人がいるかも知れないので書いておこう。

 10週連続G1が始まった秋華賞で勝ったのが、2番人気のファレノプシス。これは、鞍上、武豊。天皇賞で、1番人気で骨折予後不良になったのが、サイレンススズカ。菊花賞で1番人気でレコードで逃げ切られ2着になったのが、スペシャルウィーク、武豊。この前日斜行で6日間の騎乗停止になる。気合いを入れて乗ったはずなのに勝てなかった。

 そして、エリザベス女王杯で、1番人気の武豊の馬エアグルーヴに乗ったのは、前週セイウンスカイで菊花賞を勝った横山典弘。勝ったのは、2番人気メジロドーベル、吉田豊。前週武が「メジロがあんなに外を廻ると思わなかった」と、言ったメジロに乗っていたのが、吉田豊だ。

 マイルチャンピオンシップは、1番人気のタイキシャトルが勝った。この秋初めて1番人気が勝つ。2番人気が武が乗る予定だったシーキングザパール。結果は河内が乗って8着。

 この秋、武豊は親しい記者に「少なくても5つは勝てるでしょう」と、話していたという。それだけ自信があったのだろう。が、現実は厳しい。騎乗してのなかなか勝てず、騎乗停止のおまけまで付いてしまった。武の乗る馬、乗るはずだった馬の選択がこの秋のテーマの様な気がしてきた。いかがでしょう。

 ジャパンカップは恐らく1番人気は武の乗るはずだった、スペシャルウィークだろう。これは、岡部幸雄が乗る。エアグルーヴには、横山典弘。今のところ外国馬は、調子があまり良い馬が来ていないみたいなので、この2頭で決まる可能性が高いような気がしている。


11月28日(土)
 今日は10レースと、11レースの馬券を買った。10レースは、ロードフェイスとホーセンホーライで固いと思っていたら、同枠のサクラアカツキにやられてしまった。900万条件を勝ったばかりの4歳牝馬。53キロの軽ハンデを利して刺しきり勝ち。今年の蛯正は、ひと味もふた味も違う。お見それしました。間違った。橋本広樹だった。

 11レースは、当てにならないスピードワールドを蹴って、シンボリフェザード、エアジハード、マチカネサンシローの3点買いに、プレストシンボリからシンボリフェザード、エアジハードへの2点を加えて5点買いで、見事、馬連1−5 4270円をゲット。お馬さんにありがとうを言わなきゃ。

 ジャパンカップは、今週のサンスポと、1馬を読んで検討した結果、本線はやはりスペシャルウイーク、エアグルーヴにした。気持ちはほぼこの1点買いなのだが、安全をきして、チーフベアハートからその2頭に流し、もしものエルコンドルパサーをスペシャルに絡めての、4点買いにした。先週に続いて岡部がG1を勝てば言うことない。

 馬券は当たれば嬉しいが、用は記憶するためのもの。レースを楽しむ気持ちがなければ唯のギャンブルでしかなくなる。そこで、行われている“その事”を冷静に見つめれるか。その事が重要なのだと思う。

 HPを通してメールが何通か来た。リンクを申し込んだ「ABOUT 牛」の、萬城さん。ありがとうございます。こちらより先にリンクを貼っていただき、恐れ入ります。本当に闘牛ファンの為になるHPです。

 遅れてしまったのは、マルさんも一緒。リンクの許可ありがとうございます。


12月3日(水)
 コンドルは飛んでゆく。世界へ向けて。強えー。1800mまでしか距離経験がないのにいきなり2400mのしかもジャパンカップを勝ってしまう。ダービー馬、年度代表馬、グランプリ馬、ブリーダーズカップ馬、ヨーロッパのG1馬達を相手にして圧勝。こんなに強かったんだ。エルコンドルパサー。馬の能力とは凄いものだ。

 蛯名正義。2度目のG1制覇。一昨年の秋の天皇賞で、テンノリのバブルガムフェローで勝って以来だ。今年の蛯正は一皮むけた。重賞だってこれで13個目。本場場に出てきた時だって、大歓声に馬が驚かないように口笛を吹いて、落ち着くように細心の注意をはらっていた。直線で追い出しているときも、ハミをしっかり掛けて首の後ろでタズナを握っていた。両腕を時々左右に開いてリズムを変えたりして、騎乗に工夫と技術が備わってきた。

