マティアス・テヘラ観客の後押しで疑問の残るプエルタ・グランデ!

2007年5月16日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場のサン・イシドロ7日目(今年21回目)結果。

19時開始、21時15分頃マティアス・テヘラがプエルタ・グランデを通った。

プレシデンテ、トゥリニダ・ロペス・パストル。満員。今年4回目のノー・アイ・ビジェテ。

サルバドール・ドメク牧場の牛(1頭目から5頭目)、ホセ・ルイス・ペレダ牧場の牛(6頭目)

   全体的に、良くない牛もいたが、良い牛が出た。
   1頭目、マンソ。2頭目、ペリグロ。3頭目、インバリドに近い。
   4頭目、マンソ。5頭目、マンソ、ペリグロ。6頭目、頭の高い牛。


闘牛士

セサル・ヒメネス 口笛、沈黙アビソ1回。

セラフィン・マリン 沈黙、沈黙アビソ1回。

マティアス・テヘラ 耳1枚、耳1枚とそれに対する抗議。

 追記:5頭目の牛のバンデリージャでセサル・ペレス、6頭目の牛のバンデリージャでカルロス・アビラが喝采を受け挨拶をした。
     6頭目のピカで、ファン・フランシスコ・ペーニャが喝采を受ける。

 晴。日陰になると風が吹いているので肌寒くなる。サルバドール・ドメク牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、エル・トレロ牧場)。闘牛士、セサル・ヒメネス、セラフィン・マリン、マティアス・テヘラ。満員。ソルのテンディド6にて観戦する。

 セサル・ヒメネスは、おかしい!去年の2回連続プエルタ・グランデは悪い方に作用してとしか思えない内容だ。闘牛の質が落ちた。何かが違う。魔法がなくなったと言えばそれまでだが、闘牛を観ようという気にならない。所々に技術を感じるが、彼の闘牛の全体像というか、どういう闘牛がやりたいのかが見えてこない。ホセリートに教わって入れこれじゃなぁ・・・。彼の今の闘牛には迷いがある!

 セラフィン・マリンは、牛に恵まれなかった。2頭目は、頭が高くパセの時に、牛が何度も飛ぶような感じになった。だから牛の動きにムレタを合わせるのが難しい。5頭目の牛は、627キロもある大きな牛で頭が高かった。パセの時に、角を動かしながら来るので、何処に来るか判らない状態になるので非常に危ない。それでもクルサードしてパセを繋ごうとしたが、良いパセを引き出すことは出来なかった。あれだけクルサードして動かないのなら仕方がないだろう。しつこい所がセラフィンの良いところだ。

 マティアス・テヘラは、3頭目の牛は、インバリドに近かった。後ろ脚に欠陥あった。頭が高くベロニカでは動きが悪かった。パセの後に後ろ脚から崩れたり体のバランスの悪さが膝も着いた。観客は牛の交換を要求したが叶わなかった。ムレタは、風を考えてテンディド4へ行った。デレチャッソで左右に牛をパセして、牛に向かった。クルサードしないで牛を誘うと牛がムレタに反応した。3回繋ぐとビエンの声が出て、クルサードしてパセを2回繋ぎパセ・デ・ペチョで拍手がなった。離れデレチャッソ4回繋ぎ牛1回がエンガンチャ(ムレタを角にはらわれた)されパセ・デ・ペチョで「オーレ」が拍手に代わった。

 あれだけ牛交換を要求した観客は、マティアス・テヘラが牛を動かし支配していることに驚いた。手の低い長いデレチャッソ3回繋がると「オーレ」が続きパセ・デ・ペチョ2回で喝采がなった。それから離れナトゥラル。左角の方が短いと思っていたのでどうなるか見守った。3回繋ぎクルサードしてパセ2回からトゥリンチェラでオーレか続き拍手がなった。離れナトゥラル2回繋ぎ3回目にパセが短くなって危なかった。それでもクルサードを繰り返しパセを繋ぎパセ・デ・ペチョで拍手がなった。それから今度は手の低い長いデレチャッソ4回繋ぐと「オーレ」の声が大きくなりパセ・デ・ペチョで喝采がなった。

