por 斎藤祐司
2007年4月23日セビージャ、レアル・マエストランサ(第1級)闘牛場の結果。 18時半開始、記入しなかったが多分21時頃アレハンドロ・タラバンテがプエルタ・デル・プリンシペを通った。20時40分照明点灯。 ノー・アイ・ビジェテで、観客は満員。 ヌニェス・デル・クビジョ牧場の牛 全体的に、ムレタやカポーテに着いている来るが力強さが足りない。 1頭目は太くて頭が高い牛もやりやすい。2頭目は両角が短かった。 3頭目は多分良い牛。4頭目はパセが短い牛。 5頭目はやりやすい牛だったが、後半バテた。。6頭目は良い牛だった。 ソブレロ:ヌニェス・デル・クビジョ牧場(3頭目)。ソソで力強さが足りない。 闘牛士 ヘスリン・デ・ウブリケ 口笛、弱い口笛。 モランテ・デ・ラ・プエブラ 罵声、耳2枚。 アレハンドロ・タラバンテ 耳1枚、耳2枚。 追記:3頭目の牛は勢いよく出てきてブルラデロに衝突して脳震盪を起こしてインバリドのような動きになり交換になった。 4頭目のヘスリン・デ・ウブリケは剣刺しをやらずにデスカベジョをした。 |
晴れて熱い!満員で人の熱気と日差しで蒸し暑いような陽気。ヌニェス・デル・クビジョ牧場の牛(Procedencia
actual=現在の起源<基の血統>、カルロス・ヌニェス牧場)。闘牛士、ヘスリン・デ・ウブリケ、モランテ・デ・ラ・プエブラ、アレハンドロ・タラバンテ。ノー・アイ・ビジェテで満員の入り。ソルのグラダで観戦する。
始まる前に周りの観客の話を訊いていたら、アレハンドロ・タラバンテを観に来ているような雰囲気だった。ヘスリン最後のセビージャだが、そんな話題はなかった。モランテの話もなかった。タラバンテの話を観客たちがしていたのには、ちょっと驚いた。
ヘスリン・デ・ウブリケ最後のセビージャ。今年彼は引退する。だからといって、彼を讃えるような物は何もなかった。相変わらず、クルサードしないでピコでパセをしている。ヘスリンはヘスリンだ。昔はカジェホンの中でチュパチュパスを舐めていてバンデリージャの場にアレナの中になかったりした。どうせなら今日のそこまでやれば良かった。闘牛をチュパールしている闘牛士で通せばいいのに。4頭目の牛の剣刺しをしなかった。いや、正確には1回試みた。しかし、スエルテ・コントラリアで空振り。ギャグか?ギャグじゃないよなぁ。だってただ単に出来ないだけ。1回牛が膝を着いたらもう諦めてデスカベジョ。それはそうだよね、だって1頭目の牛の剣刺しは物凄いバホナッソ。口笛を吹かれたもんね。いずれにしろダメな奴は、ダメだって事。退屈な時間でしかなかった。
モランテ・デ・ラ・プエブラは、2頭目の牛は膝を折ったデレチャッソをしたら左右の角が短かった。体の近くを通った。そしたら、もう出来ないと勝手に判断して諦めて過ぎに剣刺し。出来なくても観客に出来ない牛だと判らせてから剣刺しに行くべきだ。剣刺す前から口笛が鳴り、剣が2/3斜めに入ると抗議の手拍子が鳴っり罵声が飛んだ。非道いもんだ。やる気のなさがここいう風に露出する。
しかし、1頭目のヘスリンの牛のキーテは素晴らしいベロニカを繋いで、観客に「オーレ」を叫ばせた。そして、5頭目。ノー・アイ・キント・マル(5頭目に悪い牛はいない)の諺通りやりやすい牛だった。前の牛で罵声を浴びたのに、次の牛の始まる前に拍手が起きたので、セビージャの観客は頭がおかしいのかと思ったら、頭がおかしいのはモランテ方だった。何とカポーテを持ってトリル(牛門)へ向かった歩いていたのだ。えっ、まさか、ポルタガジョーラ?そのまさかだった。くしくも下山さんが言ったが、夢でも見ているのかと思った。俺も同じように感じだ。だいいち笑ってしまったのだ。
緊張して牛を待っていたそうだ。やっとことないことをするとそうなる。何とかポルタガジョーラしてベロニカを繋ぐと「オーレ」の叫び声が続いた。なんだかんだ言ってセビージャの人間はモランテが好きなのだ。メディア・ベロニカを決めると立ち上がって喝采を送っていた。それだけは綺麗だったが、ベロニカはヘスリンの牛の時のキーテの方がずっと良かった。ファエナは、手の低い長いパセをリガールしたり、ナトゥラルも手の低い長いパセだった。観客は「オーレ」を叫び続けた。ただファエナの後半は牛がバテてパセが繋がらなかった。だから耳2枚の価値はないと思っていたら、観客の要求にプレシデンテが一気にハンカチ2回出したという。僕はグラダの上の方にいたので立つと全然見えなくなる。これが本当に耳2枚に値するファエナかと言えばそうは思わない。プレシデンテは白いハンカチを2枚同時に出したという。セビージャだからだと思う。それか、それこそがドゥエンデ系闘牛士の変貌したモランテの魔法なのかも知れない。あり得ないだろう事が起こってしまう。まか不思議な現象だ。