 典や岡部よりしっかり追っていたのにはちょっと驚いた。あれじゃー勝てるよなぁ。あれじゃー勝って当たり前だよなぁ。結果とは、日々の積み重ねによってしか出てこない。それが、ジャパンカップをエルコンドルパサーで勝った、蛯名正義の騎乗だった様な気がする。良い嫁さんにも恵まれた。元TV東京の競馬中継のアシスタント。石森かずえ。

 彼女は、本当に競馬が好きなんだなぁと、TVを見ている人が思える人だった。「あたしは、トウショウボーイも、テンポイントも、グリーンクラスも知らないけど、タマモクロス、イナリワン、オグリキャップの三強対決が見れた事が、本当に良かった。競馬の面白さ、楽しさ、感動をこの三頭から教えてもらいました」と、泣きそうな顔して言ってたことを今でも思い出す。

 世界を相手に堂々のぶっちぎりの勝利。これからは、タイキシャトルやシーキングザパールの様に世界に日本馬が出ていってG1を勝つ時代になるのかも知れない。コンドルよ、世界に羽ばたけ!

 そして、蛯正。これからは、新馬戦から乗った馬でG1を勝てる様になって、武や典に並ぶ騎手として競馬を盛り上げて行って欲しいものだ。岡部も引退も近いだろうし、早く岡部の様になって欲しいな。

 馬券とは、当てるためだけにあるものではない。それを見ている人の心の奥底に記憶されるために最良の装置なのだ。これは、負け惜しみじゃなく、そう思っている。


12月6日(日)
 どれを買えばいいのか判らない。それが3歳牝馬のレース。しかも今回の阪神3歳牝馬ステークスは、人気馬はいても怪しそうな娘ばかり。かつてこのレースを勝った、ニシノフラワー、ヒシアマゾン、メジロドーベルのような大本命不在。1番人気のコウエイロマンにしたって、3連勝は立派だが、順調さに欠ける。脚質は、一本気な逃げでないにしても、逃げ馬がこれだけ揃えば買い目は他と思うもは人情と言うもの。

 阪神の直線は坂がある。その坂で逃げ馬がたれてくるのが目に見えるようだ。狙いは差し馬。これでもし、エイシンルーデンスが、好位置から抜け出てかるようなら本物かも知れない。が、血統がなぁ。いくら前走、7馬身の圧勝でも500万条件。そして、野元厩舎に野元騎手じゃ、魅力がない。

 それなら、同じ500万条件を勝って楽に来た、スティンガーの方が良い。岡部から横山典弘に乗り替わりは何の心配の要らない。連闘だけが心配だが。そして、いまいち本物になりきれない、ゴッドインチーフ。3連勝確実と思われた前走、新馬を勝ち上がったばかりの、プリモディーネ差されては将来に関わる敗北と言わざるを得ない。が、毎年ファンタジーS組は連に絡んでいることを考えれば買い目に選びたくもなる。

 そして、あの、ロザードを破って京王杯3Sを勝ってきた、ウメノファイバー。ユタカオー産駒ならスピードの切れも持ち合わせている。ヒシピナクルはヒシアマゾンの妹。血統は良いとしても、怖がりな馬だという。それじゃ蹴らざるを得ない。結論は、ウメノファイバー、ゴッドインチーフ、スティンガーの3点買い。

 くれぐれも、3歳の牝馬のレースと言うことを忘れないように。お金を沢山突っ込んじゃ駄目。自信がなかったら、買わなきゃ良いんだから。中山のターコイズSは、エアデジャヴーが勝たなきゃならないレース。勝ってこそ来年に繋がる。岡部が2日連続の重賞取らせたいな。


12月10日(木)
 強い。こんなに強かったんだ。そう思ったのが今度の、阪神3歳牝馬ステークスだ。勝ち馬は、スティンガー。藤沢和雄調教師の厩舎にまた、新しいスターホースの誕生だ。逃げ馬の揃ったこのレースは、ハイペースで進み、追い込み2頭で決まった。でも、4コーナーを回るときのスティンガーのバランスの良さ、直線に向いてから内に寄せていったセンスの良さ、末脚の凄さ、他の馬とは次元が違っていた。

