ホセリート、ヒメネス、プエルタ・グランデ。セサル・リンコン、耳1枚。

2003年5月30日アランフェス闘牛場(第2級闘牛場)の結果。

 町中の温度計は38度。曇りだが少し蒸し暑いアランフェス闘牛場。エル・トレオン(セサル・リンコン)牧場。闘牛士、セサル・リンコン、ホセリート、セサル・ヒメネス。ほぼ2/3ぐらいの入り。テンディド5のバレラでjosemiさん、すずめさんと観戦す。

 セサル・リンコンは、自分の牧場牛を相手にするのにソルテオで引いた牛は2頭とも悪い牛だった。1頭目は最低の牛で殆ど何も出来なかった。それでもパソドブレが鳴った。今日の6頭の中で1番悪い牛だった。4頭目の牛は、今日出た中で2番目に悪い牛だった。折角ホテルで写真を撮らせて貰ったのに今日は耳は取れないなと覚悟した。この牛を動かせたら奇跡に近いと思った。それにしても自分の牧場の牛なのだから文句を言えない。ベロニカの時から牛が膝を着く、角をアレナに突き刺しひっくり返る。後ろ左脚は走ると蹄の甲の部分を地面について引きずる。この牛でどうしろというのだ。観客は牛の交換を要求したが叶わなかった。

 しかし、立派。ムレタに持ち替えてからの距離の取り方は最高。こういうのをセサル・ヒメネスは学ぶべきなのだ。右手に持ったムレタで牛をアレナ中央部に持って行き、距離を遠く取って牛を誘う。牛が動いてパセをする。それから牛から距離を遠く取って牛を誘う。牛が動いてパセをする。それを4回続けた。牛が少し動くようになったのでナトゥラルを繋ぎパセ・デ・ペチョ。こういう風に牛に合わせて取るべき距離を見定めてやるやり方は流石だと思った。

 デレチャソを繋ぎパセ・デ・ペチョ。距離を取りクルサードして牛を誘う。デレチャソと繋ぎパセ・デ・ペチョ。距離を取りナトゥラルで誘う。ブスカンド。危なかった。これだけ丁寧にパセを繋いでいるのに牛が悪い。もうどうしようもないと言うような表情をするが、そこから牛を捨てずにまた、丁寧に牛を誘いパセを繋いだ。パソドブレが鳴った。牛が悪いから決して良いパセではなかったがセサルが復帰してこれからまたやって行くんだという意気込みが感じられた。距離の取り方ナトゥラルもまあまあだった。右手は黙っていても良いのだからそれは良いとして。

 剣を代えてからの最後を締めるファエナは今日の中では1番良かった。アジュダード・ポル・バッホでパセを繋ぎトゥリンチェラを織り交ぜながら観客を沸かせた。「オーレ」もこの日の中では大きく鳴った。スエルテ・コントラリアで牛を置いて良いところに剣を決めた。テンディダだったが牛が座りプンティージャ1回。耳1枚。努力賞の耳だった。場内1周するセサルには笑顔があった。闘牛士はやっぱり耳を取らないといけない。こういう姿を見ているとそう思う。写真撮らせて貰って耳が出ないと責任を感じる。ホッとした。

 遅く帰ってきたのでそろそろ眠くなった。ホセリートのことを少しだけ書いて後は起きてからにする。

 ホセリートは、耳1枚ずつだったが、今日のメホール・ファエナはホセリートの5頭目。これは本当に素晴らしかった。デレチャソ・シン・エスパーダなど牛が良かったからのって闘牛をやっていた。だから、5頭目のファエナを書くことにする。出てきたときから走る牛。綺麗なベロニカを繋ぐと「オーレ」が鳴った。メディア・ベロニカ、ラルガで締めると喝采が鳴った。今日1番良い牛だった。キーテは足を一歩も動かさないでチクエリナを繋ぎセルピエンティーナ。凄い。これだったらベンタスでも沸くだろう。ピカは左後ろに入った。

 牛は観客に捧げられた。良い牛だもの。ファエナはアレナの内側でエスタトゥアリアス風のアジュダード・ポル・アルトを繋ぎナトゥラルで牛をくるりと回しトゥリンチェラ。ぐらっと来そうなパセが続きパセ・デ・ペチョを角度を付けて回すともう観客はホセリートのものだった。こんなのベンタスでやったら観客は総立ちになっただろう。ビエン・コミエンサ・デ・ファエナ。距離を取って右手で誘い、牛を呼んでパセをしリガールする。「オーレ」が続きパセ・デ・ペチョで喝采が鳴る。素晴らしい、牛も素晴らしいがホセリートも素晴らしい。パソドブレが鳴った。

 腹を出すように体を反ってデレチャソを繋ぎパセ・デ・ペチョ。ムレタを左手に持ち替えて膝を折ってパセを繋ぐ美しい。ナトゥラルを繋ぎ足を揃えて牛を進行方向から約90度角度を付けてパセ・デ・ペチョ。凄いファエナの連続。右手のパセを繋いでいたと思ったら、いきなり右手に持っていた剣を首の上に持って行ったかと思ったら投げ捨てた。ドッと沸いた。そして、右手の剣なしのデレチャソを繋いだ。「オーレ」が鳴る。これを、デレチャソ・シン・エスパーダとか、ナトゥラル・デ・デレチャソとか言う。こんな事までするのはホセリートがのって闘牛をやっている証拠だ。パセ・デ・ペチョの後、牛の前で見栄を切って剣を代えた。喝采が鳴る。

 右手のパセからアジュダード・ポル・バッホ気味のパセとトゥリンチェラを織り交ぜスエルテ・ナトゥラルで牛を置いた。剣が決まれば当然耳2枚。しかしピンチャソ。次が良く見えなかったが、牛が動いて刺しに行ったから多分レシビエンド気味の剣刺しで剣は深い角度で刺さった。デスカベジョ失敗。2回目のアビソが鳴る。牛の鼻先がちゃんと下を向いていない。だから失敗したのだ。2回目で牛に留めを刺して耳1枚。素晴らしいファエナだった。


 セサル・ヒメネス


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