雨の中、ラス・ベンタス闘牛場の観客は2人のフランス人闘牛士にレガーロの耳1枚ずつを与えた。

2007年5月22日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場のサン・イシドロ13日目(今年27回目)結果。

19時開始、21時44分終了。19時16分照明点灯。

プレシデンテ、マヌエル・ムニョス・インファンテ。満員の入り。。

エル・プエルト・デ・サン・ロレンソ牧場の牛(1頭目から4頭目、6頭目)、ラ・ベンタナ・デル・プエルト牧場の牛(5頭目)

   全体的に、力強さに欠ける。
   1頭目、インバリド。2頭目、インバリド。3頭目、インバリドに近い。
   4頭目、良い牛。5頭目、ムイ・コンプリカド、インポッシブレ。6頭目、マンソ力強さに欠ける。
ソブレロ、ラ・パルモシジャ牧場(1頭目)、ファン・バレンスエラ牧場(2頭目)インバリド、マルテリジャ牧場(2頭目)


闘牛士

ミゲル・アンヘル・ペレラに代わり、ファン・バウティスタ 沈黙、耳1枚。

セバスティアン・カステージャ 拍手アビソ1回、耳1枚とそれに対する抗議アビソ1回。

アンベル・ポサダ=コンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ 沈黙、沈黙。

 小雨が降り時々止んだが、4頭目の牛の時に突風が吹き土砂降りの雨が降った。その後も弱くなったが雨は降り続いた。ソンブラ、テンディド1バレラでファン・カルロス国王とエレナ王女がオルテガ・カノの説明で観戦。3人の闘牛士がファン・カルロス国王に牛を捧げた。エル・プエルト・デ・サン・ロレンソ牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、アタナシオ・フェルナンデス、リサルド・サンチェス牧場)。闘牛士、セバスティアン・カステージャ、ミゲル・アンヘル・ペレラ、アンベル・ポサダ=コンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。満員。ソルのテンディド6にて観戦する。

 ミゲル・アンヘル・ペレラに代わり、ファン・バウティスタ。今日はアンベル・ポサダのコンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。よって2頭目と、4頭目の牛を相手にした。4頭目の牛の時に突風が吹き土砂降りの雨が降る中で、半分以上の観客が席を立った。その中で長いデレチャッソが繋がると、席を立った人たちへの嫌がらせ的に、「オーレ」が続いた。はげしい雨の中で、ずぶ濡れになりながらファン・バウティスタは良くやった。デレチャッソもナトゥラルもトゥリンチェラも良かった。剣はピンチャッソ1回の後、カーイダで入った。観客の強い耳要求に応えてプレシデンテは、耳1枚を出すことを許可した。12日久々のサン・イシドロで良いところを見せて、ミゲル・アンヘル・ペレラの代替出場のチャンスを掴み、それを結果に結びつけた。

 セバスティアン・カステージャ。アンベル・ポサダのコンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。よって3頭目と5頭目の牛を相手にした。5頭目の牛は、ムイ・コンプリカドだった。不可能だった。パセが出来るような牛ではなかった。それでもアレナ中央でクルサードして何とかパセを繋ごうとした。でも、牛はセバスティアンをコヒーダした。牛の上で2回くらい跳ねて頭からアレナに落ちた。痛そうにしていたが、また牛に向かっていった。それでも牛は体の方に向かってきたり、非常に危ない状態だった。観客の中から、「マタロ・ジャ」の声が飛ぶ。

 セバスティアンは、それでも諦めずにパセを繋ごうとした。デレチャソでもブスカンドする。またナトゥラルをする。牛が少しずつムレタの牛に付いてくるようなった。徐々にナトゥラルに牛が合ってくる。2回パセが繋がると、「オーレ」がなった。パセ・デ・ペチョで喝采がなる。不可能な牛を動かし出したという感動を観客が感じたのだ。離れナトゥラルをするとまたブスカンド。それでパセを繋いで牛の前に立つと喝采がなった。そして闘牛場に、「トレロ」コールを観客が叫びだした。99年だっただろうかホセ・トマスがムイ・コンプリカドの牛を相手にやった時のファエナを思い出した。あの時のホセ・トマスも凄かったが、セバスティアンも物凄い。観客が、「トレロ」コールをする気持ちは良く判る。パセ自体はそんなに良いパセをしているわけではない。それでも、不可能な牛を動かしているのが凄いのだ。

 剣を代えてスエルテ・ナトゥラルで剣が決まったら歓声が上がった。牛は倒れず、デスカベジョ3回。それでも白いハンカチが闘牛場を埋めた。口笛が吹かれプレシデンテは耳1枚を出すことを許可した。デスカベジョ3回で普通は耳は出ないでしょう。地方闘牛場じゃあるまいし。でも、耳になってしまった。雨という状況とこの牛を動かしたという事の凄さがあったからだろう。

 アンベル・ポサダのコンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。よって、1頭目の牛と6頭目の牛を相手にした。1頭目の牛の時に良いベロニカを繋いで、「オーレ」がなった。ファエナの前半は、手の低いデレチャッソ繋いで沸かせたが後が続かなかった。

 この日の耳2枚は甘かった。今日は、2人は恵まれた。観客のレガーロの耳1枚と言っていいだろう。しかし、フランス闘牛界にとっては2人の闘牛士がサン・イシドロで同じ日に耳を切ったことは、歴史的な快挙と言っていいだろう。


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