エンリケ・ポンセとサルバドール・ベガが挨拶。

2006年5月20日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場のサン・イシドロ11日目(26回目)開催の結果。

19時開始、21時30分頃終了。照明点灯20時57分。

プレシデンテ、セサル・ゴメス・ロドリゲス。今年11回目のノー・アイ・ビジェテで、観客は満員。

牧場

ハビエル・ペレス・タベルネロ、ホセ・ルイス・ペレダ
   全体的に頭が高く角が広い牛。マンソが多い。
   


ソブレロ、ラ・デエシジャ牧場。

闘牛士

エンリケ・ポンセ 挨拶とそれに対する抗議の口笛(アビソ)、沈黙。

サルバドール・ベガ 沈黙(アビソ)、挨拶。

アルバロ・フスト=コンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ 沈黙、沈黙。

 晴れ。強い風が吹いて日が暮れると涼しい。1頭目、3頭目、4頭目、5頭目、6頭目、ハビエル・ペレス・タベルネロ牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、アタナシオ・フェルナンデス牧場)。2頭目、ホセ・ルイス・ペレダ牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、クロティルデ・ロペス・ドミンゲス牧場)。ソブレロ、ラ・デエシジャ牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、ファン・ペドロ・ドメク、カルロス・ヌニェス、トレストレジャ牧場)。闘牛士、エンリケ・ポンセ、サルバドール・ベガ、アルバロ・フスト=コンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。満員の入り。ソルのテンディド5にて観戦する。

 今日はアルバロ・フストのコンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。よって1頭目と6頭目の牛を相手にする。彼は残念ながら実力も技術も足りない。

 エンリケ・ポンセは、初めの牛で観客を沸かせた。牛はマンソでコンプリカドだった。頭が高い牛にピカドールは、ピカを後ろにしか入れず肩からあばら骨辺りまで血が流れている。3回やっても未だピカを刺した。4回目にようやく肩の前に入って牛の首が下がるようになった。4回もピカを刺すなんてどういう事だ。レグラメントには3回と書いてあるのに・・・。ここまでも長かった。ピカドールがほぼ3/4周アレナを廻った。それでもバンデリージャの時は、首を上に振ったのでバンデリジェーロはやりにくかった。

 難しい牛をどうするか。それが問題になる。膝を折ったデレチャッソを繋ぎ牛の動きを確認した。風が強いのでテンディド10と1の辺りに牛を持っていった。また膝を折ったデレチャッソ2回、それから立って2回長いパセを繋がるとオーレがなった。それから4回パセを繋いでパセ・デ・ペチョで、拍手がなる。デレチャッソを4回リガールすると長いパセが繋がったが、2回目が角にはらわれた。パセ・デ・ペチョで喝采がなる。この辺から口笛も鳴る。離れトゥリンチェラ、デレチャッソからクルサードしているつもりから3回パセを繋ぐ。また角にはらわれた。そのあと2回パセをすると牛は逃げる。もうパセが繋げないので剣を代えた。

 膝を折ったアジュダード・ポル・バッホ2回。風が吹く。ナトゥラルが高い。肩より上にムレタがある。スエルテ・コントラリアでカイーダのテンディダ。剣が抜け次がピンチャッソ。そのあとテンディダで剣が入ると抗議の手拍子がなった。アビソのあと牛が座った。牛には口笛が吹かれポンセには喝采がなりアレナに出て来ると抗議の口笛が鳴った。挨拶。ポンセは何処が悪いか自分で考えた方が良い。クルサードが浅いとか、ピコだとか、腰が動いているとか、体の重心がパセの時に牛と反対の方向に逃げるように移動している。これだけ牛を動かせるのは凄いが、これだけ、誤魔化しのパセを続ければラス・ベンタス闘牛場の目の肥えたファンは見抜いてしまう。

 サルバドール・ベガも2頭目で挨拶をした。しかし、僕のはこのソブレロは耳が取れる牛のように思えた。ファエナで観客を沸かせたが、パセのあとドタバタしている。ムレタの振り方など工夫すればもっと良いファエナになっていた。それと左角が悪かった。だからといって右角のパセももっと良いパセを引き出せたはずだ。

 多分、今日1番問題になるのは、ポンセのファエナだろう。あれが良いというのが僕には判らない。観客の多くがオーレの声を出し、喝采を送った。牛の扱い方は上手い。それは分かる。が、誤魔化しのパセにどうして観客が喝采を送るのかが判らないのだ。パセを繋げば、多くの観客が凄いと思う。でもそれじゃ、セビージャを始め他の闘牛場と同じじゃないか。あのファエナをグラン・ファエナというなら本当の闘牛ファンとしては失格だ。

 何がどうダメなのかと言うことを、ちゃんと説明しなければならない。ポンセに対する批判は、テンディド7がファエナ中からやっていた。ああいう風に闘牛場で感情表現をすることも時に大事だ。ダメな物をダメとハッキリという勇気を持たなければならない。勿論それは偏見や誤解を言うのではなく、ちゃんとした基準を持って、観たことを正しく判断することが大事なのだ。ただ感情的になっていっても仕様がない。正しい判断基準をを持っていなければ、それを批判するのは、無責任なヤジを同じになるからだ。


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