セバスティアン・カステージャ初めてのプエルタ・グランデ!!!ミゲル・アンヘル・ペレラがコヒーダ。

2007年5月18日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場のサン・イシドロ9日目(今年23回目)結果。

19時開始、21時15分頃セバスティアン・カステージャがプエルタ・グランデを通った。20時48分照明点灯。

プレシデンテ、セサル・ゴメス・ロドリゲス。満員。今年6回目のノー・アイ・ビジェテ。

バルデフレスノ牧場の牛

   全体的に、不満だが結果的には満足。
   1頭目、普通。2頭目、普通。3頭目、良い牛。
   4頭目、ソソ。5頭目、マンソ。6頭目、結果的に1番良く見えるが、そんなに良い牛ではない。


闘牛士

ミゲル・アベジャン 口笛、挨拶とそれに対する抗議、沈黙。

セバスティアン・カステージャ 拍手アビソ1回、沈黙、耳2枚。

ミゲル・アンヘル・ペレラ コヒーダされて1頭の牛も相手に出来なかった。

 追記:2頭目の牛のガオネラのキーテでミゲル・アンヘル・ペレラがコヒーダされて医務室に行った。
     医師の診断では、右ふくらはぎの辺りを刺され15cmの角傷を受け重傷。

 晴で暑い。バルデフレスノ牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、アタナシオ・フェルナンデス、リサルド・サンチェス牧場)。闘牛士、セサル・ヒメネス、セラフィン・マリン、マティアス・テヘラ。満員。ソルのテンディド6にて観戦する。

 ミゲル・アベジャンは、ただパセを繋いでいるだけ。もう終わったのだろうか?

 セバスティアン・カステージャは、今日闘牛場を熱狂させた。2頭目の牛のベロニカは素晴らしかった。タブラからアレナ中央へ行ってメディア・ベロニカ。しかし、ピカで牛はつぶれる。バンデリジェーロのカポーテで前脚がガクッとした。そして、ペレラのキーテはガオネラ。体の近くを2回通る。驚きの声が出る。ちょっとおかしい。クルサードしてガオネラをまた2回。レマテのラルガでコヒーダされた。痛がっていたし、出血も非道そうだ。ピンクの靴下が、膝下から鮮血に赤くなった。アベジャンがネクタイを取り結ぼうしたが拒否して、また牛に向かった。足を引きずりながらラルガ。喝采を受けたが彼のサン・イシドロはこれで終わった。

 牛は観客に捧げられた。アレナ中央で右手にムレタを持って牛を待つ。飛んだり左手を挙げたりして牛を誘う。牛が動き出すと、ギリギリまで待ってムレタを背中の方に出してパセをした。牛は体ギリギリを通った。闘牛場にざわめきが起こった。右に行った牛をそのままの姿勢で体の前を通し、左に行った牛をまた背中の方を通しムレタを左手に持ち替えてナトゥラル。「オーレ」が鳴りパセ・デ・ペチョで拍手がなった。それから、ナトゥラル4回でパセ・デ・ペチョをしたが牛の動きが悪い。

 それから、デレチャッソを4回通してパセ・デ・ペチョ。牛が途中止まったが体は動かない。肝が座っている。こう言うところが観客に伝わるのだ。見せかけではない、勇気が・・・。離れ牛に向かう。コロカシオン(立ち位置)が良い。立っている所がすでにクルサードしている。デレチャッソ4回でパセ・デ・ペチョ2回。「オーレ」が鳴り喝采に消された。離れナトゥラル。1回1回クルサードしてパセを繋ぐ。どうも左角は動きが鈍い。手を替えて体の後ろでムレタを振って牛を動きを確認する。牛は体の直ぐ近くにいる。危ないが、怖さを感じない。パセを1つ1つ繋ぎ牛の前に立っている。パセ・デ・ペチョで牛の前に立って喝采がなる。

 離れデレチャッソ4回でパセ・デ・ペチョ。牛の前でピクリとも動かない。喝采が鳴り剣を代えた。これで剣が刺さっていたら耳1枚だっただろう。が、ピンチャッソ6回。アビソが鳴りデスカベジョで牛を倒した。残念だ。

