沸き上がる「トレロ」コール!「オレー、オレオレオレ、オレー、オレー」の大合唱!
転生した絶対君主ホセ・トマス降誕。再び王政復古宣言!

2007年6月17日バルセロナ、モヌメンタル(第1級)闘牛場結果。

19時開始、21時35分頃ホセ・トマスとカジェタノ・オルドニェスがプエルタ・グランデから凱旋した。

プレシデンテ、不明。ノー・アイ・ビジェテ。満員。

ヌニェス・デル・クビジョ牧場の牛

   全体的に、良い牛が出た。
   1頭目、良い牛。2頭目、コンプリカド。3頭目、良い牛。
   4頭目、悪い牛。5頭目、マンソ。6頭目、非常に良い牛で場内1周。


闘牛士

フィニート・デ・コルドバ 挨拶アビソ2回、沈黙。

ホセ・トマス 耳1枚アビソ1回、耳2枚。

カジェタノ・オルドニェス 耳2枚、耳2枚。

 追記: 2頭目の牛の時に、ホセ・トマスがコヒーダされたが、何もなかったように立ち上がりファエナを続けた。

 晴のち曇。風が吹いていた。ヌニェス・デル・クビジョ牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、ファン・ペドロ・ドメク牧場)。闘牛士、フィニート・デ・コルドバ、ホセ・トマス、カジェタノ・オルドニェス。満員。ソンブラのアンダナーダ3にてYさんと一緒に観戦する。ノートは殆ど取らずに、ビデオ撮影をしながらの観戦。闘牛場の外には、アンチ・タウリナ(闘牛反対)のデモ隊がシュプレキコールを上げて、それに対して闘牛ファンが罵声を飛ばしていた。あれほどのデモ隊をモヌメンタル闘牛場前で観たことがない。

 フィニート・デ・コルドバは、ノビジェーロ時代のホセ・トマスのアイドル。今は、どうもいけない。

 ホセ・トマスが、入場行進でアレナに登場すると、場内から拍手が沸き起こった。入場行進が終わり闘牛が始まる前に、喝采が鳴り、挨拶をした。それから、フィニートとカジェタノをアレナに呼んで3人で挨拶をした。こう言うところは、セサル・リンコンを踏襲している。1頭目フィニートの牛のキーテで、ガオネラをやった。角が右足すれすれに通っていった。隣のYさんに、こんな所を角が通っていったと、言ってYさんを観たら、もう眼から涙が溢れていた。それを観たら、もらい泣きした。

 2頭目の牛では、やはりブランクを感じた。ちょっと違うなぁと思ったが、5頭目の牛は凄かった!ファエナの途中で、アンチ・タウリナが、「アセシノ」と叫びだし、それを、つまみ出した。物凄い罵声を浴びていた。それから、誰かが、「グラシアス・ボルベール・マエストロ」と叫ぶと、観客は、「シー・セニョール」と応えた。「ビバ・フィエスタ・ナショナル」と叫ぶと、「ビバ」と応えた。「ビバ・ホセ・トマス」と叫ぶと「ビバ」と応えた。それから動かないホセ・トマスのファエナに熱中し興奮し感動した。2000年の絶頂期を彷彿させるファエナだった。観客は興奮にして、「トレロ」コールを叫びだした。果ては、サッカー場の様に、「オレー、オレオレオレ、オレー、オレー」の大合唱が起こった。リーガ・エスパニョーラで優勝したときのような感じだった。最後の剣を代えて、マノレティーナは物凄かった。7・8M離れた牛が動き出してもホセ・トマスは全くピクリとも動かない。4Mの所で牛が止まった。それから、ムレタを出して牛を誘うと牛はムレタに向かった。それが2・3回続き観客は驚きの声を、「オーレ」に変えて叫んだ。牛の前に立つと喝采がなった。剣は、レ シビエンドと言うより、ア・ウン・ティエンポで剣が入り耳2枚。尻尾も要求したが叶わなかった。ファエナ中、Yさんの涙は涸れることはなかった。

 カジェタノ・オルドニェスは、エンターテイメント闘牛。ちゃんと闘牛をしていない。でも、これで闘牛ファンが増えるならそれも良いだろう。最後の牛は、フィニートとホセ・トマスに牛を捧げた。

 5年ぶりにアレナに戻ってきたホセ・トマスを観ようと切符は売り切れ。当日券が新聞では、300枚とか、800枚売り出されると書いてあった。夜行で着いてそのまま闘牛場へ行って並んだ甲斐があって切符が買えた。そして、2000年を彷彿する闘牛が観れたことに感動した。ホセ・トマスのファエナを観ながら、下山さんから訊いたアントニオ・コルバチョの言葉を思い出した。

 「ファンは、ホセ・トマスが戻ってきたら、昔のように闘牛が出来ないだろうとか、いや、出来るとか、言っているようだが、それは、間違っている。戻ってきたら、勿論、昔のような闘牛が出来るだろう。そして、その先には、「死」が待っているだろう」

 ホセ・トマスは、アントニオ・コルバチョの通り、物凄かった。本当に死ぬ覚悟で闘牛をやっていた。光、輝いていた。隣のYさんは、ファエナ中、ボロボロ溢れ出る涙をこぼしながらただひたすらホセ・トマスを見詰めていた。それは、他の観客も同じようなものだった。ホセ・トマスが帰ってきた喜びだけを噛み締めているのではない。神ようになって帰ってきたホセ・トマスの闘牛に酔っているだけでもない。ここまで、本物の闘牛をやっている姿と意志に心の何処かで、悲劇的な物を感じとっているいるのかも知れないと、思うのだ。

 こんな闘牛を見せられたのでは、ホセ・トマスの闘牛付いていこうと思うファンが多いと思う。マドリードに着いて下山さんからTELが入った。朝TVでバルセロナ市長がインタビューに応えて、バルセロナの闘牛の火は、ホセ・トマスの闘牛のよって再び燃え出すだろうと、言ったそうだ。


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