 順調にいけば来年のクラシックは、この馬、中心になるだろう。勝利ジョッキーインタビューで横山典弘は、このことに話を向けられると、笑って、「岡部さん、がんばって」と、言った。今回は、乗り替わりで典が乗ったが、本番は岡部幸雄がタズナを取る。初めての桜花賞制覇なるか。勝たせたい。岡部が、桜花賞を取れば、ほとんどのG1を勝つことになる。

 馬券ははずれ。差し馬と言っていたのにな。金曜日の段階で4頭に絞っていた。エイシンはエイシンでも1枠の方が差し馬だから人気がなくても狙うならこっち何て言ってたのに・・・。それなら買えよな。あんなに人気がないと思わなかった。万馬券だもんなぁ。嫌んなちゃうよ。とほほ。でもお金はいっぱい入れていない。それと、来年のクラシックが見えてきたのが救いだ。


12月11日(金)
 週刊『競馬ブック』の朝日杯3歳ステークスの、東西統一G1になってからの、過去7年のデータからだと、3頭が残ることになる。データは、勝利数、2勝以上。重賞で4着以下、500万や新馬戦でも、5着以下がないこと。1600m以上で連対経験があること。キャリアが2〜4戦。秋の中央開催のオープンで連対した経験があること。デビュー2戦目までに勝ち上がっていること。前走条件はオープンであること。500万条件から来る馬は、2馬身以上の差で完勝している事が条件だ。

 残った3頭は、内からエイシンキャメロン、アドマイヤコジーン、オースミブライト。1番人気はエイシンではなくアドマイヤコジーンになりそうだ。そして勝つのもアドマイヤコジーンだろう。新馬勝ちのタイムが同日古馬900万より良いタイムなのだ。僕らはこういうのは何回か学習している。たとえば、ニシノフラワーが、古馬500万より良いタイムを新馬戦で出だしている。そして、3歳でG3、G2、G1と勝った事を。

 ロバーツが日本馬で、初めてG1を取る可能性だ大だ。そして、馬券は当日行けないので、データを参考にして、アドマイヤコジーンから、オースミブライト、エイシンキャメロン、へ流し、一応縦も引こう。そして、可能性として考えられるのがバイオマスター。これが勝ったら泣く人間は一杯居るだろうな。馬主、田中春美。騎手、田中勝春。つまり、実の親子なのだ。勝春の親父は泣き虫だから、人目も憚らずボロボロボロボロ、涙流すんだろうなぁ。それを見たらきっと俺も涙流すだろう。

 そして、データではとても買えないが、化け物かも知れないのが、マチカネキンノホシ。とにかく、末脚が切れる。持ったまんまで上がり3Fが、33.8秒。3歳馬、離れしている。ペースは平均からやや早めで流れると読んだ。後は、先週みたいにアクシデントがないよう願いたい。きっと良いレースが見られるだろう。

 そして明日は、ペーニャ(東京闘牛の会)。パーティーだ。エル・フリのビデオが、また見られるよ!それじゃ、明日会える人は明日。そうじゃない人は、次の日記更新の時まで。 


12月15日(火)
 思った通り、アドマイヤコジーンが勝った。マイケル・ロバーツは、日本中央競馬史上初めて日本馬に乗ってG1を勝った。勝べきして勝った。馬の勝負根性。しぶとさ。末脚の切れと、確かさ。そして、ロバーツのタズナ捌きが勝利に導いた。嬉しそうに何度も何度も、Vサインをロバーツは出していた。

 男は黙ってサッポロビール。美酒に酔え!ロバーツよ!

