何といきなりクーロ・ディアスがプエルタ・グランデ!

por 斎藤祐司

2007年4月29日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場の結果。
18時半開始、20時45頃終了。19時23分照明点灯。クーロ・ディアスがプエルタ・グランデを通過したのは20時50分頃。

プレシデンテ、トゥリニダ・ロペス・パストル。観客は目測で1/3くらいの入り。

ロス・レシタレス牧場の牛

   全体的に、

闘牛士

クーロ・ディアス 挨拶、耳2枚。

フェルナンド・クルス 拍手、拍手。

セラニト=コンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ 挨拶、拍手アビソ2回。

 追記:やはり日曜日の闘牛で観光客が多かった。耳の基準がそれだけ甘かったような気がする。サン・イシドロとは別物だ。

 曇りで長袖では暑いが、日が暮れるともう1枚着て丁度良いくらい。。ロス・レシタレス牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、ファン・ペドロ・ドメク牧場)。闘牛士、クーロ・ディアス、フェルナンド・クルス、セラニト=コンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。観客は目測で1/3くらいの入り。ソルのアンダナーダ(7)で観戦する。

 今年初めての闘牛の聖地、ラス・ベンタス闘牛場での観戦。どうなるかと思ったら面白かった。何といきなりクーロ・ディアスがプエルタ・グランデをしてしまったのだ。驚いた。しかし、アレハンドロ・タラバンテが4月8日に満員の中でプエルタ・グランデしたのとは価値が違う。

 今日はセラニトのコンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバなので、1頭目の6頭目に闘牛をやった。始めの牛で牛を動かしてパセを繋いだ。それなりに良かったが、特徴がない。挨拶するほどじゃないと思った。最後の牛では、退屈だった。同じ距離で闘牛をしている。簡単に言えば美しくないのだ。パセもそうだが何をやりたいのかよく判らない。どうしたいのか?今日の彼には何も感じない。

 クーロ・ディアスは、セラニトのコンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバなので、2頭目と4頭目に闘牛をやった。2頭目の牛でも良かったが、何と言っても4頭目の癖牛を相手に良いファエナをした。牛は出てきてブルラデロ前で止まった。こういう牛は良いが後ろ脚の捌きが悪かった。パセの後、膝を着き、アレナに角を突いて倒れたりしていた。ピカは左前に2回入った。フェルナンド・クルスのキーテの時カポーテに角がかかった。バンデリージャ5本刺さったが2本は左腹に、2本は後ろに刺さった。非道いバンデリージャ牛で口笛が吹かれた。

 ファエナは、デレチャッソを4回左右に繋ぎパセ・デ・ペチョ。この牛はカポーテの時から左角の方が良いように思えた。アレナ中央へトゥリンチェラからデレチャッソを3回繋ぐとオーレがなった。パセ・デ・ペチョ2回で拍手が沸く。しかし、パセの時に角が闘牛士の方を向いている。離れデレチャッソを3回繋ぐパセ・デ・ペチョ。ブスカンドしているいるので離れ、ナトゥラル。手の低い長いナトゥラルが2回繋がりオーレがなる。クルサードしてナトゥラル2回でオーレが続きパセ・デ・ペチョで喝采がなった。

 離れ手の低い長いナトゥラルが3回繋がるとオーレの声はさらに大きくなった。トゥリンチェラ、引くようなナトゥラルで喝采がなった。思った通りナトゥラルの方が良いパセがでる。離れ再びクルサードしてナトゥラル3回でオーレ続きトゥリンチェラで牛が膝を着いたが喝采がなった。ナトゥラルとトゥリンチェラを繋ぎデレチャッソのトゥリンチェラからパセ・デ・ペチョで喝采がなった。耳1枚以上のファエナだ。剣を代え、デレチャッソのトゥリンチェラからナトゥラル、トゥリンチェラパセ・デ・ペチョ、ナトゥラル、パセ・デ・ペチョで、オーレが拍手に消された。

 スエルテ・ナトゥラルで、少しカイーダ気味で斜めに入った。牛は直ぐに倒れた。観客は白いハンカチ振って口笛を吹いた。なかなか耳が出なかったがプレシデンテは白いハンカチを1回出したが、観客はそれでもハンカチを振って口笛を吹き続けた。バンデリジェーロが牛の耳を1つ切り落とすと牛を引くラバがやってきて牛を引いていこうとすると、観客はより大きな口笛を吹いて抗議した。プレシデンテは2枚目の耳を許可するハンカチを出した。当然、耳2枚に抗議も起きた。しかし、クーロ・ディアスは満面笑みで耳2枚を持って場内1周をした。

 フェルナンド・クルスは、セラニトのコンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバなので、3頭目と5頭目に闘牛をやった。バレンシアでグラン・コヒーダされて大怪我をした。睾丸か破けて球2個が出たのだ。何とか良いところを見せて欲しいと願ったが・・・。3頭目は問題外。何も出来なかった。5頭目の牛では良いところを見せた。手の低いナトゥラルを何度か繋いだが単発的で牛をコントロールしているようには思えなかったし、美しさには欠けた。セラニトと同じでいつも同じ距離で闘牛をやっている。ただ真面目な闘牛。悪くはないが特徴がない。彼はやる気だけはいつもあるがそれだけだと、印象が薄い。

 観光客が多く口笛が本当に批判の口笛なのか、ロック・コンサートのように興奮したときに吹く口笛なのかもよく判らなかったが、それにしても口笛が少なすぎるラス・ベンタス闘牛場はラス・ベンタス闘牛場らしくない。闘牛士をレスペト(敬意)を持っているのは悪くないが、甘いのは良くない。

 6頭目が終わり直ぐに席を立ってプエルタ・グランデに向かった。なかなかプエルタ・グランデが開かなかったが、クーロ・ディアスがプエルタ・グランデにやってくると、「トレロ」コールが起こった。満面笑みのクーロ・ディアスは、顔を赤らめてファンの声に応えていた。あんなに嬉しそうな闘牛士を観るとこっちも嬉しくなる。良かったね、クーロ。これがサン・イシドロだったらどんなに価値がある物になったか・・・。さっ、次はサン・イシドロで30日に登場だ。次も良い闘牛を見せてくれ。


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