偉大な騎馬闘牛士パブロ・エルモソ・デ・メンドーサがプエルタ・グランデ!アルバロ・モンテス耳1枚。

2006年5月19日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場のサン・イシドロ10日目(25回目)開催の結果。

19時開始、21時07分頃終了。パブロ・エルモソ・デ・メンドーサのプエルタ・グランデ21時15分頃。

プレシデンテ、マヌエル・ムニョス・インファンテ。今年10回目のノー・アイ・ビジェテで、観客は満員。

牧場

フェルミン・ボオルケス
   
   騎馬闘牛の牛については未記入とする。


騎馬闘牛士

ジョアオ・モウラ 沈黙、口笛(アビソ)。

パブロ・エルモソ・デ・メンドーサ 耳1枚、耳1枚と強いもう1枚要求でプレシデンテに抗議の口笛と罵声。

アルバロ・モンテス 挨拶、耳1枚。

 追記:6頭目アルバロ・モンテスの“マエストロ”というなの馬が、コヒーダされて左トモに30cmの角傷(傷は2個所)を
     受ける。可能性として重傷ではない。

 晴れ。強い風が吹いて日が暮れると涼しい。フェルミン・ボオルケス牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、ムルベ牧場)。騎馬闘牛士、ジョアオ・モウラ、パブロ・エルモソ・デ・メンドーサ、アルバロ・モンテス。満員の入り。ソルのテンディド5にて観戦する。

 ジョアオ・モウラは、去年まで何度も観ている。あまり良いところを観たことがない。それでもポルトガル産良い馬を持っているのだろう。今日は、お金を出して損がない技術を見せていた。今まではレホンやバンデリージャを打ったあと、牛に馬を追わせる場面でも面白いとは思わなかったが、メンドーサの様に可憐ではないが充分見せ場があった。それでもやっぱり思うのは、全て馬を牛の左側に走らせて右手に持ったレホンやバンデリージャを右側で打っている。それで、キエブロやビオリンをやるわけではないので飽きる。残念だが息子の方に才能を感じる。

 パブロ・エルモソ・デ・メンドーサは偉大な騎馬闘牛士だ。現在のNO1だ。おそらく歴代の中でもこれほどの手綱捌きを出来る人はいなかったと思う。そして今日も見事だった。いつものように始まる前にアレナの中で馬を走らせて、テンディド7辺りに馬を止めて、首を叩き右耳、左耳を触って馬を落ち着かせる。馬は、メンドーサの思うように動く。牛に馬を追わせる。馬の頭はタブラを向いている。だから、危なくなって馬が逃げようとしてもそのまま真っ直ぐ走ればタブラに当たる。そういう危険な状況を作り出しているにもかかわらず、尻を振ったり体の上手く使ってゆっくりタブラの周りを廻るが、角に突かれることは殆どない。それは微妙に牛にフェイントをかけているからだ。そのまま追わせて、今来た方にまたフェイントをかけて牛を交わすと、観客は興奮して喝采を送る。これは感動的だ。こう言うことが出来る馬をメンドーサは2頭持っている。チャネルと、シルベティ。シルベティもそうだが、引退した名馬カガンチョも球節から下の繋ぎが非常に柔らかく、あのトウカイテイオーの様だ。本当に素晴らしい馬だし、惚れ惚れする。それと、サルマタまたはサマンタという馬も素晴らし かった。

 それからさらに凄いのが、カンポ・グランデという馬。この馬は、牛の正面を向いて牛を攻撃するように、ちょっかいを出して挑発し、それで正面を向いて牛の攻撃を交わす。こんな馬は観たことがない。観客は立ち上がって喝采を送る。当然だ。まるで馬自身がメンドーサに乗られて牛に向かうことが楽しくて仕方がないような感じだ。その他にも、前脚を曲げておいでおいでをして牛を誘い、少し動いて牛を待ち、キエブロをして牛を交わしバンデリージャを打ったり本当にワクワクする時間が楽しい。騎馬闘牛を観る機会があったら、是非観て欲しい。1頭目はピンチャッソ1回のあと剣が決まった。2頭目はカイーダだったが2枚目の耳を観客は強く要求した。あとでプレシデンテは、レホンが後ろに刺さっていたから2枚目を出さなかったと言った。剣を刺したあと、馬から下りたが、その馬が牛に突かれた。幸いコルナーダはなかったが危なかった。文句なしのプエルタ・グランデ。

 アルバロ・モンテスは、若さという勢いでやっている。彼は2回ともポルタガジョーラをし、牧場で牛を追うときに使う棒を持って始める。馬にジャンプさせて牛に向かったり、バンデリージャを打ったあと、追ってくる牛の前で馬を1回転させたり、ビオリンをしたり派手だ。でも、最後の牛の時に、牛に追わせていたときに、馬をコヒーダされた。馬は左トモを角に刺されて血が噴き出した。馬乗りであるならもっと馬を大事にして欲しいと思う。派手にやって観客を盛り上げて耳1枚。それはそれで面白いけど、もっと技術を磨いて欲しいと思う。

 パブロ・エルモソ・デ・メンドーサは素晴らしい!プログラムによれば、彼は17回目の出場で、21枚目の耳を切った。プエルタ・グランデはこれで5回目である。素晴らしい数字だ。しかし考えてみれば、セサル・リンコンが騎馬闘牛ではなく、闘牛で6回プエルタ・グランデをしていると数字がどれだけ凄いことなのか改めて思い知る。ともあれ、パブロ・エルモソ・デ・メンドーサは、偉大な騎馬闘牛士だ。


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