とにかく理屈抜きに素晴らしかった、初めての闘牛観戦

2001年3月17日バレンシアの火祭り

por 岡田貴志

 闘牛を観戦するきっかけはきわめて単純なものでした。”スペイン=闘牛”スペイン観光のついでに と最初はそんな程度でしか考えていませんでしたが、実際に観戦してみてその素晴らしさに理屈ぬきで感動しました。

 先にも述べたように、きっかけは3月(中旬)のバルセロナ観光でした。観光ついでに闘牛を と調べてみると、この時期バルセロナでは闘牛はやっておらずいきなりつまずき、、しかしインターネットでこのHPの存在を知り、3月はマドリッドとヴァレンシアならやっている事が判明しました。

 それならばマドリッドで闘牛を と急遽スケジュールを調整してみましたが、今度は航空機のチケットが取れずアウト、友人達には諦めムードが漂っていましたが、わたしはどうしても諦めきれずヴァレンシアならかなり強行だが日帰りで行けるという結論に達し、友人達を半ば強引に説得、闘牛観戦をむりやり企画しました。

 またこの時期のヴァレンシアは火祭りの真っ最中で、チケット入手が困難ということもあり確実に入手できるかどうか?

 その辺に関してはHPの作者である斎藤さんにいろいろとアドバイスをしてもらいました。
チケットはダフ屋と交渉して入手することになるだろうとの事で、いろいろと交渉の為のアドバイスしてもらい大変助かりました。

 たまたまだったのですが、その日の闘牛には人気絶頂の”エル・フリ”が登場するとのこと 今考えてもとても幸運だったと思います。(他にマヌエル・カバジェーロ、エル・カリファと一流闘牛士のカルテルだそうです。)

 さて闘牛観戦当日ですが、バルセロナから電車でヴァレンシアに到着したのがお昼頃、駅の改札口を抜けると闘牛場は駅のすぐ隣にあります。

 お祭りということで、町は大変賑わっていました。闘牛場脇のチケット販売所に行ってみると(その間ダフ屋がしつこいです)やはりと言うかすでにチケットは売り切れの模様、料金を確かめていざダフ屋と交渉となりました。

 最初のダフ屋は、日程が明日の分なので早くもパス。次のダフ屋はSOLのTENDIDO席しかも4席分通しで有ると言うので一応値段を聞いてみると、1枚3,400Ptsの席ですが16,000Ptsと強気に吹っかけてきました。

 それは無理と渋ったところいきなり4枚で24,000Ptsでいいと値段を提示しました。こちらもとりあえず4枚20,000Ptsでどうだ?と提示をしてみたら、向こうも負けじと22,000Ptsでどうだ?と提示してきます。(なかなかしぶとい(^^;) 大体の相場がわかったので他のダフ屋を当たろうかと思っていた矢先、むこうも折れたようで4枚で20,000Ptsでいいとのこと、4枚通しも魅力的だったので売買成立となりました。

 肝心の席ですが、TENDIDO席となっていましたが、席に行ってみると明らかに2階席(Grada)でした。しかしながら2階席でも一番前の席だったので前に手摺があり、大変見通しが良かったです。(アレーナはちょっと遠かったです)

 開演間際には、闘牛場は満員御礼。早めにヴァレンシアに到着したことが功を奏したようです。ギリギリに行ったらチケットがあったかどうか?と今でも思います。

 闘牛場の時計台が17時を指したと同時に闘牛が始まりました。闘牛士達の行進の後にいよいよ牛の登場です。

 牛の登場には大変驚かされました。想像するのとは大違いで、ものすごい迫力です。(冷静に考えて500kg以上の猛牛相手に闘う闘牛士ってすごいです)しかししばらく見ていると牛はやる気を無くしています。やっぱりの牛の交代でした。最初の闘牛でいきなり牛の交代なんて。。

 それでも見る価値はありました。闘牛場に数頭おとなしい牛を放し(牛の闘争心が無くなるようです)、しばらくするといっしょに退場して行きました。あののんびりした様子はなんとも滑稽でした。その後登場した牛は明らかにやる気十分。これからが本当の闘牛の始まりでした。

