1番まともに闘牛をやっていたフェルナンデス・メカがコヒーダ!

2003年6月5日マドリード、ラス・ベンタス闘牛場(第1級闘牛場)の結果。

 快晴のラス・ベンタス闘牛場。ホセ・エスコラル牧場。6頭目、第1ソブレロ、アルバセラーダ牧場。闘牛士、フェルナンデス・メカ、ホセ・イグナシオ・ラモス、ファン・ホセ・パディージャ。ほぼ満員。テンディド6でYさん、Tさんと観戦す。

 フェルナンデス・メカは、危ない牛でクルサードしてパセを繋いでいた。1頭目の牛は後ろ脚がおかしかった。ベロニカをすると左角が短い。内に来るのでブスカンドするだろうと思っていた。ホセ・イグナシオ・ラモスがキーテをやったときにそれを確認できた。ブリンディースは、テンディド9のバレラに座っていたセサル・リンコンに捧げられた。

 右手の膝を折ったパセから始め牛を中央に持って行った。クルサードして右手のパセを繋ごうとしたら牛がブスカンドしてきた。もう1度クルサードして牛を誘うがなかなか牛が動かない。ようやく動かしてパセを繋ぎパセ・デ・ペチョ。脇が開いているが、牛が悪いので拍手が沸く。何とか牛を動かして良いところを見せようとしているのが解る。危ない牛なのにクルサードしてパセを繋ぐ。ざわざわしているが時々沸く。パセ・デ・ペチョ。拍手が起きる。デレチャソを繋ぎパセ・デ・ペチョ。拍手。距離を取りもっと危ない方のナトゥラル。長いパセをちゃんとクルサードして繋いでパセ・デ・ペチョ。段々沸いてくる。またデレチャソを繋ごうとしてしていたときに右太股をぶっつり刺された。

 みんなが助けに行き、それでも本人は大丈夫出来るとと言う仕草をして一旦みんな下がっていったが剣を代えても、牛に向かうことが出来ずパディージャが駆けつけて抱きかかえると他のバンデリジェーロも駆けてきて抱きかかえてエンフェルメリア(医務室)へ向かった。無念だっただろう。去年は同じ牧場で右も左もブスカンドする牛。しかも土砂降りの雨。最悪のコンディションで最悪の牛。観客は寒さにではなくあの牛を観て寒くなった。あれだけブスカンドする牛でクルサードして何とか良いパセを出そうとしている姿を見て、涙が出てきたのを想い出す。

 今年でもう35歳。フランス人。スペインでは殆ど呼んで貰えない。だからこそ、ビクトリーノ・マルティン牧場や今日の牧場(血統はビクトリーノ・マルティン)の様な危ない牛を相手にして命を懸けて有名になろうとしているのだ。スペインでは同じ外国人のセサル・リンコンにブリンディースするのも彼がスペインで活躍する唯一と言って良い偉大な闘牛士で、そして尊敬を込めてやっているはずだ。自分もラス・ベンタスで耳を切りたい。そういう気持ちが今日の闘牛にも表れていたような気がする。残念だ。彼は無念だっただろう。

 彼がエンフェルメリアへ行った後、ホセ・イグナシオ・ラモスが出てきて剣刺しをした。ピンチャッソの後コントラリアに入った。後はもう詰まらない闘牛だった。牛もダメ。闘牛士もダメ。もう1頭フェルナンデス・メカが観たかったなぁ。

 ホセ・イグナシオ・ラモスは、ビビって腰の引けたパセを繰り返していた。始めの牛が交換になって、代わって出てきた牛も悪い。右も左もブスカンドする牛。右手の時にコヒーダされる。でも、やることやってない。次の牛はパセをすると膝を着くは、返りが早いはで何も出来ず。危ないから早く殺せばいいのに、くだらないパセを続けていた。バンデリージャは左でしかちゃんと打てない。1回右に行ったらトロ・パサードで1本は首に、1本は腹方に刺さっていた。どうにかならないの。見せ場であるバンデリージャですらこんなもの。

 ファン・ホセ・パディージャは、今日もダメ。君もバンデリージャ止めた方が良いよ。トロ・パサードばっかりだし、変な場所に打っているし・・・。非道い牛は判るけど何もしてないじゃない。出来ないんじゃない。していないのだ。

 2頭目から6頭目。つまり、フェルナンデス・メカがいなくなってからは退屈で仕様がなかった。牛も3頭目以降はダメ牛。見るものがない。フェルナンデス・メカの傷は、右太股に15cmの角傷を負い、重傷まで行かないそうだ。


http://www2u.biglobe.ne.jp/~tougyuu/以下のHPの著作権は、斎藤祐司のものです。勝手に転載、または使用することを禁止する。


ホームに戻る   2003年闘牛観戦記に戻る