ホセ・トマスが開けた蛇口が閉まらず、ミゲル・アンヘル・ペレラがプエルタ・グランデ。
アレハンドロ・タラバンテが耳1枚。エル・シドは、挨拶。

2008年6月6日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場のアニベルサリオ(記念闘牛)4日目(今年42回目)の結果。

19時開始、21時25分頃ミゲル・アンヘル・ペレラがプエルタ・グランデを通った。

プレシデンテ、セサル・ゴメス・ロドリゲス。今年何回目かのノー・アイ・ビジェテで満員の入り。

ヌニェス・デル・クビジョ牧場の牛。

   全体。
   1頭目、。2頭目、。3頭目、
   4頭目、。5頭目、。6頭目、。


闘牛士

エル・シド 沈黙、挨拶。

ミゲル・アンヘル・ペレラ 沈黙、耳2枚。

アレハンドロ・タラバンテ 耳1枚、沈黙。

 晴。日が当たっているうちは暑いが日が沈むと肌寒くなるがTシャツでも我慢できる。ヌニェス・デル・クビジョ牧場(牛Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、ファン・ペドロ・ドメク、カルロス・ヌニェス、ホセ・ルイス・オスボルネ牧場)。闘牛士、エル・シド、ミゲル・アンヘル・ペレラ、アレハンドロ・タラバンテ。ノー・アイ・ビジェテで満員。ソルのテンディド5バッホにて、Tさん、Yさんと一緒に、ビデオ撮影しながら観戦する。

 エル・シドは、4頭目の牛で剣が決まれば耳が切れていただろう。ちょっと甘いけど。どうして、こうも剣が決まらないのか?メディアのあとに、今度は斜めに入り、牛の左腹から剣先で出ていて、口笛を吹かれていた。良く膝を着く牛で、あれだけ苦労して工夫して良いファエナをしていたのに・・・。残念だ。

 ミゲル・アンヘル・ペレラは、良い牛に当たって、プエルタ・グランデ。壺にはまると良い闘牛が出来る。観客が沸いた。でも、沸きすぎ。昨日ホセ・トマスが開けた興奮の蛇口が閉まらずに、熱狂していた。そこまで興奮する闘牛でもなかった。確かに、良いパセがいくつもあったが、闘牛場が、「トレロ」コールに包まれたときは、呆れてしまった。こう言うところにまで、ホセ・トマスの影響が及んでいるとは凄いことだ。

 ファエナは、アレナ中で、ブルラデロにいる牛を呼んで背中を通すパセから始めた。彼の良いときはパセ・デ・ペチョで一連のパセを終えてから、牛から8m以上離れて牛に息を入れさせてファエナをする。5頭目の牛の時は、良いときの闘牛が出来ていた。クルサードも、誘い方も良かった。デレチャッソのあと、マノ・カンビオしてナトゥラルを通すときも手の低い長いパセを通し、「オーレ」を唸らせた。リガールでポンポンパセを繋ぐと「オーレ」がこだました。パセの形も美しい。

 剣を代えて、ベルナディーナ(マノレティーナと剣とタキージャドール(棒)の位置が反対になっている技)。膝が曲がっている。パセ・デ・ペチョの時だけが良い姿勢でパセをしていたが、「オーレ」がこだました。剣が良いところに決まり牛が座り、「トレロ」コールがなった。白いハンカチが闘牛場を埋めて耳2枚。雰囲気で2枚になるのが判ったが、疑問だった。

 アレハンドロ・タラバンテは、器用だ。耳を取った牛も取り立てて良い牛ではなかったが、牛の扱い方が3人の中で1番上手いので、良い牛に見えてしまう。アレナ中央から始めたファエナは、エスタドアリオから。ブルラデロから牛を呼んで始めるか観客が沸く。ナトゥラルも、デレチャッソも、ムレタの振り方がなめらかだ。エン・ガンチャ(角にムレタをはらわれる)されることがない。ペレラとは、そういうことが決定的に違う。牛の動きをちゃんと見ているからだ。

 だからその辺で誤解を生んで、良い牛に見える。しかし、そうじゃないのだ。タラバンテが扱っているから、良い牛に見えるだけだ。デレチャッソからマノ・カンビオしてナトゥラルを通すときのなめらかさは美しい。あまりになめらかで眠くなるかも知れない。剣を代えてからはマノレティーナの連続でファエナを締めて、剣は、スエルテ・ナトゥラルで、少し斜めに決まり、デスカベジョ1回で耳1枚。

 プエルタ・グランデがかかった、最後の牛は、ダメ牛だった。それでも諦めずに丁寧にパセを繋いで、何とか牛の最良の部分を出そうとしたが、良いパセなど引き出せなかった。アビソが鳴るほどの長いファエナだった。残念だ。

 Yさんと話したら、意見が一致した。ミゲル・アンヘル・ペレラの耳2枚はおかしい。あれは耳1枚だろう、と。これは、どう考えても、昨日のホセ・トマスの開けた蛇口が閉まらず、開いたままになっていたために、甘い耳になったんだと思う。Tさんは、仕事でファエナが終わった時点で出ていったが、耳2枚と聞いて、「嘘でしょ」と言った。やっぱり同じ意見なんだよなぁ。「トレロ」コールまで訊いていたが、そのことに関しても、「後のおっちゃんが、トレロは、ホセ・トマスだけだ、と言ってた」、と。異議なし。

 MEGUさん、カエルさんは、ペレラのプエルタ・グランデに感激していた。それで良いのだと思った。闘牛観て素直に楽しめばいいのだ。ISOさんは、エル・シドってブリンディースするときも1番ダサイ。そのダササが良いよなぁ。パセだって、味がある。タラバンテなんて面白くない。カステージャみたいに危なくないし、行ってないでしょう。との、意見。それは、カステージャみたいに、行ってないけど、彼には彼の良さがあるのだ。天才的な器用さを持っている。ペレイラについては言ってなかったけど、タラバンテより良い印象を持ったのだろうと、思う。

 闘牛はそれぞれ見方がある。その見方で楽しめばいいのだ。


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