2000年5月5日、セビージャの結果

トレアルタ牧場の良い牛で3人とも耳を切る。

por 斎藤祐司

 午後に大雨が降ったが、快晴のレアル・マエルトランサ闘牛。フェリアの中で1番良いカルテルで、ノー・アイ・ビジェテ。

 マヌエル・カバジェーロは、本当のプロの技を見せた。1頭目は、カポーテのパセの後にコッホになった。ムレタでは、手に低いパセを繋いだ。特に良かったのがナトゥラルが良かった。耳になるような物ではなかったが、剣刺しが良かったので耳1枚になったのだろう。セビージャは甘い。

 2頭目は、カポーテのパセの時、飛ぶ牛だった。ピカが入った後に動きが悪くなった。牛は、パコ・カミノに捧げられた。それを丁寧に丁寧にパセを繋いでいった。後半は、牛の動きが良くなって闘牛場が沸いた。剣刺しはアレナの真ん中で非常に良い刺し方で決めた。観客は耳2枚を要求した。ファエナ1枚、剣刺し1枚と言う感じのだろう。でも耳1枚で充分だったと思う。

 ただこのファエナは、プロの仕事だと思った。料理で言えば素材が悪いのに良くこれだけ手間を惜しまずに美味しい物を作ったものだ。それと剣刺しが感動的だった。パコ・カミノに捧げるに充分な仕事をマヌエルはした。

 ミゲル・アベジャンは、今日1番良かった。1頭目は、右角をブルラデロで折って牛交換。代わった牛も動かなかった。2頭目では、始まりのラッパが鳴ると、カポーテを引きずってトリルの前に行った。両膝を着いて牛を待った。そしてラルガ・カンビアール2発から観客を沸かせた。チクエリナは、両足を揃えて動かないので体の近くを角が通る危険なそして感動的な時間だった。あまりにも近いので角にカポーテを持って行かれたり転んだりしていた。命を賭けるとはこういうことなのだ。

 歓声や悲鳴がなった。カポーテを体の後ろに持ってパセしながらのキーテに、「オーレ」がこだました。ベロニカを繋いでメディア・ベロニカ、ラルガを終えると喝采と歓声がなり、「トレロ」コールまで起きた。カポーテを終えた時点でトレロ・コールが起こるのは非常に異例のことだった。

 ムレタは、足を揃えた両手のパセから始める。全く牛の方を見ずに4回パセをしてムレタを体に隠すようなパセをすると拍手が鳴りやまなかった。後は左右の手の低いパセを繋いで「オーレ」がこだました。後半牛の動きが悪くなったが、異様なほどに興奮するファエナだった。剣は1発で決まったがバホナッソだった。ペティシオンが続いていたが耳1枚に終わってのはそういうわけだ。

 エル・フリは、2頭目にラッパが鳴るとカポーテを引きずってトリルの前まで行った。両膝を着いて牛を待った。牛がなかなか出てこなかった。フリの顔が段々変わっていった。緊張が最高潮になった頃牛が出てきてラルガ・カンビアールをやった。闘牛場が沸いた。「僕1人だけ乗り遅れてたまるか」そんな意志が見えた。

 遠くから突進してこない牛に対して、ロペシーナをやったのには驚いた。ロペシーナをしても牛が来ないので2,3回空振りしていたのでフィルムを無駄にした。かなり冷めてしまうな。ムレタでは、手に引くパセをした。特にナトゥラルを多くした。これが良かった。クルサードして、牛の角を2本背中の方においてから牛を誘ってパセしたのにはなかなか良かった。

 しかし、バレラから見ていたパコ・カミノは何の反応も示さなかった。恐らくフリのことを嫌いなのだろう。エル・コルドベスとダブっているのかも知れない。剣は、ピンチャソ1回の後、バホナッソ気味に刺さった。耳1枚。

 今日は3人闘牛士がそれぞれの特長を出して耳を切った。今日闘牛を見れたことに感謝したい。アベジャンが最も感動的だった。マドリードで待ってるぜ、ミゲル。


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