ハビエル・バルベルデ、耳1枚。プエルタ・グランデを逃す!

2002年5月3日マドリード、ラス・ベンタス闘牛場(第1級闘牛場)の結果。

 日が出ているが凄く寒いマドリード、ラス・ベンタス闘牛場。牛、エル・ベントリジョ牧場。見習い闘牛士、レジェス・メンドーサ、ハビエル・バルベルデ、サルバドール・ベガ。テンディドが約8割以上の入り、全体で約7〜8割の入り。

 レジェス・メンドーサは、去年のサン・イシドロで良いファエナをした。6月1日、コルドバで、マヌエル・ベニティス“エル・コルドベス”がパドリーノになってアルテルナティーバをすることになっている。剣刺しが良くなっているか、カポーテ、ムレタが去年よりどれだけ良くなっているか楽しみにしていたが成長の跡がない。ただやる気は認める。ベロニカを繋ぎ牛の2m前で膝を着きラルガ・カンビアールをやったり、1m前から誘ってムレタを右手で背中を通すパセをやったり。

 しかし、肝心のパセの形や、牛の誘い方、扱い方に成長の跡が観られなかった。クルサードも未だ足りない。コルドバ出身でアンダルシア・スタイルの闘牛。牛を動かせば、「オーレ」がなるが、ラス・ベンタスではそうは行かない。闘牛やるときに大体5m位の所でしかやっていない。もっと距離を取ってから牛に近づき誘っていかないと牛の息が戻らない。直ぐに牛が動かなくなる。田舎の闘牛場のようにアレナが小さければそれでも出来るが、直径60mあるラス・ベンタスではダメだ。これじゃ、田舎で受ける闘牛士になってしまうだろう。

 ハビエル・バルベルデは、去年のサン・イシドロ、最優秀見習い闘牛士。3月にラス・ベンタスに出たときも耳1枚と場内1周している。だからかなり期待していたが、ガッカリした。ほとんど全てにおいて、セサル・ヒメネスに劣っている。クルサードもできているし、動かないで闘牛もしている。

 始めの牛は左側を通るとき短かった。だからムレタでは、右手のパセから始めた。でも、パセ・デ・ペチョの後に牛から5mくらいしか離れないから牛が直ぐに疲れた。ファエナ自体良かったわけではない。剣を代えてからマノレティーナ、ベルナディーナ。これは良かった。スエルテ・ナトゥラルでピンチャソ1回の後、スエルテ・コントラリアで、コントラリアに決まったがコヒーダ。それで耳1枚が出た。ファエナ自体は、耳にも値しなかったように思う。

 次の牛ではベロニカで前脚をつっぱていた。ムレタは左手からから始めパセ・デ・ペチョ。牛から距離を取らない。ナトゥラルの時にクルサードして誘う。直ぐにまた右手のパセを始める。牛が動かなくなってくる。ナトゥラルをするがメディア・パセになる。剣を代え右手のパセをするがメディア・パセ。スエルテ・ナトゥラルでカイーダ。信じられないことだがそれでも観客は耳を要求していた。勿論耳は出ない。場内1周もない。後で下山さんが教えてくれた。TVで、フェルナンドとロベルトが、5頭目の牛でナトゥラルだけ闘牛をやっていたらプエルタ・グランデできたのにと。うーん、それは気がつかなかった。

 サルバドール・ベガを初めて見る。アポデラードが元闘牛士のペドロ・カスティージャ。どんなものかと思っていたが、最後の牛で観客を沸かせた。ムレタで膝を着いたパセを始めると「オーレ」がなった。しかし、牛が過ぎてから膝を着く偽物のパセ。パセ・デ・ペチョは大きくゆっくりだったが外側を回していた。それでも剣を代えてからまた膝を着いたパセをして観客を沸かせた。スエルテ・ナトゥラルでピンチャソ1回の後、良いところに決まり、耳要求。勿論耳は出ない。場内1周もない。これも田舎向きの闘牛士だ。今日の中で1番ダメな闘牛をやった。

 レジェス・メンドーサとハビエル・バルベルデ。去年に比べて良くなっているかと思っていたが、ガッカリした。人間ってなかなか成長しないのだ。僕自身を考えてもそうだが、当然かも知れない。が、この闘牛にはガッカリした。ハビエル・バルベルデはプエルタ・グランデを逃したとは言え、良い闘牛じゃなかった。もう少し良い闘牛が見たいものだ。それと、僕自身の闘牛の見方ももっと厳しく分析してみないとハビエルの2頭目の牛のナトゥラルのことは判らない。フェルナンドとロベルトのことを下山さんから教えて貰わなかったら判らなかったもの。


http://www2u.biglobe.ne.jp/~tougyuu/以下のHPの著作権は、斎藤祐司のものです。勝手に転載、または使用することを禁止する。


ホームに戻る