 4頭目は、動かなかった。6頭目の最後の牛はそんなに良い牛ではなかった。牛はトリルからゆっくり出て来てそれから突っ張るような走り方や止まり方をした。角は開き上を向き先は尖っていた。いわゆる即死型の角である。ベロニカを繋ぐ。パセの後に牛がよろけた。バランスが悪いのだ。メディア・ベロニカ。ピカは、左の横、肩の所に入り口笛が鳴る。刺し替えて右前。キーテは体に近くを通すチクエリナ2回で牛がパセの後、膝を着きながら走った。やっぱりバランスが悪いのだ。それからチクエリナ2回レマテはラルガで拍手。ピカは今度は右前に入った。バンデリージャが5本打たれ、牛はTVのマイクに向かって捧げていた。

 ファエナは、テンディド8の2本ある白線の外側付近でエスタドアリオを5回、引くようなナトゥラル、トゥリンチェラ、引くようなナトゥラル、パセ・デ・ペチョで「オーレ」が鳴り拍手。それからアレナ中央へ。モリネーテからデレチャッソ4回でパセ・デ・ペチョ。「オーレ」が続き拍手。離れ、デレチャッソ3回で牛が膝を着く。溜息が漏れる。クルサードして4回繋ぎパセ・デ・ペチョで「オーレ」が大きくなり牛に背中を向けて歩いていくと喝采がなった。離れてナトゥラル4回でパセ・デ・ペチョで「オーレ」が大きくなり喝采に消された。離れ、牛を誘いデレチャッソから手を替えて、ナトゥラルが繋がると「オーレ」の声はより大きくなった。それから、2回パセを通しクルサードしてパセ2回通しクルサードしてパセ2回通しパセ・デ・ペチョで牛の前に立って喝采がなった。

 離れ右手のパセ・デ・フローレスからデレチャッソ3回。牛が止まり背中を通すシルクラールから手を替えてナトゥラル、パセ・デ・ペチョで牛の前に立って喝采を受ける。剣を代えて、膝を折ったデレチャッソから手を替えてトゥリンチェラ、引くようなナトゥラル、トゥリンチェラで、「オーレ」が鳴り牛が止まった。そのまま剣刺し。剣は良い所に入ると大きな歓声が闘牛場に上がった。牛が倒れる前から白いハンカチが振られている。牛が倒れ闘牛場が白いハンカチに覆われた。大きく多くの口笛が吹かれる。プレシデンテは耳1枚を許可する白いハンカチを出したが、闘牛場の観客はそれでも白いハンカチを振り続け、口笛はさらに大きく吹かれた。プレシデンテはもう1枚耳を出すことを許可した。

 闘牛場は歓喜に沸いた。冷静に考えれば1.5枚くらいだった。でも、セバスティアン・カステージャにプエルタ・グランデさせたいという観客の気持ち、2頭目の牛で耳1枚だったファエナを考えるとこれは妥当な耳2枚だ。僕は、耳2枚出るまでハンカチを振り続けた。耳2枚が確定した時点で席を立った。プエルタ・グランデに行くためだ。テンディドの門でTさんに会った。すると、Yさんはもう2枚出でる前にプエルタ・グランデに向かったという。恐ろしい早さだ。

 ミゲル・アンヘル・ペレラは、2頭目の牛でキーテのガオネラをやり、体に近いパセを続け牛にコヒーダされて医務室に行った。非常に良いパセを通したが、やりすぎてレマテのラルガで牛に刺された。やられそうな感じだった。パセが1回多すぎた気がする。右ふくらはぎの辺りを刺され15cmの角傷を受ける。重傷。アポデラードのフェルナンド・セペダは、復帰には15日かかると言った。

 闘牛場の歓喜は闘牛場の外へも溢れていた。プエルタ・グランデの前には時間が経つにつれて凄い人並みが出来た。門が開きセバスティアン・カステージャが肩車されて出て来た。その凄い人並みを掻き分けて警官の先導でやってきた。セバスティアン・カステージャは普通の顔をしていた。勿論最高に嬉しいだろうが、ある種当たり前のような気さえする。今までプエルタ・グランデしなかったのがおかしいくらいだ。これで正真正銘のフィグラになった。おめでとうセバスティアン!フランス人初めての正闘牛士のプエルタ・グランデ!新たな歴史を闘牛史に刻むことが出来た!このニュースは、スペイン中に流れた。しかし、それだけにはとどまらない。フランスにも流れたし、彼の父親?の故郷ポーランドにも流れ、世界中に配信された。

 いつもの場所でいつものメンバーが顔を合わせた。みんな満面笑みがこぼれている。笑いが止まらない状態だ。それからコロキオへ向かった。


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