 武豊は今年の秋は着いていない。ファレノプシスで初っぱなの秋華賞を勝ってから、天皇賞での、サイレンススズカの骨折。騎乗停止。復帰しても勝てないでいる。「少なくとも5勝出来るでしょう」と、言っていた今年の秋。人生、ままならない。武以外の騎手は 「そう簡単に勝たれてたまるか」 と、思うのは当然だ。人生は厳しいのだ。

 バイオマスターは、坂を上がって伸びてきたが着差が着差だから?だ。それより4コーナーでゴチャついて追い出したのがゴール前150mぐらいからの、マチカネキンノホシの方が将来性がある。自走に期待だ。あとの馬は?残念ながら?だ。

 そして、勝ち馬、アドマイヤコジーン。牧場側は「いつもカス馬ばかりだから」と、言って「次はこの馬の子供を売りましょう」と、馬主に言うと「それじゃー、コジーンを付けさせて下さい」と、言って生まれたのが、アドマイヤコジーン。生産は大樹ファーム。内国産馬では、初めてのG1。表彰式に出た赤沢社長は「生産者として表彰台に上がるのも良いもんですね」と、言ったという。

 来週は、スプリンターズ・ステークス。またまたタイキ。またタイキ。タイキシャトルが控えている。恐らく勝だろう。そう言うレベルじゃない。どんな勝ち方をするか。それが焦点になってくるレース。日曜日は中山競馬場に行って来ます。タイキシャトルがどんな勝ち方をするのかをこの目で見に。そして、引退式。

 他厩舎では、「何もレースの日に引退式をやるなんて嫌みなことしなくても良いものを。でも、悔しいけど勝だろうな。」と、言っているらしい。これが恐らく他厩舎の総意だろう。が、強い馬が強い勝ち方をするのが競馬。レベルの違いが見えるのが競馬なのだ。今から楽しみな日曜日だ。


12月18日(金)
 第32回スプリンターズ・ステークス。今回の見所は、タイキシャトルがどのような勝ち方をするかだ。普通にレースをして普通に勝てる状態だ。調教での反応の良さもスポーツ新聞などで報じられている通りだ。何の心配もない。武豊、曰く「タイキシャトル本質は、マイルをこなすスプリンター」だそうだ。

 岡部は、万全の体勢で余裕を持って勝たせるだろう。自信の記録もシャトルの記録も書き換えて、それがどうした。そんなこと騒ぐなよ。いつもと変わらず、当たり前にレースを終えて帰ってくるだろう。唯、それだけだ。そして、引退式。何処までも、馬優先で、考えられている。

 馬券は、今回は競馬場に行ってパドックを観るのでその時まで判らない。データなどから考えているのは、内枠から行くと、シーキングザパール、マサラッキ、ワシントンカラー、マイネルラヴ、シンコウフォレスト、エイシンバーリンあたりから3.4頭に流すだろう。

 初めてタイキシャトルに逢う日が最後の競馬。それもまたオツなもんだ。やっぱり競馬も、闘牛もその場にいて観るのが1番。そう思う。


12月20日(日)
 電撃の6ハロンは、衝撃の6ハロンに変わった。

 今日、中山競馬場に行って来た。競馬場に行って良かったと思った。何故なら面白いものを見てきたからだ。パドックは、立錐の余地がないくらい沢山の人で埋まっていた。馬達が出てくる。

 ワシントンカラーの前脚の歩様が大きく良い歩き方をしていた。それが、1番目に付いた。シーキングザパールはいつも通りチャカついているが心配はないようだ。エイシンバーリンは落ち着いていると言うより、ボーとしている感じだ。マイネルラヴは落ち着いている。何処と言って悪い所が感じられなかった。何処と言って良いところの感じられなかった。

 問題は、むしろタイキシャトルだった。後脚の歩様がおかしかった。なんかビッコをひいているような感じの歩き方なのだ。何度見ても同じ。後脚がおかしい。岡部騎手が騎乗して変わるかと思ったが、岡部が後ろを見て、シャトルの後ろ脚を気にしているような仕草を見せた。馬券買うの止めようかなと、思ったのがこの時だ。

 結局買ったが、お金はあまり入れなかった。負けるなら今日、と思っていたがまさかね。家を出るときタイキシャトルの帽子を忘れたのがケチの付け始め。競馬新聞を忘れたので嫌な感じがして、パドックで歩様がおかしいのを見て駄目押しになった。4コーナーを回るときに、マイネルラヴと手応えが全然違うのを見て負けるなと確信した。だから、驚かなかったが2着に残れなかった事の方に驚いた。

 直線でも、手前を代えないシャトル。そんなことはあり得ない事。しかし、ようやく手前を代えたのはゴールを過ぎてから。シャトルも馬。血が通った生き物だ。こんな事もある。