アレハンドロ・タラバンテは、21日に続いて良かった。と言うより、初めて出場の年にセビージャで簡単にプエルタ・デル・プリンシペを開けてしまうのが凄い!ホセ・トマスだって出来なかった快挙だ。こいつは何処まで今年上り詰めるか判らない可能性すら感じる。恐ろしい!未だ19歳。そして、何より闘牛士になって1年経っていないのだ。ノビージョからトロに替わるとそれでリズムを崩したり難しくなったりして、出来なくなったり、伸び悩んだりする物だが、そんな物はタラバンテにはないようだ。壁がない。それだけの練習を積んでいるからだ。その自信が、闘牛場に出たときに発揮されている。無敵である。敵は自分自身の中にあるのかも知れない。
3頭目の牛で耳1枚。素晴らしいファエナだった。初めの牛はブルラデロに頭をぶつけて脳震盪を起こしたようでインバリドの牛のようになって交換になった。代わった牛は、ベロニカをすると首を左右に振った。走るときは上下に首を使って走っていた。癖牛だ。それでもファエナになると動いた。アレナ中央へ行き遠目から牛呼んでデレチャッソ3回で膝を着きパセ・デ・ペチョ2回。デレチャッソ4回でパセ・デ・ペチョで見栄を切り拍手。ナトゥラルを5回。牛がパセの途中で止まっても動かない。パセ・デ・ペチョで喝采が鳴った。離れアジュダードからトゥリンチェラ、ナトゥラル3回、間をおいてナトゥラル、パセ・デ・ペチョで牛の前に立ち喝采を浴びる。パソドブレが鳴る。
離れナトゥラルを繋ぎ牛が止まって体の近くにいても動かない。それからパセ・デ・ペチョ、ナトゥラルで喝采が鳴る。デレチャッソから体の周りを廻してパセ・デ・ペチョ。体の近くを通すパセだった。喝采の中で剣を代えた。アジュダードを繋ぎ引くようなナトゥラルで締めた。勘はスエルテ・ナトゥラルで斜めにテンディダで入った。デスカベジョ1回で耳1枚。
最後の牛は、ブルラデロに行くと止まった。僕はこういう牛が好きだ。目が見えているし馬鹿じゃない。闘牛士が間違えなければ良い闘牛が観れる。そしてその通りになった。ただ、カポーテでは足を止めたベロニカを繋げなかった。牛は観客に捧げられた。アレナ中央付近からタブラ付近の牛を呼んでデレチャッソを繋いでパセ・デ・ペチョ。3回目のパセの時に牛が膝を着いた。牛から離れ距離を取りナトゥラルでも遠くから牛を呼んで一連のパセを繋いだ。モンテラが邪魔になり、他場所へ投げた。今度はかぶる方が上になって観客からガッカリした声が漏れた。ナトゥラルを4回繋ぎパセ・デ・ペチョ、ナトゥラル。離れデレチャッソを4回繋ぎ牛が体の前で止まったがひるまずにそのままの姿勢でムレタだけを動かしてパセを繋ぐと観客から驚きの声が漏れた。
離れ手に低い長いデレチャッソを2回、クルサードして2回、トゥリンチェラ2回をして牛の目の前に立つと「オーレ」が続き喝采が鳴った。パソドブレが始まった。アジュダードからのトゥリンチェラ、ナトゥラルを繋ぐと「オーレ」の声は大きくなった。クルサードしてトゥリンチェラナトゥラルで牛の前に立って喝采が鳴った。デレチャッソからマノ・カンビオしてパセを繋ぎ、アドルノでパセの後にムレタを回すと「オーレ」の声が叫び声に替わっていった。牛の目の前に立つと、耳が痛いような喝采が鳴った。ナトゥラルからパセ・デ・ペチョで喝采が鳴った。
剣を代えて、トゥリンチェラ2回ナトゥラルで拍手が鳴る。剣はスエルテ・コントラリアでグラン・エストカーダ。牛は口から血を吐いてもんどり打って倒れた。観客の要求に応えてプレシデンテは耳2枚出すことを許可した。これが耳2枚のファエナだったかという疑問はある。しかし、モランテが耳2枚ならこのファエナに耳2枚出てもおかしくないだろうという論理だ。タラバンテはこれで耳3枚になってプエルタ・デル・プリンシペになった。直ぐにプエルタ・デル・プリンシペに向かった。沢山人がいた。かき分けて車の前で待った。5分くらい待っただろうか、アレハンドロ・タラバンテが担ぎ屋に担がれてやってきた。満面笑みだった。僕はアントニオ・コルバチョを待ったが、彼は来なかった。下山さんの話だとコルバチョは人ごみが嫌いでこう言うときはプエルタ・デ・クアドリージャの方から出て友人の車に乗って帰るのだそうだ。
プエルタ・デル・プリンシペは、アレハンドロ・タラバンテにとっては簡単に開けれる物らしい。ホセ・トマスが2回。ホセリート、ポンセが1回。セサル・リンコンは1回も開けていない。彼は、初めて出た年に簡単に開けてしまった。こんな奴は今までいなかっただろう。今年はもう、バレンシア、マドリードのラス・ベンタス闘牛場、そして、セビージャのレアル・マエストランサ闘牛場のプエルタ・グランデを開けてしまった。全て第1級闘牛場である。今年は彼の爆発の予感がする。物凄い奴だ。
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