大荒れの騎馬闘牛!馬がコヒーダされて腹から内蔵が出ていた!馬はその後死亡!マルティン・ブルゴス耳1枚。

2006年6月10日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場の75周年記念ミニフェリア5日目(46回目)開催の結果。

19時開始、21時07分頃終了。

プレシデンテ、セサル・ゴメス・ロドリゲス。観客はほぼ満員。


サンチェス・コバレダ牧場
   全体的に、。
   1頭目、。2頭目、。3頭目は、。
   4頭目は、。5頭目、。6頭目は、。


騎馬闘牛士

フェルミン・ボオルケス 沈黙、沈黙。

マルティン・ブルゴス 耳1枚とそれに対する抗議、拍手。

モウラ・カエタノのコンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ 沈黙、拍手。

 追記:5頭目の牛の時、マルティン・ブルゴスの“イラク”を言う白い馬がコヒーダされて重傷を負う。腹から内蔵が出ていた。
    その後の情報で、馬は死亡した。

 曇り時々晴れ。日が暮れても暑い。サンチェス・コバレダ牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、ベガ、ビジャル牧場)。騎馬闘牛士、フェルミン・ボオルケス、マルティン・ブルゴス、モウラ・カエタノのコンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。観客は満員の入り。ソルのテンディド5にて観戦する。今日、プエルタ・グランデ前で闘牛反対を唱える目立ちたがり屋の集団がいて初めから気分が悪かった。ああいう奴らは肉だけじゃなく野菜も食べなきゃ良いのだ。

 フェルミン・ボオルケスは、昔と変わらない。レホンやバンデリージャを打つときは必ず馬を左に走らせながらしか撃たない。キエブロもビオリンもならない。牛に馬も尻を追わせて喝采を浴びることもない。もうガナデロに専念した方が良いと思う。

 マルティン・ブルゴスは、今日の中では1番上手かった。見せ場がいくつかある。キエブロとビオリン。1頭目の牛では、観客を熱狂させて耳2枚のファエナをしたが剣が悪かった。それでも牛が倒れた。剣は手に持ったままだったので、急に方向を変えて転んだか、ないしピンチャッソした場所が背骨で神経を切断して倒れたかのどちらかだろう。

 そして、馬がコヒーダされた2頭目。2頭目の馬に代えてキエブロを決めて喝采を受ける。その次のキエブロの時に、コヒーダされた馬が倒れ、マルティン・ブルゴスは逃げた。倒れた馬に牛の角が入った。傷は2個所と書いているが、1個所しか僕は確認していない。左前脚から2,30cmくらい後ろの下腹にコルナーダを受け角で穴が開いた所からは、内蔵が出ていた。おそらく腸だろう。バンデリジェーロたちが馬から牛を離そうとしていたがなかなか離れず、動かない馬の背中の方から牛が突いたら、死んだと思っていた馬が立ち上がって走り出した。あれっ、大丈夫かなぁと思ってみていたら、上記のように内蔵が出ていたのだ。

 それを隠すために、カポーテが胴回りに巻かれた。アレナの馬の周りには10人くらいの人がいた。鞍がはずされ、カジェホンの中へ入れようとしたが、馬が嫌がっていた。多分厩務員の女性2人が、1人は手綱を引き、1人が馬の尻を押したり尻尾を引っ張っていた。僕は感心したのは、こういう状況の中で馬は、自分の体の後ろにいる人を蹴るそぶりすらしなかったことと、その女性が後ろ脚の蹴りをまともに受ける位置にいるにもかかわらず、全く怖がっていなかったことだ。これが馬と人間の信頼関係が普段から強く築かれているのだなぁと、思った。

 それでも、カジェホンの中を10mも行かないうちに、馬が動かなくなった。もう首が下がり前脚の踏ん張りが利かないような感じだった。客席から2,3人の人がカジェホンに中に下りた。おそらく、馬に関わる仕事や生活をしている人なのだろう。前脚の周辺を持ち上げるようにして、パティオ・デ・クアドリージャの方へ連れて行った。だから、2頭目のファエナは殆ど観ていなかったし、馬がいなくなっても集中して観ることが出来なかった。

 モウラ・カエタノのコンフィルマシオン・デ・アルテルナティーバ。よって1頭目と6頭目の牛を相手にする。こいつは、あまり上手じゃない。こんな手綱捌きじゃ金は稼げない。

 今日は何か嫌な予感がしていた。観に行きたくなかった。その嫌な予感は、馬のコヒーダという形で現れるとは・・・。僕は思う。馬乗りである以上、馬を大切にしなければならない。騎馬闘牛の場合は、犠牲になるのは殆どの場合、馬なのだ。馬を牛に預ければ自分は助かるのだ。騎馬闘牛士が怪我を負うときは、殆どの場合、落馬だ。

 今日の場合、僕が感じたままを言えば、騎乗者であるマルティン・ブルゴスが、迷ったように思えた。あるいは、ハッキリした指示を馬に出さなかったから事故が起きたのだと思う。あの馬は、彼の馬の中でも1番良い馬だったのかもしれない。そういう馬を失うリスクをいつも抱えていることを忘れてはならない。彼は、1頭目のファエナで良い気になったわけではないだろうが、重大な、そして取り返しの付かない失敗をしてしまった。6頭目の牛のファエナを観ながら泣いているようだった。これから、気の緩んだような手綱捌きは間違ってもしないことだ。

 前に老夫婦が座っていた。爺さんに方が、腹から出た内蔵を観た後、立ち上がって後ろを見てもう帰ろうかという仕草をしていた。僕も初めて見たが、あまり良い物じゃない。もしあれが、人間だったらゾッとする。事故は注意していても起こるモノ。だからこそ馬にはちゃんした指示を出さなければならないだろう。マルティン・ブルゴスもガッカリしただろうが、観客もガッカリしたはずだ。闘牛が終わったあと、僕の周りで珍しく喧嘩があった。サッカー・ファンじゃあるまいし喧嘩何かするなよ。警官に取り押さえられて退場した。今日は最後まで気分が悪かった。


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