2007年6月10日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場の記念闘牛最終日(今年43回目)結果。 19時開始、21時16分頃終了。 プレシデンテ、フリオ・マルティネス・モレノ。ノー・アイ・ビジェテ。満員。 ファン・ペドロ・ドメク牧場の牛 全体的に、扱いやすい牛が出た。 1頭目、変わった牛。2頭目、3頭目、割と良い牛。 4頭目、割と良い牛。5頭目、良い牛。6頭目、割と良い牛。 闘牛士 ミゲル・アベジャン 口笛、口笛。 エル・シド 拍手、挨拶。 ミゲル・アンヘル・ペレラ 罵声、沈黙。 追記: 1頭目のバンデリージャ打ちでミゲル・アベジャンのバンデリジェーロ、エル・チャノが喝采を受け挨拶した。 |
晴のち曇。風が吹いていた。ファン・ペドロ・ドメク牧場の牛(Procedencia
actual=現在の起源<基の血統>、ファン・ペドロ・ドメク牧場)。闘牛士、ミゲル・アベジャン、エル・シド、ミゲル・アンヘル・ペレラ。満員。ソルのテンディド6にて観戦する。
ミゲル・アベジャンの初めの牛は、カポーテでは、変な動きをしていた。体の方に向かってくる牛だった。バンデリジェーロのホセ・マヌエル・モントリウはカポーテでコントロールするのが難しそうだった。エル・チャノが非常に素晴らしいバンデリージャ打ちを2回して喝采を受け挨拶をした。ファエナは、どうなるかと思ったら、始めは良かった。ムレタを振ると体の方に来ずにパセが繋げる牛だった。だから始めの方は沸いたが、アベジャンは、ちゃんとトレアールをしなかったので観客は手拍子や口笛を吹き始めた。
4頭目は、ピカを反対側のピカドールのやらせて観客から強い抗議が出た。牛をコントロール出来ないからと言ってこう言うことをやるとラス・ベンタス闘牛場の観客は怒り出す。所定に位置で刺すべきピカドールがやらないと嫌いなのだ!そして、口笛や罵声の後やったチクエリナは非道い物だった。体の遙か遠くを通すチクエリナ3回で、メディア・ベロニカも体から遠いパセ。口笛物だ!ポンセじゃあるまいしこんなチクエリナならやらない方が良い。昔は、脇の下を角が通る際どいチクエリナだったのに・・・。あれだって不満があった。何故ならチクエリナするときに、牛は闘牛士の直ぐそばを通るのは勿論だが、牛の頭が1番下に下がった状態で通らなければならないからだ。だから、脇の下に角がある状態の以前のチクエリナも不満だったのだが、今のアベジャンは、ダメジャンからバカジャンになってしまった。
牛は観客に捧げられたが拍手に口笛が混じっていた。ファエナは、アレナ中央で膝を着いて牛を誘いロディージャで5回パセを繋ぎパセ・デ・ペチョ。拍手がなった。風が吹き場所を移動し、モリネーテからデレチャッソを4回繋ぎトゥリンチェラ、手を替えて、引くようなナトゥラルからパセ・デ・ペチョ。初めの牛と同じでちゃんとトレアールしていない。パセ・デ・ペチョなんて脇が開いて外に向けてやるような感じだった。牛は良かった。しかし、こういう闘牛では、地方の闘牛場で耳が切れてもラス・ベンタス闘牛場では耳は切れない。
エル・シドは、5頭目の牛の剣刺しで耳をなくした。1回で良いところに剣が刺さって牛が倒れていれば耳は出ていたが、ピンチャッソ1回でテンディダで入ったのは良いとしても、その後デスカベジョ2回じゃ耳を出しようがない。アベジャンのリガールと比べてエル・シドのリガールは、体の近くを牛が通っているちゃんとした物だった。だから、「オーレ」が続くのだ。距離、コロカシオン(立ち位置)、牛の誘い方、ムレタ捌き、はやはり見応えがあった。
ミゲル・アンヘル・ペレラは、牛が解っていない。やろうとしていることが出来ない。彼はちゃんとトレアールしようとはしている。でも出来ない。3頭目の剣刺しでは、凄いバホナッソで剣を抜いたが、牛が口から血を吐いて倒れ罵声と口笛を浴びた。最後の牛は、頭が高い牛でピカは前の方に入っていた。パセ時に頭が下がるようになっていたが、鼻面を土に付けるくらいには、下がらずに闘牛士の膝くらいの所の高さまでしか下がらなかったので、パセに深みと味がなかった。それと、彼も距離が未だ解っていない。いつも同じ距離で牛を誘っている。それでも良いが、それなら、自分の闘牛をしっかり見せれるようにならないといけない。
久々に6頭の牛を出したファン・ペドロ・ドメク牧場は、良い牛を出した。扱いやすい牛が多かった。が、見ていて思ったのは、パセの時に頭が下がりきらない。闘牛士の膝の上辺りに角がある状態で通っていた。これだと、パセに深みがない。1番良かったエル・シドの時でさえそうだった。アベジャンの時も、ペレラの時もそうだった。2人はトレアールの仕方が上手くないからそれが目立った。頭が低くムレタも低ければパセに深みが出る。しかし、今日の牛はそういう深みのあるパセが殆どなかった。良い牛だったが、そこが不満だ。それについてはMさんが、俺はああいう牛は嫌いだ。と、言っていた。ファン・ペドロ・ドメク牧場の血統は、好きだが、もう一つ力強さというか、勇敢さがなかった。それがあれば素晴らしい闘牛が観れただろうが、それは完璧を求め過ぎかも知れない。
闘牛が終わった後、みんなにあった。アベジャンの闘牛は話にならないと口々に言っていた。当然だ!エル・シドは良いファエナをした。それは衆目の一致するところだ。好き嫌いは別にして。ペレラは、牛の扱いが下手だけど、ちゃんとトレアールしようとはしている。「あの子は、難しいことをしようとしている。出来ないけど」という指摘があった。ともあれ、この日のアベジャンにはファンは目を覆った。非道いもんだった。
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