アベジャン、サルバドール・コルテスが挨拶。アントンとプレシデンテは、カブロン!

2006年5月10日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場のサン・イシドロ初日(16回目)開催の結果。

19時開始、21時15分終了。20時48分照明点灯。

プレシデンテ、トゥリニダ・ロペス・パストル。今年2回目のノー・アイ・ビジェテで、観客は満員。

牧場

マルテリジャ
   全体的に、あまり良くない。ムレタやカポーテに着いている来るが力強さが足りない。
   1頭目は左角が短く何度も膝を着いた。2頭目は何度も膝を着く牛で交換。
   替わりは4頭目に用意していた牛。普通。3頭目は良い牛。
   4頭目は頭が高く太かったし膝を着くは倒れるはで最悪。インバリド。
   5頭目は左角が短かった。6頭目は遠い距離から来る右角が良い牛。

  ソブレロ:アルシ牧場(4頭目)。

闘牛士

ミゲル・アベジャン 挨拶、牛と、牛を代えなかったプレシデンテに罵声。

アントン・コルテス 沈黙(アビソ)、沈黙。

サルバドール・コルテス=コンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ 沈黙(アビソ)、挨拶(アビソ)。

 追記:5頭目のバンデリージャ打ちで、アントン・コルテスのバンデリジェーロのバレンティン・アレナスが
コヒーダされた。

 暑い。日が暮れると寒くなる。マルテリジャ牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、マルケス・デ・ドメク牧場。闘牛士、ミゲル・アベジャン、アントン・コルテス、サルバドール・コルテス=コンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。満員の入り。ソルのテンディド5にてTさんと一緒に観戦する。開始19時、21時15分頃終了。

 今日は、サルバドール・コルテスのコンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。よって1頭目と6頭目の牛を相手にする。去年セビージャのフェリアで耳2枚取り、今年のセビージャでは耳4枚取ってプエルタ・デル・プリンシペをしてグラン・トゥリンファドールになった。その勢いに乗ってサン・イシドロにやってきたのだ。その自信からか落ち着きがあった。初めの牛は何度も膝を着く牛だった。だから手は、メディア・アルトゥーラの高さでパセを繋いだ。また、右角が長く、左角が短い牛だったのでデレチャッソを続けていた。ファエナ後半になってようやくナトゥラルをするという具合に、構成まで考えている。それと何よりもコロカシオン(立ち位置)が良い。牛を誘う前に、すでにクルサードしている位置に立っている。それからさらにクルサードしてから牛を誘うので牛が動く。初めの剣は、1/2入った。アビソが鳴り、デスカベジョ3回。

 最後の牛は、出てきて真っ直ぐ走っていった。良い出方だ。ブルタデロ前で止まる。ベロニカを繋ぐと左角が通るときに体の近くを通って危なかった。彼は直ぐに修正して、右角でパセをするときは足を開き、左角パセの時は足を閉じてベロニカを繋いだ。非常に物が見えているし、考えている。それを闘牛に表現できているのが素晴らしい!ピカは右前に2回入った。バンデリージャが打ち終わって、ブリンディースするとき、バンデリジェーロがカポーテを振って牛を誘うと遠くから動いた。それもちゃんと観ていてファエナに生かした。

 アレナ中央で、牛を観客に捧げようとしたら、牛が動いて向かっていった。サルバドール・コルテスは、冷静に左手に持ってムレタを出して牛を誘いパセ・デ・ペチョのようなパセをして牛を交わした。右角が良いことを判っているから右角のパセを通したのだ。それから牛を観客へ捧げた。アレナ中央部で40mくらいある距離から牛を誘うと牛が動き出した。長いデレチャッソ素晴らしい。それから距離を取り、遠くから牛を呼んだ。デレチャッソを2回繋ぎクルサードしてし直してから3回パセを繋ぐとオーレがなった。パセ・デ・ペチョで喝采がなる。面白くなってきた。

 距離を取りまた遠くから牛を呼んでデレチャッソを3回繋ぐとオーレがなりパセ・デ・ペチョ。喝采がなる。離れデレチャッソを4回繋ぐとオーレがなる。それからようやくナトゥラルを始めた。やはりこっちだとパセが短くなる。デレチャッソで牛が止まり、クルサードして3回パセを繋いでパセ・デ・ペチョ。後半のファエナが盛り上がらなかった。剣を代え、牛の動きをムレタを振って確認してベルナディーナ。体の近くを通って危なかったが3回繋ぎトゥリンチェラ、パセ・デ・ペチョで拍手が沸く。スエルテ・ナトゥラルで1回剣が骨に当たったが、角度が変わりほぼ直角に剣が刺さった。アビソが鳴る。デスカベジョ1回で挨拶。セビージャなら耳が出ていただろうが、ラス・ベンタスでは耳要求もなかった。残念!