 しかし今でも思うのですが本当に最初の人はマヌエル・カバジェーロだったのでしょうか?と言うのは初めて闘牛を見た私が見ても明らかにヘタくそ(?)カポーテでもムレタ技でも牛から随分離れての安全な闘牛。場内からも「オーレッ」の掛け声が掛かるはずも無く。しかも最後のエストカーダも全然決まらずじまい。彼の2頭目の闘牛など最悪でエストカーダを3回失敗した上に、何度も何度も突き直しようやく牛が倒れる始末。当然拍手などありませんでした。

 2人目のエル・カリファの闘牛は熱かったです。これが闘牛だ!と思わせるくらい熱かったです。彼がムレタで牛をパセすると場内中「オーレッ」の歓声。それもそのはずホントにギリギリなんですよね、牛と闘牛士との距離が。。時より牛の角が彼の胸元スレスレを通って何度も何度も危険な場面もあり、それがまた人々の感動を呼ぶ。思わず私も観客に混じって「オーレッ」。最後のエストカーダも決まると拍手喝さいで一斉に白いハンカチの華。私もハンカチを振りました。もちろん耳を取ったのは言うまでも有りません。

 最後のエル・フリの闘牛ですが、素人の私が言うのはなんですが”天才”の一言でした。彼の闘牛には観客を魅了する”華”がありますね。カッコイイです。彼のカポーテ技は、もう他の2人と次元が違う(素人目ですが)。。。バンデリージャも自分で打ち、ムレタ技も最高。最後のエストカーダも2頭とも1発で決め一斉に白いハンカチの華・・・。 彼の写真を沢山収めよう思っていましたが、夢中でほとんど撮らずじまい。。終わった後にしまったと思いました。

 初めての闘牛観戦でしたが、驚き&感動することばかりでした。。牛の交代(滑稽でした)、ピカドールの槍突きの迫力(馬がひっくり反されるんじゃないかと思うくらい牛はパワフルです)、闘牛士と牛との戦い(闘牛士と牛との距離がギリギリなるには驚きました)、そして牛の死(かなり衝撃的です)悪い闘牛も見れたし、熱い闘牛も見れたし、”天才”の闘牛も見れた。本当に素晴らしかったです。

 また今回感じた事ですが、何も知らずに闘牛を観戦するのも感動するかとは思いますが、事前に情報なり勉強していくとよりいっそう楽しめるのかな?と思いました。(とりあえず白いハンカチを持っていきましょう)友人達も諦めていた時とは打って変って、観戦して本当に良かったと言っていました。(感謝しろよ!)

 最終列車の時間がそろそろなので、最後の闘牛が見終わるとすぐに闘牛場を後にしました。が闘牛場の外は人・人・人で進めずじまい。列車の時間も近づいているしどうしたものかと考えてると、それもそのはず丁度プエルタ・グランデでエル・フリとエル・カリファが肩車で退場して来たところでした。彼らは私の目の前1〜2m先を肩車のまま通りすぎて行きます。「エル・フリ〜」1回闘牛を見ただけなのに。。。思わず大声で叫んでしまいました(^^;最後に彼らを間近で見ることもできホントに幸運だったと思います。

 

 ネットでHPへアクセスして闘牛について質問。僕の持っている情報を提供したら、ありがたいことに観戦記を送って下さった。文章を読んでいるとHPが上手いこと活用されていることに気づく。

 初めてみたのだから、マヌエル・カバジェーロの良さは分からなかった様ですが、多分良い闘牛が観れるだろうと思って薦めた日に闘牛を観て、しかもこちらの思惑通り良い闘牛が観れたのだから、僕も嬉しい。去年のサン・イシドロで活躍したエル・カリファ、人気絶頂のエル・フリのプエルタ・グランデを観れたのだから羨ましい。

 いつも思うが、自分自身も良い闘牛が観たいと思っているし、スペインにわざわざ行って闘牛観るのだから他の人も是非良い闘牛を観て、闘牛ファンになって欲しい。そのためには良い闘牛士や牛が出る日を選んでいかなければなかなか良い闘牛は観れないでしょう。

 岡田さんは、これからスペインに初めて闘牛を見に行く人の参考になればと観戦記をここに載せることを了承していただいた。

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