マドリードの守護聖人サン・イシドロの日。フィニートとフリとペレラと、失望の午後。

2006年5月15日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場のサン・イシドロ6日目(21回目)開催の結果。

19時開始、20時40分頃終了。

プレシデンテ、マヌエル・ムニョス・インファンテ。今年7回目のノー・アイ・ビジェテで、観客は満員。

牧場

フエンテ・インブロ
   全体的に、頭の高い牛が多かった。
   1頭目、膝を着き、ブルラデロを超えようとした。2頭目は、頭が高く膝を着いた。
   3頭目は、左角がブスカンドする危ない牛。4頭目、パセの時に首を横に振り右角が短かった。
   5頭目は、頭が高くブスカンドした。6頭目は、良い牛。ブスカンドした。


闘牛士

フィニート・デ・コルドバ 口笛、罵声。

エル・フリ 沈黙、口笛。

ミゲル・アンヘル・ペレラ 拍手、沈黙。

 追記:ミゲル・アンヘル・ペレラが3頭目の牛の時に、コヒーダされ医務室へ行った。

 晴れのちくもり。初めは暑かった。少し風があった。フエンテ・インブロ牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、ハンディージャ牧場)。闘牛士、フィニート・デ・コルドバ、エル・フリ、ミゲル・アンヘル・ペレラ。ファン・カルロス国王が、テンディド9のバレラにて観戦。3人の闘牛士は、初めの牛を国王に捧げた。満員の入り。ソルのテンディド5にて観戦する。

 フィニート・デ・コルドバは、罵声を浴びて当然だ。パセすれば腰が揺れる。足が引けている。クルサードが足りない。これが1頭目。2頭目は、右角が短かった。デレチャッソでパセをしたらブスカンドした。そんなのカポーテの時から判っていること。直ぐにムレタを左右に振って剣を代えた。良い方の左角でパセをすることなく。口笛が吹かれる。当然だ。「ペタルド」(ペテン、詐欺)と声を合わせて叫ばれていた。最もフィニートからすれば初めからやる気がなかったのかも知れないが。

 エル・フリは、フィニートより未だマシだが、それでも非道い!2頭目の牛はブスカンドする危ない牛。それでもナトゥラルは繋げた。がパセをすれば牛にムレタを何度もはらわれていた。牛の頭が高いのは判るけど、何か工夫した?レマテのあと、何故牛から距離を取らないの?5mくらいの所でファエナを続ける。これって2流闘牛士がすることじゃない。それに今日は剣が非道かった。あれだけピンチャッソを繰り返すのも珍しい。

 ミゲル・アンヘル・ペレラは初めの牛でコヒーダされた。それは短い方の左角でナトゥラルを初めて直ぐだった。危ないのは判っていたはず。これは良い。でも最後の牛はでは、ガッカリした。頭が高かったがカポーテを出すとちゃんと付いてきた。良い牛の条件を持っていた。しかし、初めのベロニカがタブラに近すぎてパセのあと、牛がタブラに当たっていた。それも2回も。あれじゃ牛が、パセのあと何かにぶつかると思ってしまう。どうしてこんなへまをやったのか。怪我の影響で怖くなって、タブラから離れられなくなっていたんだろうか?そんなパセをして牛が良くなるはずがない。ムレタで牛がブスカンドしたのって君が悪いんじゃないの?兎に角、その姿に失望した。唯一、良かったことは剣刺し。これは良いところに2回とも入った。グラン・エストカーダと言っていいだろう剣だった。

 ここ何年が非常に良い牛を出し続けていたフエンテ・インブロ牧場の牛は、今日は良い牛ではなかった。難しかった。しかし闘牛士たちは無様だった。フィニートは良い。やる気がないのだから。でも、フリがあんなに距離の取り方が判っていないとは・・・。今までの闘牛って何をやってきたわけ!ペレラは、タブラに向かってカポーテを振ったときに、失望した。こんな闘牛士を応援していたのかと、体の力が抜ける思いだった。今日はマドリード守護聖人サン・イシドロの日。その名前を取ったファリアなのに、さぞ、サン・イシドロもファン・カルロス国王もガッカリしたことだろう。


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