 ミゲル・アベジャンはやる気満々。ポルタガジョーラからラルガ・カンビアール2回。ベロニカを繋ぐとオーレがなった。しかし、ピカが左前に2回入ると牛は膝を着いたり倒れたり。牛交換になる。マジョアルのフロリートはいつもながら良い仕事する。換わりに出てきたのは4頭目に用意していた牛が登場。また、ポルタガジョーラ。ベロニカを繋ぐとオーレがなった。メディア・ベロニカ、ラルガを決めると喝采がなった。ピカは右前に2回入った。キーテは、体の近くを通すチクエリナ3回とセルピエンティーナからラルガ。拍手がなる。アントン・コルテスのキーテは、テンプラールなベロニカ3回でメディア・ベロニカ。拍手。

 バンデリージャを打ち終わったあと、ファエナは、膝を折ったデレチャッソからパセ・デ・ペチョ。離れ長いデレチャッソが3回繋がるとビエンの声がなる。パセ・デ・ペチョで拍手。只、デレチャッソでもナトゥラルでも長いパセを通したりしているが牛に力強さが足りないので、クルサードしてパセを繋いでも良いパセがなかなか続かない。残念なファエナだった。剣刺しで牛が倒れたあと、挨拶。

 2頭目の牛は、よたよたして走るのもやっと。インバリドなのだ。観客が牛を交換するように再三要求しているにもかかわらずプレシデンテは牛を交換しなかった。アレナ中央に立って牛を呼ぶと遠くから反応する。が、走ったと思ったら止まり。動き出したと思ったら膝を着く。未だパセをやっていないのに。立ってまた動いたと思ったらまた膝を着く。凄いブーイングと口笛。また立って動いてようやくパセをしたと思ったらパセ・デ・ペチョで倒れて動かなくなった。凄い口笛が鳴る。そして、「カブローネ」のコールまで起こった。この牛でどうせいって言うの?プレシデンテは、馬鹿だ!なかなか起きなかった牛を立たせて直ぐに剣刺し。当然です。悪いのは全て、牛を代えなかったプレシデンテ!アベジャンのやる気はこういう形で砕け散った。あー儚い!アベジャンのサン・イシドロはこれで終わったのだから。

 アントン・コルテス。君はもう出てこなくて良い!初めの牛は、今日1番良い牛。耳の取れる牛だった。それなのに何あれは。クルサードする前にはムレタを出して牛を誘うし、パセすれば、腰は揺れる。何をやりたいわけ?そういうパセでも繋いでいれば耳が出るのは、田舎の闘牛場。ここは、ラス・ベンタス闘牛場。しかも、サン・イシドロの祭りの最中なのだ。お呼びじゃないよ。2004年に1回だけグラン・ファエナをした過去の栄光は、もう微塵も感じない。観ていて、もう良いよと溜息が何回出たことか・・・。さっさと殺せと思ってみていても、剣が刺さらない。何回ピンチャッソやったの?剣が決まったと思ったら、カイーダでテンディダが2回。牛が倒れず、デスカベジョ3回。最後まで疲れされてくれる。まさか、これって君流のサービス精神じゃないよね。

 アベジャンからやる気を取ったら何が残る?やる気満々でやっていたが、ダメ牛を交換しないプレシデンテは最悪。アントンも同じくらい最悪。カブロンだ!同じコルテスでも、サルバドール・コルテスは、闘牛のやり方が素晴らしかった。コロカシオンは良いし、角の善し悪しが分かり、なおかつ、直ぐにそれを闘牛技に表現できる。ムレタの振り方がどうのと言う話もする人がいるが、それはより上級な話。そこまで言わない。でも、素直に良い物を持っていると感じられた。可能性を感じたのだ。次回が楽しみだ。


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