ウセダ・レアルの剣刺し、タラバンテのキーテ、ダニエル・ルケのコヒーダ。

2009年6月4日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場の今年41回目の結果。

19時開始、21時頃闘牛士たちが退場した。20時36分照明点灯。

プレシデンテ、マヌエル・ムニョス・インファンテ。切符は売り切れで満員の入り。

エル・ピラール牧場の牛。

   全体として、良い牛が出ていた。
   1頭目、良い牛。2頭目、良い牛。3頭目、
   4頭目、。5頭目、頭の高い牛。6頭目、。
   

闘牛士

ウセダ・レアル 挨拶、挨拶。

アレハンドロ・タラバンテ 口笛、罵声。

ダニエル・ルケ 沈黙、沈黙。

 最後の牛のファエナでダニエル・ルケがコヒーダされて、右太腿をプンタッソ(突かれる)される。
 また、右手指に角傷を受ける軽傷。

 曇。風の吹き心地よいが、闘牛士には危ない。サン・イシドロと観客の質が違う。エル・ピラール牧場(牛Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、ファン・ペドロ・ドメク、カルロス・ヌニェス、ホセ・ルイス・オスボルネ牧場)。闘牛士、エル・フリ、ウセダ・レアル、アレハンドロ・タラバンテ、ダニエル・ルケ。満員。ソルのテンディド4バッホにてビデオ撮影をしながら観戦する。

 ウセダ・レアルの初めの牛は、耳が切れる牛だった。もし、タラバンテがやっていたらもっと良いファエナになっていただろう。やはりこの男は80%の闘牛士。フィグラには成れないのだ。距離も判っていないし、牛の扱いも2流。観客のカリーニョを貰って、「オーレ」が鳴っていたが、続かない。コロカシオンも疑問が残る。ただし、ずば抜けて良いのが剣刺し。これは見事。ただ、1頭目は良い場所に入ったが、4頭目の牛の剣刺しは後の方に入っていた。

 アレハンドロ・タラバンテは、2頭目の牛が良かった。エスタドゥアリオから始めると「オーレ」がなり闘牛場が沸いたが、淡々と闘牛をするタラバンテに観客は、感動を感じない。当たり前に牛を動かしていることを当たり前と思う観客。でも、あれはなかなか出来ないことなのに…。タラバンテには観客のカリーニョを貰えないのだ。彼は器用すぎて、淡々とヒョウヒョウやるので、一般の闘牛ファンには、そこの所が判らないのだろう。いきなりそれを変えろと言っても、そう簡単には変わらないし、彼の人間性がこういうところにも出ているのだろう。

 5頭目は、頭の高い牛でデレチャッソでパセを繋げると、エンガンチャ(角にムレタをはらわれる)されてしまい、良いパセが出来ない牛。ナトゥラルでも同じで、観客は口笛を吹く。それは判るが、こういう牛は扱いが難しいのだ。それでも、並以上にパセできたと思う。昔、ホセ・トマスはこういう牛で口笛を吹かれながらファエナを続け、ムレタを何度も牛に跳ね上げられながら耳を切ったのを思い出したが、タラバンテも口笛を吹かれても良いから徹底的に続ければ面白いと思ってみていたが、直ぐに剣を代えた。口笛が吹かれ、剣刺しもダメで、デスカベジョは、牛の頭に跳ね上げられて、カジェホンの人に当たり客席に飛び落ちてきた。口笛は罵声に変わった。今年は良いところがなく終わった。

 しかし、最後のダニエル・ルケの牛をバンデリージャの最後で、バンデリジェーロがコヒーダされたときに牛を引き離したキーテで喝采を浴びる。

 ダニエル・ルケは、今年のサン・イシドロで、動かない闘牛をしてセンセーションを沸き起こした。しかし、今日の闘牛は去年までと同じ闘牛に戻ってしまったようだ。牛の扱いも上手いわけでもないし、特別他の闘牛士と違った特徴があるわけでもない。最後の牛でファエナの最後でコヒーダされた。たいしたことない。

 耳が出ないラス・ベンタス闘牛場が続く。コリーダ・ドゥーラの時はしょうがないと思ってみていたが、今日は耳の1つも観たかった。ウセダ・レアルの初めの牛が1番可能性を感じたが扱いが悪く耳の価値があるファエナにはならなかった。タラバンテの初めの牛も良かったが、観客のカリーニョが足りなかった。ここの観客は我が儘なので我慢が出来ないのだ。これもフィグラの証拠。口笛や罵声を浴びるのはそういうこと。クーロ・ロメロが1番恐れたのが沈黙。それはその闘牛士に興味がないからだと彼は思っていたのだ。だから、座布団の雨が降るのも、クーロ・ロメロには、自分に期待している証拠と受け止めていたのだ。


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