2000年5月7日、バルセロナの結果

レベルが違う、ホセ・トマス!復帰戦でプエルタ・グランデ!

por 斎藤祐司

 曇り空のバルセロナ。肌寒い中で行われたが闘牛は熱かった。

 ハンディージャ牧場牛は4頭目まではあまり良くなかったが、5頭目6頭目に良い牛が出た。15分遅刻して闘牛場に着く。理由は食事が遅れたからだ。30分も待たされたから仕方ないか。

 フィニート・デ・コルドバは、牛に恵まれなかった。1頭目は途中から見た。闘牛場が近づいて来たら歓声が聞こえた。着いたらトイレに行ったのだがそこで「オーレ」の声が2回聞こえた。見たときはもう牛が弱っていた。剣刺しが終わったとき観客は拍手していた。

 2頭目は、ピカで肩の骨を支えている腱を損傷してコッホ(破行。ビッコ)になった。ムレタはクルサードせずに牛を誘っていた。牛の動きが悪かったが良いパセを全く出来なかった。剣刺しの時、牛がなかなか止まらなかった。刺しにくい状況でピンチャソ4回。

 ホセ・トマスは、1頭目の牛はダメだった。カポーテでは足を止めたままでベロニカを繋いでラルガが決まると観客は立ち上がって拍手を送った。フリのキーテは膝を着いたチクエリナを繋ぎメディア・ベロニカを決めた。初めから膝を着いていたものではない。牛が来てから膝を着いたもの。バンデリージャを打った後のカポーテのパセの時に牛亜変な動きをした。カポーテを反対の方に動くそぶりをした。ムレタでパセを初めてこれからと言うときに、右前脚を痛めた。パセが出来ないような状態だった。直ぐに剣を替えて刺した。バホナッソ。あそこまでパセをしたのだから仕方ない。

 2頭目は、ハンディージャらしい良い牛だった。綺麗なベロニカを繋いだかとコッホになる。でも大丈夫だろう。牛は観客に捧げられた。アレナ中央で牛を誘って両手のパセから始めた。体に隠すようなパセをすると観客は喝采を送った。もう観客はホセ・トマスのものだった。クルサードして左右の手の低いパセを繋ぐと「オーレ」がこだました。牛が体に触れながら通っていく。緊迫感と心地よいリズムでパセを繋いだ。

 剣を替えて、マノレティーナ。体スレスレを通っていく。角は体から5cmも離れていなかっただろう。「オーレ」はより一層大きな声で叫ばれた。剣は最高のところに良い角度で入った。牛がすぐ倒れた。当然の耳2枚。レベルが違う。怪我からの復帰戦は耳は切れないことの方が多い。でも、ホセトマスには関係なかった。来て良かった。今年も彼はやってくれそうだ。サン・イシドロに出ないのが本当に残念でならない。

 エル・フリは、1頭目の牛はコッホだった。パセをすると直ぐに膝を着く。剣は良いところに良い角度で入った。2頭目は、ラルガ・カンビアールから。カポーテを牛に持って行かれる。タブラに逃げる。牛が追ってきて首を振った。フリはタブラオ越えて難を逃れた。そして、またラルガ・カンビアールをした。ベロニカを繋ぎメディア・ベロニカ。「オーレ」と喝采。ピカの後、ロペシーナ3発。ラルガ。「オーレ」がなり、立ち上がって喝采を送る。

 牛は観客に捧げられた。クルサードして誘う。右手のパセは牛が体の前を通ってから腕を伸ばしすぎる。遠くに手のやりすぎるので形が綺麗じゃない。ナトゥラルは良い。剣はピンチャソ1回。メディアに入った。デスカベジョ3回。場内一周。ちょっと冷めるな。去年の勢いがない。

 とにかくホセ・トマスが見れて良かった。とにかくこの落ち着きは何だろう。アベジャンは気迫が見ている人の血の中に伝わってくる闘牛。ホセ・トマスは、危険な闘牛をしていても落ち着いている。だがこれもまた脳細胞を刺激し続ける闘牛だ。


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