エル・シド、グラン・ファエナ!しかし、剣が決まらず耳1枚。

2008年5月31日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場のサン・イシドロ24日目最終日の結果。

19時開始、21時8分終了。20時28分照明点灯。

プレシデンテ、マヌエル・ムニョス・インファンテ。今年サン・イシドロでは何回目かのノー・アイ・ビジェテ満員の入り。

ビクトリーノ・マルティン牧場の牛。

   全体としてビクトリーノ・マルティンの牛らしい牛が少なかった。
   1頭目、扱いやすい牛。2頭目、左角が良い牛。3頭目、右角が良い牛。
   4頭目、。5頭目、。6頭目、左角が良い牛。


闘牛士

アントニオ・フェレーラ、 沈黙、沈黙。

ロペス・チャベス 沈黙、沈黙。

エル・シド 挨拶、耳1枚。

 小雨が降っている中闘牛が始まる。その後2頭目からは、雨がやみ曇になる。日が暮れるとよけい寒い。ビクトリーノ・マルティン牧場(牛Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、アルバセラーダ牧場)。闘牛士、アントニオ・フェレーラ、ロペス・チャベス、エル・シド。ノー・アイ・ビジェテで満員。ソルのテンディド6アルトにて、ビデオ撮影しながら観戦する。

 アントニオ・フェレーラは、バンデリージャが唯一の見せ場だった。1頭目の牛の初めは期待を持たせたが何も起こらなかった。悪くはなかったが、取り立てて書かなくても良いだろう。

 ロペス・チャベスは、もうちょっと見所がある奴だと思っていたが、今日は完全に裏切られた。2頭目の牛は左角が良い牛だった。ファエナもちゃんと左角から始めたが、ちゃんと出来ない。ムレタ捌きが悪すぎる。折角の良い牛を自分自身の技術の足りなさでダメにした。それでも観客は牛が悪いと口笛を吹いたがそれは間違いだろう。

 エル・シドは、今日も前回に続いてプエルタ・グランデを逃した。どうしてこんなに剣が決まらないのか?しかも2頭とも耳が取れたのに・・・。3頭目の牛は右角が良かった。ベロニカの時に左足を踏まれるか何かして痛めてびっこをひきながらの闘牛だった。それでもデレチャッソでパセを繋ぎ、「オーレ」を鳴らせた。ビクトリーノ・マルティンの牛を扱わせたら今1番良い闘牛士がエル・シドだ。クルサードのちゃんとやっているし、距離も良い。パセ・デ・ペチョの後に牛から離れて牛に息を入れさせる間も良い。素晴らしい闘牛なのに剣刺しの時に、剣がテンディダで後に決まっているのに、コヒーダされて手をはなせなくて抜けてしまう。それで耳にならなかった。

 最後の牛は、左角が良い牛。それを読んで、手の低い長いナトゥラルを繋ぎ、「オーレ」を叫ばせた。悪い方の右角でも手の低い長いパセを繋いで「オーレ」を叫ばせた。おそらく耳2枚に相当するグラン・ファエナ。不満があるとすれば、牛の動きが速く、パセと、パセの後の返りが早く、パセがテンプラールになっていなかった事くらいだ。それも、この牛なら仕方がないことだ。充分すぎるグラン・ファエナだった。剣は、アレナ中央でピンチャッソ1回。エル・シドは悔しがった。観客もガッカリした。その後、またアレナ中央でテンディダで後の方に決まり牛が座った。笑顔がなく観客に剣を持って挨拶する。

 闘牛場は白いハンカチが揺れた。耳を催促する口笛が吹かれる。プレシデンテは耳1枚与えることを許可する白いハンカチを出した。プレシデンテが耳を出す許可を出したのに、牛がひかれて退場しようとして、観客が口笛を吹いて抗議した。バンデリジェーロが走っていって牛の耳を切って、アルグシルに抗議しながら耳を渡した。エル・シドは、首を振りながらアルグシルの方に向かって歩いていった。そして、笑顔のなく耳を受け取った。それはそうだろう。耳3枚取れるところを1枚しか取れなかったのだから。それから、笑顔のない場内1周が始まった。

 今年のサン・イシドロは、闘牛士が1度もプエルタ・グランデがないという、非常に珍しい現象が起きた。騎馬闘牛では、アンディー・カルタヘナがプエルタ・グランデしたが・・・。記録を調べてみないと判らないが、1991年以降でプエルタ・グランデが1度もなかった年はない。それくらい珍しいことだ。これで今年のサン・イシドロのトゥリンファドールは、耳1枚切って2度プエルタ・グランデを逃したエル・シドになるのだろう。


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