 いくら強い馬でも、あれだけ歩様がおかしかったら2着もないと言うこと。悔やんだのは、あの歩様を見たときに馬券を買うのをやめれなかったこと。それが悔しい。でも、ファンだから少なくても2着は外さないと思ちゃう訳よね。だから、シャトルが負けたのは仕方ないと思っている。

 12レースの後の、タイキシャトルの引退式。まだ大勢ファンは残っていた。負けたにも関わらず。大樹ファームの赤沢社長が挨拶で 「今日はシャトルは気分が悪かったみたいで、残念でした」 と、言っていた。それでもこれだけの馬。文句言ってどうする。ファンの温かい拍手を受けてシャトルはターフを去って行った。

 今日はお金では買えないものを、この目で見ることが出来た。それが最高の収穫。こんな事ってある訳よね。競馬に絶対はない。これが、シャトルの歩様に現れて現実になった。レース後、俺はシャトルの脚が気になった。悪くなってなきゃ良いけど。心配は要らなかったみたいだ。何せ載ってたのは、名手岡部。心配ご無用。立派に種牡馬になることが出来るだろう。

 これからも、厳しい競争が待っている。今度はレースではなく、産駒によって善し悪しが決められ、値段が設定される。シャトルよ!良い子供を出してくれ。そしてその子供で俺達はまた熱狂するだろう。今日は競馬を観るときは、 「基本に戻れ」 と、言うことは今更ながら教えて貰った。それは、俺にとって素敵な記念品だ。ありがとう、タイキシャトル。


12月25日(金)
 今日をクリスマスと呼ぶのだそうだ。キリストが生まれたという根拠がなくても、今日はクリスマスという。何故そんなことを言うかと言えば、JRAのTVCMが気になるからだ。

 「ずーと走り続けたあなたを最後まで見ていたいから、だから今年は2日遅れのメリーXマス。男優のキムタクが言う以上あなたは牝馬、繁殖入りを一年延ばし売り上げに貢献、有馬記念が引退レースとなるエアGから買えば2日遅れでJRAからXマス・プレゼントが届くという話だと保険屋の藤田が訳してくれた。多分みんなに取ってもらいたいんだろう、どんな配当が出ても25%は25%、こう万馬券続きじゃファンも干上ちゃうからね。」

 『一馬』 の清水成駿はこういう風に言う。さて、第43回有馬記念。昨日までNHKで4日間連続で再放送していた 『マネー革命』 の中で、ファンドマネージャーが言ってた言葉を思い出す。「人と同じ事をやってちゃ損をする。自分で判る所で勝負していかないと駄目だ。多くの人は市場で損をしている。儲けるためには人がやらないことをしないと・・・。」 

 市場が反応してから動いたんじゃ儲けが逃げていく。動く前にそれを読む事が出来なければ金は増えない。自分の判るところで予想をする。当日は中山競馬場に行くから最後はパドックを見て、返し馬を見てから馬券を買う。が、データから整理しよう。

 勝利数は、4歳で4勝以上、古馬で6勝以上。連対率は50%以上。40%台を割り込んでいたのはメジロパーマーだけ。G1実績は中〜長距離のG1で連対経験を持つのが20頭中17頭。連対馬20頭中16頭が重賞2勝以上。3歳G1や短距離G1(1600m以下)だけの実績では通じない。前走は2000m以上のG1。さらに5着以内。ローテーションは少なくても夏季の後半2開催は休養に充てていること。馬齢戦ナノで、4歳55キロ、5歳57キロ、6歳以上56キロ。4歳と6歳馬が活躍している。牝馬は不振。−−以上のデータは 「競馬ブック」より−−

 1番人気は過去42回で12,10,6,14連対率52.4%。ファン投票1位は40頭で9,9,6,16連対率45.0% 。前走がG1でなかった連対馬は過去10年で1頭だけ。(ダイユウサク)グレード制後アルゼンチン共和国杯出走馬は0,0,0,17。グレード制導入後海外遠征馬とマルガイを除き前4走以内に勝っていない馬は0,0,5,47。マイルCS創設以降前走がマイルCSだった馬は1頭も連対なし。秋の天皇賞馬は勝っていない。など・・・。−−以上のデータは 「勝馬」 より−−

