フェルナンド・クルス、セリオ。フェレーラは、バンデリージャで沸かせる。

2007年5月10日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場のサン・イシドロ初日(今年15回目)結果。

19時開始、21時08分頃終了。20時47分照明点灯。

プレシデンテ、セサル・ゴメス・ロドリゲス。観客は目測で、満員に近い入り。

マルテリジャ牧場の牛

   全体的に、非道い牛が多かった。
   1頭目、マンソ。2頭目、インバリド。3頭目は、。
   4頭目は、。5頭目、膝をよく着き力強さがないマンソ。6頭目は、。


闘牛士

ルイス・ミゲル・エンカボ 沈黙、沈黙。

アントニオ・フェレーラ 沈黙、牛に対する罵声。

フェルナンド・クルス 挨拶アビソ1回、沈黙アビソ1回。

 サン・イシドロ初日を迎えた。晴れて暑い。20時19分に日陰になると風が吹いているので肌寒くなる。マルテリジャ牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、マルケス・デ・ドメク(ファン・ペドロ・ドメク)牧場)。闘牛士、ルイス・ミゲル・エンカボ、アントニオ・フェレーラ、フェルナンド・クルス。満員に近いの入り。ソルのテンディド6にて観戦する。

 ルイス・ミゲル・エンカボは、牛も悪く殆ど良いところがなかった。初めの牛のバンデリージャをフェレーラと一緒に打って挨拶をした。4頭目はバンデリージャはバンデリジェーロが打った。それだけ悪い牛だった。

 アントニオ・フェレーラも良い牛に当たらなかった。2頭目の牛がインバリド。エンカボが初めの牛で一緒にバンデリージャを打ったのでそのお返しでバンデリージャを2人であった。5頭目の牛は前脚が弱く直ぐに膝を着く牛だった。観客は牛を交換するように要求したが、プレシデンテは交換しなかった。牛が悪かったのでしばらく考えていたがフェレーラは、自分の見せ場であるバンデリージャを打った。それに対して観客は悪い牛なのにどういう事だと、抗議の口笛を吹いた。これを喝采に替える事が出来れば闘牛士の勝ちである。

 牛誘い、追わせてフェイントで交わし左に走って角先で打って拍手。次がアレナ中央に後ろ向きで立った。場内が静かになった。牛を誘ってフェイントで牛を交わして回り込んで角の間で打って喝采。最後がタブラ付近で、ブルラデロに牛を誘ってキエブロ。歓声が沸く。牛が通りすぎてまた向かってくるとフェイントで交わし歓声がなり、再び向かってきた牛をまたフェイントで交わし立ち上がって喝采を送った。これは観客の口笛を賞賛の喝采に替えてしまったフェレーラの勝ちである。牛を観客に捧げると再び口笛が吹かれた。牛が悪いのにこれじゃ、牛の見方が判ってないの?と言う口笛である。そして、ファエナはやはりダメだった。そうしようもない牛だった。何故プレシデンテは牛を交換しなかったのだろう?

 フェルナンド・クルスも、牛が悪かった。それでも何とか動かそうと長いファエナを続けた。そうしたら3頭目の牛の時に時々手に低い長いパセが繋がった。そうやって体で刻んでいくことが大事だ。ただ、退屈なファエナだった。時々観客は「オーレ」の声を出した。忍耐強く彼のファエナに付き合っていた。でも、距離が判っていない。牛を誘おうと立っている位置でムレタで誘っていないのに牛が向かってきている。

 今年のバレンシアで睾丸から玉が2個飛び出る角傷を受ける大怪我をして、マドリードのファンは応援していたのだろう。だから忍耐強く見守ったが残念な結果になった。マドリード出身だからとか、大怪我を負ったからとか、いつも真面目に闘牛をやっているからとか、だけでは、生き残っていけない。距離のこともそうだが、命賭けだけでは、ない、不足している技術と、自分という物をよりよい形で観客に見せることが出来るかというのがプロである。この日好印象を持ったファンも、サン・イシドロが終わる頃には忘れているだろう。今年唯一の出場日がこれでは、頑張ったが可哀想だ。

 今日は非道い牛が多く、闘牛士はどうすることも出来ない日だった。その中でフェルナンド・クルスが何とかファエナを形にした。アントニオ・フェレーラはこの牛はダメだというので、バンデリージャ打ちを見せ場するしかなくなっていた。こういう牛を出す牧場と、興行主は考えた方が良い。今日凄く気になったのが、闘牛の最中にアレナに下りた4羽の鳩。闘牛とは全く関係なくアレナをつついていた。生死を賭けた闘牛と、何でもない日常の風景である鳩がとても対比になっていた。


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