J・コンデ踊った!ヘスリン、ペレラ、3人がそれぞれ耳1枚ずつ取る。

2005年5月5日ヘレス(第2級)闘牛場の結果。

 快晴。時々風が吹いていたようだ。ヌニェス・デル・クビジョ牧場の牛(Procedencia actual=現在の起源<基の血統>、カルロス・ヌニェス牧場)。闘牛士、ヘスリン・デ・ウブリケ、ハビエル・コンデ、ミゲル・アンヘル・ペレラ。ソンブラのテンディドは満員。全体では約半分弱の観客。TVEのTV中継があったので、観戦する。18時半開始、20時45分終了。

 ヘスリン・デ・ウブリケは、TVEのTV中継で、アナウンサーのフェデリコ・アルナスが言うには、マエストロ・デ・テンプラールなのだそうだ。そんな馬鹿なと驚いてしまった。まっそれは良いとして・・・。ヘスリンの闘牛ってつまらないけど真面目だよね。アンダルシア風のただ繋ぐだけのパセを続けてクルサードとかは2の次、3の次。とにかく僕、牛を動かしてますって言う真面目さがある。うーん、なんて言うか、その辺の安いレストランのメニュー・デル・ディアって感じ。取りあえず食った。と、言う満足感が欲しい人向き。貧乏人向きというか、万人向き。闘牛知らない人にこそ楽しめちゃいます。職人が作っていない料理。そっ誰でも作れる料理ね。勿論、愛情のこもったお袋の味とは全く掛け離れている。

 バンドがパソドブレを演奏してパセがドンドン繋がる。でも、「オーレ」の声は殆ど出ない。それでもヘレスでは、アンダルシア風のただ繋ぐだけのパセを続けて、物凄いバホナッソで刺さった剣を抜いた後、カイーダで決まっても耳1枚出ます。嬉しそうにニッコリ笑って場内1周すると、ほらファンも喜ぶでしょ。退屈で眠くなってしまう闘牛でも、僕、闘牛士でーす!そっ、世間ではコラソン系闘牛士って言われちゃってまーす。

 ハビエル・コンデは、良いときと、悪いときが、ハッキリしている。2頭目の牛では何も出来ません。やりません。2頭目の剣刺しだって牛から逃げながら刺すからバホナッソのアトラベサーダ。口笛と罵声を浴びた。こう言うのを観ると、本当に闘牛士?と、思ってしまう。タダの恐がりじゃないかって・・・。でも、5頭目の牛は、僕ちゃん向き。張り切っちゃいました。ほらっ、テンプラールなベロニカを繋ぐと「オーレ」が鳴っちゃうでしょ。メディア・ベロニカだって2回続けちゃうもんね。バンデリジェーロのパコ・ペーニャだって良いバンデリージャを打って挨拶。こういう牛はお客さんへ捧げちゃいます。モンテラ投げたってちゃんとボカ・バッホよ。それだけでお客さん騒いじゃって。

 ファエナは、膝を折ったデレチャッソを繋いでパセ・デ・ペチョ2回。離れナトゥラルを繋ぐと「オーレ」が響く。パセ・デ・ペチョで喝采。バンドがパソドブレの演奏を始めた。ナトゥラルを4回リガールしてパセ・デ・ペチョ。「オーレ」と喝采が鳴る。離れクルサードしてデレチャッソを繋いでパセ・デ・ペチョ。牛の前に立って見栄を切る。それから遠くに離れ、つま先立ちして、小刻みにステップをして、それから、つま先を交差させて横歩きして牛を誘う。回ったと思ったらモリネーテ。ハビエル・コンデ踊った!

