2007年5月26日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場のサン・イシドロ17日目(今年31回目)結果。 19時開始、21時02分頃終了。20時08分照明点灯。 プレシデンテ、セサル・ゴメス・ロドリゲス。今年10回目のノー・アイ・ビジェテ。満員。 エル・トレオン(セサル・リンコン)牧場の牛(1頭目、3頭目、5頭目6頭目)、トレストレジャ牧場の牛(2頭目、4頭目) 全体的に、頭が高く力強さが足りないが、動く牛が多かった。 1頭目、。2頭目、。3頭目、インバリド。 4頭目、。5頭目、。6頭目、。 ソブレロ: マルテリジャ牧場(3頭目)良い牛。 闘牛士 セラフィン・マリン 拍手、沈黙。 マティアス・テヘラ 沈黙、沈黙。 エドゥアルド・ガジョ 挨拶、沈黙。 |
曇。日が沈むと気温が低く3月を思わせる陽気で寒い。エル・トレオン(セサル・リンコン)牧場の牛(Procedencia
actual=現在の起源<基の血統>、ファン・ペドロ・ドメク牧場)。闘牛士、セラフィン・マリン、マティアス・テヘラ、エドゥアルド・ガジョ。ノー・アイ・ビジェテで満員。ソルのテンディド6にて観戦する。
セラフィン・マリンは、いつも同じ距離で同じ闘牛をやっている。自分のやり方があるのは判るが、牛は1頭1頭違うのだ。そのことを自分の闘牛に反映させないと良い闘牛にはならないし、良い闘牛士にはなれない。4頭目の牛がブスカンドしたのは、牛だけのせいではない。ムレタに牛の動きが合っていないからだ。それでも逃げずに闘牛したのは良いのだが、もっと工夫が必要だ。
マティアス・テヘラが相手にした5頭目は、頭が高いのに、直ぐに膝を着く牛だった。今までなら彼の特徴である手の低い長いパセをして牛をつぶしていた。この日は、メディア・アルトゥーラでパセを繋いでいた。こうゆう工夫が出来るようになったのは成長だと思う。いつもと同じように手の低いパセをやっていたのでは、パセが繋がらなかっただろう。ただ、レマテの後の距離の取り方が足りなかった。
エドゥアルド・ガジョは、3頭目のソブレロで耳が切れる牛に当たった。デレチャッソで長いパセを繋いで沸かせた。「オーレ」が鳴り、パセ・デ・ペチョの後に喝采がなった。しかし、エンガンチャ(ムレタを角ではらわれた)されたりしてムレタを何度か落とした。牛の動きにムレタを合わせられないのだ。ナトゥラルの時は牛の動きが悪かった。パセも綺麗ではなかった。ナトゥラルでは殆ど「オーレ」の声が出なかった。
闘牛が終わってMさんと会って2人でコロキオをした。そこで今日の闘牛士のように相当反省させられた。この観戦記にはだからMさんの意見が相当反映されている。普段は気がつかないが、頭の高い牛に対してピカを刺す場所は何処が適当なのか?頭を下げさせるためには、首にあるこぶの後ろが1番良いのではないか。そうすれば、牛は頭を下げてトレアールしやすくなる。それをしないピカドールが如何に多いか。牛は、そんなに良くないが、誘えば動く牛。悪い牛ではない。そういう指摘がMさんからされて、ハッとした。
距離が判らない闘牛士たち。牛が動くところに立っている。牛が動かないところに立って、誘って牛が動くのなら距離が判っている事になる。今日の3人にはそういう知識と経験が不足している。パセを繋ごうとするあまり、レマテの後に牛との距離を取らずにまたパセを始めたりする失敗を繰り返す。3人とも闘牛士としての良い資質を持っている。が、それでも足りない物が未だ沢山ある。今日はマティアス・テヘラが、5頭目の牛で牛をつぶれないようにメディア・アルトゥーラでパセをしている工夫が観れたのが良かった。彼の闘牛が3人の中では1番意図が判る闘牛だった。見習い闘牛士の頃から観ているが、あの頃に比べると、凄い成長だ。
Mさんの話でも思ったし、闘牛観ながら思ったのは、この牛でセサル・リンコンがやったらこうやるだろう、ああやるだろうと、思った。遠い距離からでも動く牛が多かった。闘牛士たちの立ち位置がまず間違っていること。動く距離にいても問題点があって牛が動かなかった。それはクルサードしていないとか、していても、牛が動かない。セサル・リンコンのように魔法を使えない。何かが違うのだ。また、牛が動いても、闘牛士が誘って動いているのではなく、牛が動く場所に立って、牛が動いてからムレタを動かすという風にちぐはぐな闘牛だった。
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