ペピン・リリア、プエルタ・デル・プリンシペを逃す。プレシデンテ3枚目を拒否!

2001年5月5日セビージャ(第1級闘牛場)

 快晴のレアル・マエストランサ闘牛場。セバダ・ガゴ牧場。闘牛士、エル・タト、ペピン・リリア、ファン・ホセ・パディージャ。満員の闘牛場。ソルのテンディド4列目で観る。

 エル・タトは何しに出てきたんだろう。牛が悪いことを良いことに相変わらず腰が引けたパセでピコ(ムレタの先)で牛動かしている。全然良くないのに見栄まで切って・・・。クルサードもしない眠たくなるファエナは止めてくれ。君のことを書こうとは思わないよ。

 ペピン・リリアは、今日の主役だった。初めの牛で、ポルタガジョーラからラルガ・カンビアール、ベロニカが繋がるとオーレが鳴り渡った。メディア・ベロニカが決まると喝采が起きたが、牛は膝を着きすぎるので交換した。

 代わった牛でも、ポルタガジョーラから初めベロニカが繋がるとオーレが鳴り響いた。ファエナは、右手から始めパセ・デ・ペチョが決まるとパソドブレがなった。タトと違ってクルサードをして牛を誘っている。右手のパセは牛が体の遠くを通るがナトゥラルでは、体の近くを通すパセを繋いだ。良いテンポでパセを繋ぎ、剣は、スエルテ・ナトゥラルで凄いテンディダ(角度の浅い刺さり方)で決まったので、もう1度剣刺しをした。良いところに決まり牛が倒れ耳1枚。

 2頭目も、ポルタガジョーラから初めベロニカを繋ぐとオーレがなった。メディア・ベロニカを2回決めると喝采がなった。ピカは左側に入った。牛が止まらない。しかし、バンデリージャが打たれファエナが始まると、牛の動きが変わった。右手のパセから繋ぎパセ・デ・ペチョ。オーレがなる。綺麗な手の低いナトゥラルが繋がるとオーレの声は大きくなった。パソドブレが鳴る。ナトゥラルの時は牛が体ギリギリを通っていく。パセ・デ・ペチョを繋ぐと観客は立ち上がって喝采を送る。素晴らしいファエナだった。剣刺しは、スエルテ・コントラリアで少し前の方に刺さった。牛は倒れた。観客は一斉に白いハンカチを振った。耳1枚が認められたが、観客はそれには満足せずにもう1枚を強く要求した。

 しかし、プレシデンテは頑として首を縦には振らなかった。観客が抗議の口笛を吹いても2枚目の耳は出なかった。残念だがこのファエナは1枚で良かった思う。素晴らしいファエナだったが、2枚には何かが足りなかった様な気がする。観客はペピンを讃え場内2周させてプレシデンテに抗議の意思を表した。ペピン、残念だったね。99年のサン・イシドロの時もプエルタ・グランデを逃したけど、また、大事なセビージャのフェリア・デ・アブリルの時にプエルタ・デル・プリンシペを逃してしまった。でも、お客さんは覚えているよ君のファエナを。「トレロ」コールや「ペピン」コールが闘牛場に起こったのはその証拠じゃないか。今年のサン・イシドロでグラン・ファエナを見せてくれ!

 ファン・ホセ・パディージャは、1頭目で、ポルタガジョーラをやりラルガ・カンビアールを2,3回繋いだ。オーレがこだましてベロニカを繋ぐと闘牛場は興奮に包まれた。ベロニカからメディア・ベロニカを2回繋ぐと観客は総立ちになった。バンデリージャも自分で得った。3回とも左側に回っていって打ったものだった。僕はこういうのはダメだ。必ず1回は反対側から回って打つべきだ。ここまでがパディージャの見せ場だった。後は、牛が動かなかった。と言うより、パセの途中で闘牛士の方に向かって来る牛だった。コヒーダもされ危ない牛だった。

 2頭目も、やばい牛だった。右手のパセをすると闘牛士に向かってくる。ナトゥラルをすると途中で止まる。そのうちナトゥラルでも闘牛士に向かってくる。スペイン語では、ブスカンドと言う。僕の、ノートには“ブス”という字が並んでいる。やりようのない牛だったが丁寧にパセを繋ごうと試みたことを観客は判っている。パディージャ、明日があるよ。


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