ロペス・チャベスが、良い牛で耳を逃し口笛を吹かれる。あとは牛が悪い!

2006年5月29日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場のサン・イシドロ20日目(35回目)開催の結果。

19時開始、21時15分頃終了。20時57分照明点灯。

プレシデンテ、フリオ・マルティネス・モレノ。今年19回目のノー・アイ・ビジェテ。観客は満員。

牧場

セレスティーノ・クアドリ
   全体的に、角がでかく開いていて、脚が弱くコンプリカドが多くしかも危ない。
   1頭目、コンプリカドで危ない牛。2頭目、ペリグロ・ソルド。3頭目は、コンプリカド。
   4頭目は、インバリド。5頭目、右角が短かったが左角が良い牛。
   6頭目は、角がでかく開いていて脚が弱く頭が高い牛。


 ソブレロ:アルシ牧場の牛(4頭目の牛に換わり)。コンプリカドで左右の角がブスカンドする危ない牛。


闘牛士

エル・カリファ 沈黙(アビソ)、沈黙。

ロペス・チャベス 挨拶(アビソ)、口笛(アビソ)。

ハビエル・バルベルデ 挨拶、沈黙。

 追記:ハビエル・バルベルデが3頭目の牛の剣刺しで、コヒーダされ医務室へ向かった。
     右太腿2個所をプンタッソされた。

 曇りだが時々日が照っている。日が暮れても蒸し暑い。セレスティーノ・クアドリ牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、セレスティーノ・クアドリ牧場)。闘牛士、エル・カリファ、ロペス・チャベス、ハビエル・バルベルデ。満員の入り。ソルのテンディド5にてTさんと一緒に観戦する。

 エル・カリファが、相手にした2頭の牛は非常にやりにくい牛だった。コンプリカドでブスカンドする危ない牛。観客は観ているのが怖いから、必死にパセを繋ごうとするカリファに口笛を吹いて早く牛を殺すように催促していた。特に2頭目の牛は左右の角がブスカンドする危ない牛であの牛をどうにかするのは不可能だ。それでもカリファは、誠実だ。誤魔化したり逃げたりしない。そういうところにカリファの男らしさと闘牛士としての濃厚さを感じる。こういう牛は、トリスタ(牛を中心に観る闘牛ファン)には好かれるだろうが、トレリスタ(闘牛士を中心に観る闘牛ファン)には嫌われる。

 ロペス・チャベスは、惜しいところで耳をなくした。1頭目の牛はパセが途中で止まる牛で、そこから角が体に向かってくる危ない牛。しかも、右角が長い牛なのにナトゥラルから初めそれを続けた。こういう角の間違いは牛をより危険にする。しかし、2頭目の牛は、ベロニカを繋ぐと右角が短いのが判った。逆に左角は長い。そういう特性を生かしてファエナをした。膝を折ったデレチャッソのあとアレナ中央へ行った。牛との距離は30m。そこに立ってムレタを構えようとした。牛が反応した。それを観てロペス・チャベスは、その位置でクルサードしたまま牛を誘った。牛がムレタに向かって走り出した。

 歓声が上がった。手の低いナトゥラルが6回繋がるとオーレがなった。パセ・デ・ペチョは、右角で返りが早い。拍手が沸く。距離を取りナトゥラルが3回繋がるとビエンの声がかかりパセ・デ・ペチョで拍手がなる。今度は左角を通していた。離れナトゥラルを3回繋ぎパセ・デ・ペチョ。全て左とのを通していた。拍手がなる。離れナトゥラル。3回繋ぎパセ・デ・ペチョ。全て左とのを通していた。オーレが続き拍手がなる。ナトゥラルを3回繋ぎ、クルサードして2回パセ通しパセ・デ・ペチョで拍手。全て左とのを通していた。剣を代え、膝を折ったデレチャッソをして、また、アレナ中央へ行って、距離を取った。歓声が上がる。ファエナの最後で牛はもう動かないはずだ。

 ナトゥラル3回繋ぎパセ・デ・ペチョ。このタンダ・デ・ムレタッソに対して抗議の口笛や手拍子がなった。牛をスエルテ・ナトゥラルで牛を置きバホナッソの斜めに1/2入った。そのあと3回ピンチャソを繰り返しデスカベジョ4回。口笛と罵声が飛んだ。彼は、この牛の良いところを引き出したが、ナトゥラルが綺麗じゃない。だから盛り上がりもいまいち。上手い闘牛士なら耳2枚のファエナになっていただろう。それでも剣が1回で決まっていたら耳1枚出ていたと思う。

 ハビエル・バルベルデは、いまいち。1頭目はパセのあとの返りが早い牛でドタバタするファエナ。剣刺しでコヒーダされる。この牛は右がなかった。だからデレチャッソを繋いだ。最後の牛も、右角が長く左角が短い牛。パセをするとムレタを角にはらわれていた。こういう牛はトリスタ向きの牛。僕には退屈だった。バルベルデはすっかりコリーダ・ドゥーラになった。そういう牛を相手にする闘牛士だ。それならもう少しやって欲しかったが・・・。

 今日1番観客を沸かせたのは、ロペス・チャベス。今日1番観客からけなされたのもロペス・チャベス。闘牛が出来る牛が1頭出た。その牛で良いところを見せたが最後がダメだった。セレスティーノ・クアドリ牧場の牛は、トリスタ向きの牧場。トレリスタには面白くない。そんな中でカリファは真面目だった。彼の誠実さを僕は尊敬する。サン・イシドロに1回しか出ないのは間違っている。彼は最低2回出場するべきだ。


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