 上のデータを整理すれば自ずと、有馬記念が見えて来る。全てのデータをクリアしているのが6枠11番に入ったセイウンスカイだ。今年の有馬記念はセイウンスカイが勝たなきゃならないレースと見た。ここから、メジロブライト、エアグルーヴ、メジロドーベルまでだと思う。オフサイドトラップは距離が持たないだろう。後は一体何がある。マチカネフクキタルはローテーションが心配だが調教は抜群だった。穴はこれかも知れない。

 タイキシャトルの歩様の事、TVでは何も言ってなかった。しかし、見ている人は見ている。スポーツニッホンに、元調教師の境 勝太郎が、歩様の事を書いていたと言う。実際に記事を読んだわけではないので、同じ事を感じていたかどうかは判らないが・・・。

 今日は1日ビデオを録画していた。昨日今日で7,8本やった。疲れた。が、良い闘牛はやはり心躍る。有馬記念は1年の総決算だ。勝にしろ負けるにしろ、楽しみたいものだ。インターネットで自殺幇助をしてその人も自殺したらしい。つくづく嫌な世の中だ。楽しいこと、感動することを求めて俺は生きていきたい。競馬にはそれがある。闘牛にはそれがあるのだ!


12月29日(火)
 「その手はないよ」 ベニー・グッドマンがジャズで初めてカーネギー・ホールに出たときの初めの曲が、これだ。一年の総決算。ファン投票で選ばれた馬達が、日本一を目指して中山競馬場の緑のターフを駆け抜けた第43回有馬記念。感想が、その手はないよ、だった。

 パドックは、メジロドーベルが馬体重+14キロ。見るからに太い体で、カリカリして落ち着きがない。如何にも引っかかりそうだ。反対に、エアグルーヴはいつもより落ち着いている。こういうのは経験上、良くない。うるさい馬はあくまでもうるさい方が良いのだ。牝馬2頭が消えた。

 一番人気のセイウンスカイも、チャカついて発汗している。嫌な感じだ。メジロブライトは、オッポを振っているが落ちるいていた。これは買える。取り立てて良くも悪くもないのが、オフサイドトラップ。シルクジャスティスは問題外。ダイワオーシュウは、チャカついて発汗。これは入れ込みが非道い。グラスワンダーは、どうという印象がない。今から思えばどっしりしていたのかも知れない。が、正直に言えばちゃんと見ていなかった。

 返し馬を見てからと、思って競馬場のTVを見てると、セイウンスカイはさっきより落ち着いているように見えた。後で、新聞で読んだらグラスワンダーは1頭だけ、メインスタンド前でドッシリして歓声にも動じていなかったと、言う。

 実際買った馬券は、セイウンスカイとメジロブライトを本線に、オフサイドトラップの3点買い。当初予定していたよりお金は入れなかった。自信があるのかないのか自分でも判らない。そんな馬券だった。

 レースはスタンドではなくTVで見た。人が沢山いて見えないからだ。スタートで後手を踏んだセイウンスカイは内のオフサイドトラップにハナを譲るかと思ったら、典がタズナをしごいてハナを奪った。「俺が馬の邪魔をしなければ・・・」 そう言っていた典は明らかに邪魔をしている。なんか嫌な予感がした。

 1周目のスタンド前を柵から5,6mの所を典がタズナを、押さえてハナを切っていく。独特の乗り方を有馬で見せる典。歓声が沸く。この独特の乗り方が吉と出るか凶と出るか?勝負とは結果で善し悪しを言われる厳しいもの。向こう正面でドンドン差を詰められる。ここから1馬身まで詰められても脚をのばせるのか?

 直線手応えがなくなったセイウンスカイの外から、グラスワンダー、メジロブライトが一気に交わしていった。そ、そんなことあるわけ。唖然呆然。確かに勝たれてみれば、史上最高の3歳馬。4歳になってまるっきりだったけど・・・。前走のアルゼンチン共和国杯は最後の直線、馬なりで先頭に立ったのに全然伸びずに、グラスはもう終わったのかと思ったりしていた。

 嗚呼、ビックリの有馬記念。 「その手はないよ」 と、暮れゆく年に思いを馳せても、馬は馬。生き物だ。それにしても、「その手はないよ」 の競馬の総決算でした。


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