ムイ・バリエンテ、パディージャ!コヒーダの後、観客の制止を振り切り剣刺しをして耳1枚。

2001年5月6日、セビージャ(第1級闘牛場)

 午後の雨がアレナの状態を悪くしていた。19時前にようやく砂を入れ始めていたが闘牛士の要求でさらに砂を入れることになった。非常に滑る状態だ。危険なので止めるべきだと思ったが、19時50分に始まった。

 晴れているレアル・マエストランサ闘牛場。しかし、アレナの状態は最悪に近い。エドゥアルド・ミウラ牧場。闘牛士、ソトルコ、エル・フンディ、ファン・ホセ・パディージャ。

 ソトルコは、1頭目で少し良かった。右手の大きなパセを繋いで観客を沸かせた。しかし、牛が悪い。パソドブレが鳴ったが盛り上がりに欠けた。牛に力がなくマンソだからだ。こんなに牛が非道いんじゃ仕方ない。ソトルコは良い方だ。

 エル・フンディは、やりようのない牛に当たった。マンソで闘牛士の方に向かって来る牛。こんな牛を相手にしていたんでは命がいくつあっても足りない。今日はそんなのだからけなすのは止めよう。

 ファン・ホセ・パディージャが今日でなかったら非常に詰まらない闘牛になっていた。牛が非道く全然面白くなかった。でも、最後の牛で良いファエナを見せた。牛は力がなくパセの時に頭を上に振る牛だった。だから、一つのパセが長く続かないのだ。おまけに右手のパセの時は闘牛士に向かってきた。ナトゥラルの時は手の低い良いパセが何回か繋いだ。それでも直ぐに動かなくなった。

 剣を代えてスエルテ・ナトゥラルで刺しに行ったが、牛の頭が下がりすぎていたためにピンチャッソになりコヒーダされた。闘牛場で観ていたときは右足を引きずっていたので右太股を刺された(血が付いていたので)のだと思っていたが、ビデオで観ると牛に首のあたりを突かれて(コルナーダはない模様)振り回されて右足が着地したときに外側に捻っていた。腱とかが切れていなければいいが。

 一旦、カジェホンの中に担がれて行ったが、右足を引きずりながら戻ってきて、剣刺しに向かった。観客は「ノー」と言ってパディージャを制止したが止められなかった。剣はスエルテ・ナトゥラルで、テンディダのバホナッソに決まった。良い剣刺しではないがパディージャは剣刺しの後に再び担がれて今度は医務室に行った。牛が倒れると観客は白いハンカチを振って耳を要求し、耳1枚をプレシデンテが認めた。

 決して良い剣刺しではなかったが、ファエナも良くやったしパディージャの命がけの闘牛に観客が心打たれたから耳が出たのだ。こういうのは理屈抜きの耳というのだろう。隣の方にいたご婦人は涙を流していた。

 ミウラの牛で良い牛を僕は観たことがない。昔からある牧場でスペインでも1番有名な牧場だけど、どうも好きになれない。力強さがないし、疲れて頭が上がり、闘牛士を直ぐに狙ってくるからだ。こういう牛は非常に危ない。パディージャが最後に見せた闘牛がなかったら最低の日だった。

 パディージャの怪我が心配だ。大丈夫だろうか。 


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