99年5月31日、ラス・ベンタス(マドリード)の結果

ポンセ、クルサードで観客を沸かせ耳1枚。
エウヘニオ、グラン・ファエナで耳1枚。

por 斎藤祐司

 

 牧場のコンクール。牛、1,テオフィロ・セグラ、2,ビクトリーノ・マルティン、3,アルクルセン、4,ハビエル・ペレス・タベルネロ、5,アウグスティン・ロペス・フロレス、6,ビクトリアーノ・デル・リオ。闘牛士、リトリ、エンリケ・ポンセ、エウヘニオ・デ・モラ。

 開始前に雨があがったが、風が強く吹く中で始まり、途中雨が降ったりやんだりした。

 リトリは、風が強い悪条件の中で真面目にパセを繋げようとしていた。ナトゥラルではクルサードをして牛を誘っていたがそれだけだった。初めの牛ではそんなに悪くなかったが次の牛では何も出来ずに剣を刺した。剣刺しは悪くなかった。でも、何しに出てきたのか判らなかった。足を止めてパセを一つもやらなかった4頭目では、口笛を沢山吹かれていた。

 ポンセは、この日5頭目の牛でゆっくりしたベロニカを繋ぎ「オーレ」をならせてメディア・ベロニカ、ラルガでしめ喝采を浴びた。牛はファン・カルロス国王に捧げられた。ムレタは中央に牛を移して右手のパセから始めた。ナトゥラルをクルサードして繋ぎ、ゆっくりとしたパセ・デ・ペチョを決めると、雨が強いにも関わらず喝采を受ける。右手のパセを、クルサードして繋ぎ、ナトゥラルは牛の近くでクルサードして誘い観客を沸かす。ゆっくりしたパセ・デ・ペチョを2回続け見栄を切ると、「オーレ」に続いて喝采がなった。動かない牛を今日は徹底的にクルサードしてパセを繋いだ。牛はタブラ(柵)の近くにしか居たがらなくなったが、牛の顔の10cm位まで体を入れて牛を誘っていた。今日のポンセはポンセらしくなく良かった。剣も1回で良いところに決めて耳1枚。パセ・デ・ペチョは相変わらず脇が開いていたが今日はあのクルサードが効いて問題にはならなかった。

 エウヘニオは、6頭目の牛でグラン・ファエナを見せた。牛は観客に捧げられて、ファエナが始まった。ロディージャから始めたがパセ2回で牛が倒れたので、立って右手のパセを繋いだ。パセはポンポン繋いでいく。牛を誘うときもムレタ全体で牛を誘う。勿論クルサードしている。そしてパセ・デ・ペチョ。脇を締めた誘いで牛を体の内側から内側に通し、進行方向に90度以上曲げる凄いパセ・デ・ペチョは健在だ。ゆっくりとしかも長いパセ・デ・ペチョ。右手繋いで「オーレ」をならせ、背中から牛を誘って前に回す、シルクラールは完全な円を描いて牛を元居た位置に戻した。喝采がなる。ナトゥラルも両足をくっつけて正面を向いて手の低いパセを繋いで「オーレ」をならせる。剣を代えて、アジュダード・ポル・アルトを繋ぎ剣刺しに行った。剣はスエルテ・ナトゥラルでピンチャソ1回の後、決めた。この剣が良かった。完璧だった。だからピンチャソでも耳になったのかも知れない。

 今日のメホール・ガナデリアは、恐らく6頭目のビクトリアーノ・デル・リオだろう。発表がなかったので確実じゃないが、これは観客の総意だと思う。

 終わった後の退場で、いつも出る出口からリトリが出ないので口笛がよけい鳴ったが、闘牛終了後に国王との接見があるためだった。30分位待ってエウヘニオが車に戻って来た。「凄く良いファエナだった」と言うと、彼はにこっと笑って「ありがとう」と言った。こいつは本当に技量がある闘牛士だ。今日はエウヘニオに乾杯。


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