99年5月30日、アランフェスの結果

「トレロ、トレロ、トレロ」
熱狂の闘牛士“エル・フリ”耳4枚と尻尾を切る。
ポンセ、耳4枚。ガナデリアと3人のプエルタ・グランデ。

por 斎藤祐司

 

 牛、ビクトリアーノ・デル・リオ。闘牛士、リトリ、エンリケ・ポンセ、エル・フリ。

 リトリは、4頭目の牛で耳を1枚切った。カポーテではラルガ・カンビアールから入った。リトリだってこういうことをするのだ。ベロニカを繋ぎメディア・ベロニカで決める。いつもの事だけどベロニカに味がない。牛は悪く動かない。それでも真面目にパセを繋ぐ。クルサードだってしていた。

 でも、リトリらしくない。やっぱり膝を着いたモリネーテを連発してくれないと。そしてお決まりの膝を牛の前で着いて、背中を向けた見栄を切ってくれないと、リトリらしくないと思う。こう思うのは僕だけじゃないと思うんだけどな。だってちゃんとパセしようとしたって上手く出来ないのは誰でも知っている。剣刺しはバホナソだったがここでは耳になる。リトリは真面目になってしまった。僕は悲しい。

 エンリケ・ポンセは、5頭目の牛でより良かった。片膝を着いたベロニカを繋ぎ、メディア・ベロニカ、ラルガを決める。ピカは肩の後ろに入った悪いものだった。キーテは、珍しくチクエリナを続けメディア・ベロニカ。観客はもうポンセのものだった。ムレタでは、右手のパセを繋げパセ・デ・ペチョをするとパソドブレがすぐなった。

 ゆっくりとした右手のパセ。脇が開いたパセ・デ・ペチョもここでは喝采を浴びる。ナトゥラルと続けゆっくりとしたパセ・デ・ペチョで大いに沸く。右手を背中の方にやって牛を後ろから前に持ってきてパセ、トゥリンチェーラ、パセ・デ・ペチョ。観客は立ち上がって喝采を送る。

 凄い剣を決めて耳2枚。尻尾を観客は要求したが叶わなかった。でも当然だと思う。耳2つで充分だ。うん、ポンセは田舎ではスターだ。こんな闘牛で受けるなんてクリープを入れないコーヒーの様だ。でも、5頭目は確かに良かった。これは事実だ。

 エル・フリは、3頭目の牛で耳2枚と尻尾を切った。ベロニカ4,5回やった所でコヒーダされる。散々牛に突かれやばいなと思ったけど、そこは不死身のフリアン。右のこめかみのあたりに擦り傷で血が滲んでいる。鼻血も出ている。そして、頭を打っていたが、水を浴びるとアレナに戻って牛に向かった。でも牛が悪く交換。

 代わった、牛は突進してくる牛。馬の前にはチクエリナの連続で持っていく。ピカの後は、モンテラ(帽子)ヲ投げて牛を呼んでチクエリナ、牛を後ろから誘ってカポーテの裏側でパセをする、メディア・ファロール。チクエリナ、メディア・ファロール、メディア・ベロニカ。「オーレ」が続き、観客が総立ちになって喝采を送る。もう観客はフリアンのものだ。

 ムレタは、アジュダード・ポル・アルトから始め、トゥリンチェーラを決めるとパソドブレが鳴った。左右のパセを繋いで観客を沸かし続けた。「オーレ」はなりやまない。剣を代えて、右手で牛を誘い体の前を通し、後ろを通し、シルクラールして、足をそのままにして、またシルクラール。そして、またシルクラール。総立ちの闘牛場。

 間違いなく次代の闘牛を背負って立つ闘牛士がここにいる。それは、フリアン・ロペスこと、エル・フリだ。剣も完璧だった。カポーテから剣まで完璧だった。やっぱり観客は黙ってない。闘牛場を熱狂の中に誘い込んだのは人気絶頂のフリアンだった。ただただ感動に身をまかせた闘牛だった。スゲー。ホセ・トマスとマノ・ア・マノが見たいな。人気だけじゃないのがフリアンだ。こいつ本当にとんでもないかも知れない。

 兎に角、牛も良い牛が出たこともあったが、良い闘牛が見れて幸せだ。今日は良い写真が一杯撮れた。ホテルにも行ってフリアンの顔のアップも何枚も撮ってきた。親父の写真も撮ってきた。オンブロスの写真も撮った。良い闘牛は本当に楽しくいきる活力を与えてくれる。


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