99年6月8日、ラス・ベンタス(マドリード)の結果

ミゲル・ロドリゲスが場内一周

por 斎藤祐司

 牛、ドロレス・アギレ。闘牛士、エル・フンディ、ミゲル・ロドリゲス、ルイス・ミゲル・エンカボ。

 曇り空で風が吹いている。肌寒い。今日はくしくもマドリード闘牛学校卒業生3人。いずれもバンデリージャを撃つ闘牛士の競演となった。

 エル・フンディは、風が強く吹いている中でやった。牛の前に立ってムレタを振るときになると風が吹く。また、齲歯の良くなかった。初めの牛は止まらない。パセのしようがなかった。剣もバホナソ。4頭目の牛は動かない。ナトゥラルは何とか繋げるが右手のパセは、体の方に来るので出来ない。彼にとって今日は難しい日だった。

 ミゲル・ロドリゲスは、昨日に続いて主役になった。初めの牛でトリルの前に行って、ラルガ・カンビアールをやった。ベロニカを繋ぐと「オーレ」がなった。馬の前に牛を連れて行くときも見事なパセを繋いで観客を喜ばせた。エンカボのキーテはパセの後頭の上で回すファロールを繋ぎラルガで締めて喝采を受けた。バンデリージャはフンディ、ミゲル、エンカボの3人が交互に撃って観客を沸かせた。フンディだけが角の間で撃っていないトロ・パサードだった。3人は喝采に応えて挨拶をした。

 ムレタは、アジュダード・ポル・アルトから始め観客の気持ちを引きつけた。右手のパセは手が低く繋いだ。ナトゥラルはクルサードしてやっていたが今ひとつ綺麗に決まらなかった。右手のパセがもう少しゆっくりとしたテンプラールの手の低いパセになっていたらもっと盛り上がっただろう。剣はスエルテ・ナトゥラルでいい場所にきっちりと刺さった。凄く良い剣だった。牛が倒れると観客は耳を要求したがプレシデンテは耳を出さなかった。

 残念だが耳には少しだけ足りなかった様な気がする。場内一周。ミゲル、後少し、ホンの少しだけ足りなかった。でも良いファエナだった。去年は剣が刺されなくて耳が取れず、今年は良いパセが少しだけ足りなくて耳にならなかった。

 ルイス・ミゲル・エンカボは、初めの牛は非常に危ない牛だった。飛ぶしパセの後にすぐ振り向く、パセの時の体の方に向かってくる。ちゃんとパセが出来なくて当たり前。最後の牛ではベロニカを繋ぐと「オーレ」がなった。良いベロニカ、メディア・ベロニカ、ラルガ、当然観客は沸く。

 バンデリージャは、自分で撃った。エンカボは上手い。トロ・パサードにはほとんどならない。フンディとはそこから違う。ファエナは、ロディージャ(両膝を着いたパセ)から始めた。両足を牛に平行に揃えて誘う。良い形で牛を誘う。右手のパセは上手く繋がらない。ナトゥラルは角にはらわれる。良い形で始まったファエナだったが牛が動かなくなって終わった。エンカボ、何かが足りない。

 良いものを持っているのになかなかそれを出し切れていない。若いと思っていたが彼も今年で24歳。十代の頃から見てるのか。今日は牛が悪かった。

 今日は昨日に続いてミゲル・ロドリゲスの日だ。彼は今年で30歳。ラス・ベンタスで惜しいところで耳を切れない。来年こそ耳が見たい。切れるはずだ。


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