牛は良いんだけど・・・。エスコリアル、バルベルデ、コヒーダ。エスコリアル、場内1周。バルベルデ重傷!

2003年6月6日マドリード、ラス・ベンタス闘牛場(第1級闘牛場)の結果。

 快晴で蒸し暑いのラス・ベンタス闘牛場。アドルフォ・マルティン牧場。第1ソブレロ、ファン・ホセ・ゴンサレス牧場。闘牛士、ルイス・ミゲル・エンカボ、ヘスス・ミジャンの代わりに、セラフィン・マリンが出る予定が、骨折で、ゴメス・エスコリアル、ハビエル・バルベルデ。ほぼ満員。テンディド6でYさん、Tさんと観戦す。

 ルイス・ミゲル・エンカボが、1番牛を解っていた。当然だけど。1頭目の牛が出てきてベロニカをすると飛んで首を振る。ピカは離れたところから呼んで刺していたがクイダッソの場所が悪い。口笛が吹かれる。キーテは、チクエリナを繋ぎラルガ。エスコリアルのキーテは、ベロニカを繋ぎメディア・ベロニカ。エンカボがまた出てきてキーテ。ベロニカを繋ぎメディア・ベロニカ。エンカボはこの時、左角の方でしかパセを繋がなかった。バンデリージャは自分で打ったがトロ・パサードが多く口笛が鳴る。ブリンディースは、歌手の、ホアキン・サビーナに捧げられた。

 ムレタは右手の膝を折ったパセから始め内へ行きクルサードしてパセを繋いでパセ・デ・ペチョ。返りが早いので危ない。アドルフォ・マルティンの牛はビクトリーノ・マルティンと同じ血統なので非常によく似ている。こういう風に返りが早くボーとしていると直ぐにやられる。だから怖くなってドタバタする。クルサードが足りなくなりデレチャソを繋ぎパセ・デ・ペチョ。どうも上手く行かない。ナトゥラルを繋ぎパセ・デ・ペチョ、トゥリンチェラ。上手くムレタは振っているけど牛をもう少し生かし切れていないのが不満。クルサードしてナトゥラルと繋ぎパセ・デ・ペチョ。悪くはないけど良くない。剣を代えて、アジェダード・ポル・アルトを繋いでトゥリンチェラ。スエルテ・ナトゥラルで良いところだがコントラリアに決まり牛が倒れた。

 4頭目は、足を止めたベロニカが出来ないままピカが入り、バンデリージャはバンデリジェーロが打った。牛の角の間でちゃんと打って喝采がおきバンデリジェーロは挨拶をした。エンカボは惨めだ。彼のバンデリージャ打ちよりずっと良かったからだ。良かったのは、ムレタで右手の膝を折ったパセを繋ぎながらアレナ中央へ牛を持って行ったこと。あれはなかなか出来ない。左角が内側に来る牛。だからだろう、ナトゥラルは殆ど出来なかった。右手のパセを繋ぐと牛が膝を着く。パセ・デ・ペチョの後の距離の取り方も充分取っていた。でも段々クルサード不足になって良いパセを引き出せなかった。最後の方は右手のパセも出来なくなって剣を代えた。スエルテ・ナトゥラルでエストカーダ・オンダでテンディダに入った。デスカベジョ3回。

 ゴメス・エスコリアルは、2回コヒーダされた。牛を解っていないからだ。牛を誘う距離より手前に立っているので牛が動いてからムレタを振ってパセをする。始めにクルサードしてパセをしないから牛の動きが悪くなるし、膝を折ったパセで始めその後に、牛の場所を移動させるときにチョコチョコムレタを振って移動させるから牛が動かなくなるし、ムレタと闘牛士の体の方をを観るようになる。そうするとパセが上手く出来なくなるから角でムレタがはらわれるし、牛がブスカンドする。ブスカンドするからコヒーダされる。幸いこの時は足をはらったからコルナーダはなかった。それからナトゥラルで角2本クルサードをし出すがもう遅いのだ。始めっからそれをやっていれば牛はちゃんと動いたのに。

 5頭目では場内1周した。これはその価値に値しないものだった。何故ならベロニカの始めにコヒーダされて丁度下腹部辺りのズボンが破けそれからがんばってムレタを振っていたから剣が決まった後、弱い耳要求があった。剣はカイーダだったしファエナは2頭目と同じように解っていないファエナだった。でも、牛が多少動いたから少し沸いた。その程度だ。アドルフォ・マルティン牧場の牛でちゃんと闘牛が出来るような闘牛士じゃない。

 ハビエル・バルベルデも2回コヒーダされた。彼も牛が来る距離の中に立っていたので牛が動いてからムレタを振ってパセをしていた。そんなことだから牛がムレタと体と観るようになった。だからブスカンドしてきて、剣を代えた直後にコヒーダされた。真剣が高く舞い上がって客席の方に向かって飛んでいったのでヒヤッとした。剣は幸い人のいないカジェホンの中に落ちたので誰にも刺さらなかった。これほど剣が飛んだのを初めて見た。助け起こされ牛を中央へ持って行ってまたコヒーダ。左足付け根の辺りを押さえて痛そうにしていた。それでも剣刺しをしてピンチャソ・オンダの後、決まり牛が倒れた。終わってからエンフェルメリアへ向かった。

 6頭目は、牛が悪く交換になりソブレロが登場。カポーテの時から左角がブスカンドする牛だった。ムレタは右手の膝を折ったパセから始めクルサードしているがムレタをはらわれる。はらう時は必ず右角ではらっていた。首を振って右角を振ってムレタをはらう。つまり右利きの牛だ。人間にも右利き、左利きがあるように牛にもこういう牛がいる。何度クルサードして誘ってもはらわれる。原因は右利きであることと、牛を移動させるときに、エスコリアルのようにチョコチョコムレタを振って移動させるからムレタと体を観てくるようになったからだろう。ナトゥラルをクルサードして繋ごうとするがブスカンドして出来ない。直ぐにデレチャソに変えるもまたムレタをはらわれる。それでもしつこくクルサードしてパセを繋ごうとした時にまたコヒーダされた。今度は体を持ち上げられて落ちてきたときに刺された。右太股に20cmの角傷を受ける重傷を負った。

 抱きかかえられてエンフェルメリアへ行った。代わってエンカボが出てきてピンチャソの後、メディアでテンディダに入った。デスカベジョ1回。

 アドルフォ・マルティン牧場の牛は危なくて難しい。でも、クルサードしてちゃんと手を低くしてパセをすると出来る牛だ。だが殆どの闘牛士はパセをすると角が足の所にあるので怖くてそれが出来ない。出来ないと怖さだけが先に立ってその内、牛が闘牛士のわずかなミスや隙をついてコヒーダするのだ。今日は良い牛が出たけど出来る闘牛士がいなかった。エンカボが少しはマシだったけど・・・。


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