 剣を代え、トゥリンチェラと引くようなナトゥラルを繰り返しパセ・デ・ペチョ、引くようなナトゥラルで「オーレ」の声が喝采に消された。剣はスエルテ・コントラリアでカイーダに入った。牛が早めに倒れ白いハンカチが闘牛場をおおった。口笛が吹かれプレシデンテは耳1枚出すことを許可した。良くこの牛でこういうファエナが出来た物だ。耳1枚の価値のあるファエナだった。嬉しそうな笑顔で耳を持って場内1周をした。

 最後の牛は、走るときに前脚が外側に向く牛で頭が高く体は太い感じがした。ベロニカで膝を着き、ピカが入った後のキーテで牛は角をアレナに突き1回転した。キーテのチクエリナ2回で膝を着いた。それでも体の近くを通すチクエリナ2回メディア・ベロニカを通すと「オーレ」がなり喝采がなった。足が動いていたので最高の物ではなかったが、マティアスは観客の気持ちを捉える壺を心得ているようなカポーテ技だった。角は明らかに左角が短かった。ピカは牛を呼んで刺したりしたのでピカドールが喝采を受けた。バンデリージャはあるロス・アビラが危なかったが怖がらずちゃんと打ったので挨拶をした。

 ファエナは、テンディド5付近で始めた。膝を折ったデレチャッソで探りお入れ、アレナの内側へ。デレチャッソ3回でパセ・デ・ペチョで拍手。クルサードして、手の低い長いデレチャッソ4回繋がると「オーレ」が続きパセ・デ・ペチョで拍手。それから角の短い左。ナトゥラルを3回繋ぐと牛は外へ逃げる。牛はパセをするとタブラの方に近づいていく。だからムレタでアレナの内側へ移動した。マティアスはこの牛が、タブラでは動かないことを知っている。ナトゥラル3回、パセ・デ・ペチョで喝采がなった。牛の動きが悪いが繋いでいる。離れデレチャッソ4回のうち1回はパセが短い。レマテはトゥリンチェラ。

 マティアスは、パセの時の手の位置がいつも低いのと、レマテが良いので見栄えが良い。デレチャッソからナトゥラルパセ・デ・ペチョ。ナトゥラル3回でエンガンチャされてムレタを落とす。それでもパセを繋いでモリネーテで喝采。剣を代えた。ファエナ後半はそんなに良くない。デレチャッソ、クルサードして前を通し牛を1回廻しデレチャッソから引くようなパセで拍手。スエルテ・コントラリアでカイーダ。ファエナ後半にテンディド7から抗議の手拍子が起こっていたが、それを他の観客が逆に抗議した。しかしこの剣刺しに口笛を吹いて抗議している。牛がもんどり打って倒れ闘牛場に白いハンカチが揺れる。抗議の手拍子と耳を要求する口笛が吹かれる。強い耳要求である。プレシデンテは耳1枚出すことを許可した。それに対して、テンディド7から強い抗議が行われた。

 この耳には問題があると思う。甘いのだ。セビージャのように。でも、ここ何年かラス・ベンタス闘牛場の観客も変わってきたのだ。これが耳なのだと観客の大半が思えば耳になる。当然かも知れないが、今まで長い間サン・イシドロを見てきた物からすれば、耳じゃないと思うのは当然である。

 直ぐに、プエルタ・グランデに向かった。しばらく待つとプエルタ・グランデからマティアスが肩車されて現れた。とても嬉しそうな笑顔でやってきた。僕は、バンデリジェーロのカルロス・アビラを呼んだ。彼は直ぐに気付き手を握った。おめでとうと、言った。

 それからいつもの場所へ行った。Tさんがいた。Yさんは帰ったという。あれはプエルタ・グランデじゃない。意見は一致している。でも、Tさんはマティアス・テヘラの写真を貰ったと嬉しそうだった。実は俺も写真を貰ったのだ。Tさんの話だと、プエルタ・グランデから出て来たマティアスに向かってわざわざアフィショナード2人が人差し指を横に振ってダメだと抗議してた言う。Mさんも来た。あれはプエルタ・グランデじゃないと言うと、客が変わったと、言った。でも、3頭目の牛は凄かったと言っていた。本当のことを言えば、このプエルタ・グランデは嬉しいのだ。マティアス・テヘラが好きだからと言うのもある。でも、頭ではこれはプエルタ・グランデじゃないと考えている自分がいる。ともあれ、おめでとう、マティアス!これからコロキオをしたが、家に帰ってきて気付いた。この前バルベルデに疑問の耳を出したプレシデンテが今日のプレシデンテだと言うことに・・・。


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