 それからデレチャッソを繋いで体の左側にいる牛を誘う。もう左手は、タキージャドールを持てるように構えちゃって、それから右手に持ったムレタを左手に持ち替えるマノ・カンビオをしてナトゥラルが繋がると、お客さん「オーレ」を続けて、パセ・デ・ペチョで牛の前に背中を向けて立っちゃったっても、怖くないもん僕ちゃん。オール・バックに油で決めた髪型を、見栄を切って揺すっていると、湯気が出るほど勃起した男根のように逞しくカッコ良いでしょ。僕ちゃんって。

 お客さんはもう2頭目のことは忘れて熱狂しちゃってるじゃん。それから、ナトゥラル、また、マノ・カンビオしてパセ・デ・ペチョを決めるとまた喝采が鳴っちゃてるじゃん。剣を代え、クルサードしてデレチャッソからパセ・デ・ペチョ2回決めて見栄切っちゃうもん。僕ちゃん、自分で言うのも何だけど、乗ってると天才的で超格好良いじゃん。スエルテ・ナトゥラルで良いところにメディアで刺さった。アビソ1回が鳴る。デスカベジョ2回でも、耳1枚出しちゃいました。ファエナは2枚の価値があったからじゃん。耳1枚受け取りゆっくり場内1周。帽子やショールが一杯投げ入れられなかなか前に進まない。カジェホンの知人のアブラッソも一杯あった。良いときも、悪いときも、僕ちゃん、派手エル・コンデ!今日は両方の僕ちゃんが観れてお客さん満足でしょ。

 ミゲル・アンヘル・ペレラは、ハビエル・コンデと同じフランス人、シモン・カサスがアポデラード。でも、タイプは全然違います。派手じゃなく地味なくらい正統的な闘牛をして笑顔がないのがミゲル・アンヘル・ペレラ。ホセ・トマスのように動かない。パセの1つ1つが丁寧で深みがある。3頭目の牛はベロニカを繋ぐと右角の時に飛び跳ねていた。ゆっくりしたベロニカが繋がりアレナの中心に向かって行く。メディア・ベロニカが決まると拍手が沸いた。パセの後に後ろ脚を引きずっていた。ピカは、左前に軽く入った。キーテは、正面を向いて牛を誘いそのままの姿勢でチクエリナを通した。パセが体の近くを通しているからなおさらホセ・トマスの様だ。レマテはラルガ。「オーレ」が鳴り喝采が鳴った。

 ブリンディースは、観客に捧げられた。そのままアレナ中央に立って牛を誘う。タブラから牛が走っていき、右手で持ったムレタを背中でパセを通しそのままの姿勢で、通り過ぎて振り向いた牛を体の前でパセを通した。それを2回繰り返してパセ・デ・ペチョ2回決めると、「オーレ」の後に喝采が鳴り、バンドがパソドブレの演奏を始めた。手の低いナトゥラルも牛の動きが悪く続かない。離れ手の低い長いデレチャッソを4回繋いでパセ・デ・ペチョ。「オーレ」が鳴る。離れデレチャッソ5回でパセ・デ・ペチョ。「オーレ」が続き喝采が鳴る。クルサードしてデレチャッソも牛が膝を着いたり、ムレタをはらったりした。パセ・デ・ペチョからデレチャッソを4回繋いでパセ・デ・ペチョ2回、ナトゥラルで拍手が鳴り、剣を代えた。スエルテ・コントラリアでバッホで決まり耳1枚。コロカシオンも良かった。いつもながらの落ち着いたムレタ捌き。プロの技を見せて貰った。

 最後の牛はあまり良くなかったが、それでも悪いなりにパセを繋いで観客を喜ばせた。多分耳にはならなかっただろうけど、良い仕事だった。ミゲル・アンヘル・ペレラは、こういうカルテルでやるような闘牛士じゃない。もっとフィグラと一緒にカルテルを組まれるような闘牛士だ。アポデラードが同じだからハビエル・コンデと一緒に出るのだろうが・・・。

 ヌニェス・デル・クビジョ牧場の牛は、こういうアレナの狭い闘牛場だと闘牛になる。ラス・ベンタスやセビージャの様なアレナの広い闘牛場だと牛の体力や能力が足りないから良いファエナはなかなか観れないのだ。その点ヘレスの闘牛場だとちょうど良いくらいの広さなので牛が動くのだ。観客も甘いし、ハビエル・コンデも踊って楽しい闘牛が観れた。目玉のミゲル・アンヘル・ペレラもまあまあ良かったし今日は満足だ。


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